事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

港座通信~「バルカン超特急」The Lady Vanishes

2010-07-22 | 港座

The_lady_vanishes_02 監督:アルフレッド・ヒッチコック

主演:マーガレット・ロックウッド マイケル・レッドブレイヴ

東欧の架空の独裁国家パンドリカでの雪国観光から、イギリスへの帰国途上の列車内で事件は起こる。アイリスと親交を深めていたイギリス女性ミス・フロイが、突然車中から消え、車内の人間全て(一部は面倒ごとに巻き込まれたくない理由で)初めからそんな女性は見なかったと口を揃えるが……

この作品は、その後「レディ・バニッシュ~暗号を歌う女」(主演エリオット・グールド。ネタバレもいいとこのタイトルです)、ジョディ・フォスターの「フライト・プラン」、そして「古畑任三郎・灰色の村」などの変奏曲を生んだことでむしろ知られています。

消えたミス・フロイの存在を証明するものが、列車のくもった窓に彼女が書いた自分の名前(FROY)という、はかなく消えるものだったというストーリーはおみごと。古畑任三郎の場合はそれがもっと徹底していて、温泉宿の鏡に今泉が書いた卓球のスコア(正ちゃんマーク)なのには笑いました。ユーモアたっぷりで、おすすめのヒッチコック作品です。

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港座通信~「嵐が丘」Wuthering Heights

2010-07-22 | 港座

Wutheringheights03 原作:エミリー・ブロンテ
監督:ウィリアム・ワイラー
音楽:アルフレッド・ニューマン

いわずとしれた、ヒースクリフの純愛と復讐の物語。エミリーという、姉シャーロッテの陰にいたかのようなかよわい女性が創りあげた、壮絶なまでの展開。英文学の真骨頂。わたしの世代にとってはケイト・ブッシュの歌の方がなじみ深いかも。あ、そうか。いまは「恋のから騒ぎ」のテーマソングってわけだ。

にしてもヒースクリフにはおそれいる。自らを傷つけながらも何もそこまで……わたしの妻は「ちょっとヒースクリフにはついていけないわ」とため息をついていました。

主役はローレンス・オリヴィエ。当時の彼はヴィヴィアン・リーとの熱愛のまっ最中。「嵐が丘」にもヴィヴィアンを起用してほしかったのにかなわず、イギリスから少し遅れて渡米した彼女を待っていたのが「風と共に去りぬ」だったのです。

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港座通信~「稲妻」(監督:成瀬巳喜男 主演:高峰秀子)

2010-07-21 | 港座

Inazuma03 現役のときは職人監督と規定されながら、しかし独特の間(ま)や役者の活かし方などで全世界の映画人のリスペクトを集めている成瀬巳喜男。「めし」で原節子に新境地を開かせた彼は、この作品を高峰秀子という“演技をするために生まれてきたような”天才女優をつかって傑作に仕立てあげました。

そして三年後にこのコンビは「浮雲」という奇跡の作品を生み出すことになるのです。いやはやあれは凄かった。

にしても、高峰秀子というのは本当にわからない存在だ。あれほど卓抜した演技を見せるくせに、女優であることにまったく執着していない。あ、それこそが天才なのか。

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港座通信~「ルパン三世 カリオストロの城」

2010-07-20 | 港座

Lupin03 さあ今週末は例によって港座上映会です。

疾走するシトロエン2CV。運転席には花嫁衣装の女性(クラリス・ド・カリオストロ)が。背後から黒服の男たちの車がせまる。

次元「どっちにつく?」

ルパン「オンナぁ!」

次元「……だろうな。」

7月の上映会に、ついに「ルパン三世 カリオストロの城」登場。宮崎駿の、そして日本アニメの最高峰だと断言できます。アニメーションということばが、人を元気づけるという意味でもあることを再認識させるアクションの数々。カリオストロ公国に、なぜか埼玉県警のパトカーが走る不条理ギャグもふくめて見どころ満載。さて、今回ルパンが盗んだものとは?

※宮崎アニメを上映するのはコストからいっておそらく無理だろうと思ったらジブリ以前はなんとかなったみたい。

「今度はなにやるの?」と仕事先できかれ

「……カリオストロの城。」と明かしたら爆笑された。「やるもんだねー」と。でもこっちとしては明るい親子連れに数多く訪れてほしい。クラリス狂いのオタクばっかじゃやだ。

カリオストロの城の冒頭部分、逃げるクラリス姫が乗っているのは赤いシトロエン2CV。
宮崎駿監督も大好きで2台乗り継いだというフランスの名車です。
実は私も1986年に新車で購入し、いまだに所有しています。
ビートル、ミニ、フィアット500と現代に蘇りましたが、シトロエンは頑として思い出を再現しませんね。
商売になると分かっていても、常にアバンギャルドのポリシーを変えない、そんなところは非常に共感できるんですが、欲しくなる新車が出てこないところに難があるんだよなぁ。

エンスー事務職員も盛り上がっています(笑)。近ごろネット上でガンガン語られているのは、ルパンが食べるあのごちそうですかね。

血が足りねー。じゃんっじゃん持ってこい」

は食育の教材としてもぴったり。マジで傑作です。ぜひっ!

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続・意外なふたり~Vシネ銀行員

2010-07-19 | うんちく・小ネタ

「職場は東京大学」はこちら

♯111 竹内力 & 磯野貴理

このふたりの前職は銀行員。竹内は三和銀行(現在の三菱東京UFJ銀行)淡路支店にデビュー前に勤務していた。磯野は中央相互銀行(現在の愛知銀行)で受付業務を。

磯野はともかく、哀川翔とならんでVシネの帝王である竹内力が銀行員だったとは……

Kawasaki02 とか言いながら、わたしは竹内のデビュー作である「彼のオートバイ、彼女の島」(監督大林宣彦)を映画館で観ていて、いかにも片岡義男の世界にぴったりなさわやか青年コウ(KAWASAKIの最初の三文字)を演じていたのでそんなに違和感はないかな。

原田貴和子のヌードが鮮烈だった(びっくりしたー)あの作品は、宮藤官九郎の自伝的小説「きみは白鳥の死体を踏んだことがあるか(下駄で)」にも登場して笑わせてくれます。

のちに竹内が「難波金融伝・ミナミの帝王」で主役をはったのは、やはり前職の経験がいかされたのでしょうかっ。

次回は「文壇のジョーカー

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龍馬伝~第29話「新天地、長崎」

2010-07-18 | テレビ番組

Shirasu04 第28話「武市の夢」はこちら

前回の視聴率はなお下降し、17.0%にとどまった。選挙速報のために時間帯が変更になったことも影響したかもしれないが、変更の先輩である「ゲゲゲの女房」が好調であることを考えると……

久しぶりに「ゲゲゲ」をのぞいたら、やっぱり面白い。いじめられっ子の顔をしている向井理がぶっきらぼうな水木しげるを演じ、世が世ならSの女王であってもおかしくない松下奈緒が従順で貞淑な妻をやっているあたりの倒錯もすてき。

さて、龍馬伝。思えば息苦しかった第二部が終了。こんどは“ナビゲイター”篇。幕末版どてらい男(やつ)となった龍馬の、それこそ腹芸の開始。よかったよかった。

このドラマでブレイクしたのは貫地谷しほり。それまで、「ちりとてちん」をはじめとして、評価は高いが視聴率はとれない女優として有名だったけれど、千葉佐那役で完全に払拭できたか。今回はオープニングに登場させて視聴者をゲットする役割まで担っている。「キミ、犯人じゃないよね?」のコメディエンヌぶりが再現されていてうれしい。

ついでだけど、あの番組のコンセプトをそのままいただいたかのような「うぬぼれ刑事」(TBS)は最高ですなー。宮藤官九郎のギャグ爆発。なんだよ「余命3、4日の花嫁」って(笑)。

その、「キミ~」で主役だったのにすっかり脇にまわった要潤と、前回の犯人役だった蒼井優が第三部では活躍が予想される。企業戦争と化したかのような長州と薩摩の争いに、調整役として参画する龍馬と、企業ドラマらしく女スパイとして暗躍する蒼井優。

それ以上に、福山雅治と伊勢谷友介(あしたのジョー、楽しみにしてる)という、“顔の絶対値が高い”男優をふたりもそろえてぜいたくなことだ。今回の視聴率は今度こそ20%と読みました。

第30話「龍馬の秘策」につづく

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うまい店ピンポイント~ラーメンの町余目「ケンチャンラーメン余目店」

2010-07-17 | 食・レシピ

Kenchanamarume02 田村食堂特集はこちら

これまで何度も高名なケンチャンラーメンについてはふれてきた。平田の鈴木そばに源流があり、弟子筋だった“ケンちゃん”が港南小学校近くに店をかまえ、いまではチェーン店を県内に展開して大成功している。

その要因は、何といってもその“強い味”。若い客が特に熱狂しており、他のお魚系である酒田のラーメンのおとなしさとはおおいに違っている……らしい。

らしいというのは、わたしは平田&鶴岡の鈴木そばのガツンとくる味よりも、三日月軒が代表するあっさり系が好み。それでなくても混雑が伝えられるケンチャンラーメンにわざわざ向かうまでもないと思っていたので、実は一度も行ったことがないんです(笑)

ところが、余目店の場合はウチの職員たちが

「ケンチャンラーメンのなかでいちばんおいしい」

「酒田の味に近いかも」と情報提供があったのだ。ほー。

行ってみました。
いやはやわかりにくい場所にあるなー。交通機動隊がバシバシ出撃する警察署のすぐ裏ということだけはわかっていたので、迷うことはなかったけれど。

で、駐車場は例によって満杯。店も混み混み。大人気である。姉御肌な店員はフレンドリーで、若い連中がいかにも好みそうな味とマッチしていましたよ。

次回は「萬人」篇。のはずだったんだけど喜多方篇!

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史劇を愉しむ~第14章「ワルキューレ」 Valkyrie (2008 UA)

2010-07-16 | 洋画

Valkyriep2 第13章「風とライオン」はこちら

 かなり周到な脚本。というより、現実のヒトラー暗殺計画自体がなかなか考えてある。

反乱を鎮圧するときに自動的に発動される計画名が「ワルキューレ」。だから反乱が起きたように偽装して予備役を動員し、ヒトラーたちを孤立させる計画。しかも暗殺を行う実行者に、戦闘によって片眼と指を二本失ったシュタウヘンベルク大佐(トム・クルーズ)を選ぶことでヒトラーに近づく可能性を高めている。

 しかし戦況の悪化とともにヒトラーの暗殺は何度も企てられたようで、だからこそシュタウヘンベルクの計画は困難をきわめた。

もちろん、わたしたちはヒトラーは暗殺されず、敗戦前に自害した歴史を知っているから、計画の失敗が前提なので映画化はしんどい。そんなもん歴史がどうあれ殺しちゃえばいいじゃんか、と突っ走るのは「イングロリアス・バスターズ」のタランティーノぐらいのもので、監督ブライアン・シンガーと脚本クリストファー・マッカリーの「ユージュアル・サスペクツ」コンビは正攻法でサスペンスを積みあげる。

 でもね、どこか作品の芯のところがずれている気がした。ユダヤ人であるシンガーとしては、この映画に気合いを入れまくったことだろう。が、そこはハリウッド映画の限界で、アイパッチをしても容姿端麗なトム・クルーズや、いかにもイギリス人なケネス・ブラナー、ビル・ナイ、テレンス・スタンプがドイツ軍人の苦悩を描くのは無理があった気がする。連合軍をまったく登場させないなど、工夫はしているんだけどなあ。

 数々のトラブルのために“呪われた作品”のような印象があった「ワルキューレ」にとって、最大の難関が“敬虔なカトリック教徒として有名だったシュタウヘンベルク”を、サイエントロジーというカルトの信徒であるトムが演じることへのバッシングだったあたり、やっぱり呪われているのかも。

第15章「アラビアのロレンス」につづく

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高速無料化

2010-07-15 | まち歩き

高速道無料化 社会実験交通量増全国3位独占

 全国37路線50区間の高速道路を対象とした無料化の社会実験で、国土交通省が6日にまとめた開始前後の交通量調査で、県内区間は、増減率(平日)で全国トップ3を占めるなど顕著な効果が表れたことが分かった。一方、無料化区間と並行する一般道の交通量は、軒並み減少した。交通量調査では、実験開始後の6月28日~7月2日と、開始前の6月21日~25日の平均値を比較した。

 その結果、東北中央自動車道(山形上山―山形中央間)が4.22倍、米沢南陽道(米沢北―南陽高畠間)が3.68倍、山形自動車道(庄内空港―酒田間)が3.46倍と上位3位を独占した。

全区間で見ても、平日は約1.8倍増となり、利用の少なかった路線を中心に交通量の増加が目立った。一方で、並行する一般道は交通量が減少し、混雑緩和に一定の効果が見えた。6月29日と同22日を比較したデータでは、全国平均で18%減。県内の並行一般道は、山形自動車道西川―月山間が37%減、米沢南陽道米沢北―南陽高畠間が29%減、山形自動車道庄内空港―酒田間が9%減、東北中央自動車道山形上山―山形中央間が8%減だった。
(2010年7月7日  読売新聞)

「料金ハ、ゼロ円デス。」

 どうして山形県内が上位を独占するようなことになったんだろう。考えられるのは

・山形県人はケチなのでいままで利用したくてもしていなかった。

・ちょうどさくらんぼ狩りの季節とバッティングした。

・いままでがあまりにも利用数が少なかった。

・みんなが利用するんならオレも、と付和雷同した。

……おそらく、みんな正解なんだと思うな。

わたしは毎朝、酒田みなとIC~酒田IC間の山形自動車道の下をくぐって通勤している。これまではめったに自動車道を通るクルマを見かけなかったのに、いまは通勤ラッシュとあいまってビュンビュンである。

眺めながら、ちょっとくやしい思いでいるのだ。なぜなら、酒田の場合は最上川に架橋されているのが(事実上)出羽大橋と両羽橋だけだったのに、この無料化によって、もう一本の橋が架けられたのと同様の効果を生んでいるわけ。まことにめでたい。でもこういうことは去年までの、オレが出羽大橋を通っていた時期にやってくれないと(笑)。

わたしが自動車道を利用すれば便利なのと同時に、冬期間のあの気が遠くなるような一般道のラッシュが緩和されるに違いないからだ。かくして、県内の自動車道利用者はもっと伸びるにちがいない。数字がのびなかったら実験は失敗という結論になるだろうから、ひとまずホッ。ちょっとくやしいけどホッ。おそらくは民主党もホッ。

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「マイレージ、マイライフ」 Up In The Air (2009 パラマウント)

2010-07-14 | 洋画

Up_in_the_airp 鶴岡まちなかキネマで鑑賞。夜遅くに帰ったので、妻と娘は

「お父さんは“会議か映画ね”」

とうなずきあっていたそうだ。ああそうざんす。オレの人生は会議か映画。

 原題はUP IN THE AIR。年間322日も出張に出ているリストラ宣告人(いちおう、転職サービスということにはなっている)のライアン(ジョージ・クルーニー)が、まるで飛行機をわが家のように感じていることと(→裏技に裏技を重ねてスマートに搭乗手続きをするシーンは泣ける)、家族や結婚といった“重荷”から逃げまくって宙ぶらりんであることのダブルミーニングになっている。

 この作品にはそんなひっかけがあきれるほど仕込んであり、単純な家族礼賛映画にはなっていない。たとえば……

・人生の目的がマイルをためること(1000万マイル!)であるライアンの激しい移動と、彼の妹夫婦の『パネルを利用した、各地に行ったつもりの写真』の乱舞が二重写しになるうまさ。

・ライアンにとって都合のいい、セックスだけの関係のアレックスとのダンスに流れるのはシックGOOD TIMES。大学を首席で卒業し、しかし彼氏を追いかけてリストラ稼業に従事する新人ナタリーがカラオケで歌うのはシンディ・ローパーTIME AFTER TIME。次第にとまどいを見せ始める主人公にかぶるのはグラハム・ナッシュのBE YOURSELF。うまい。

・リストラ宣告にみごとな技を見せることから、家族関係から逃避してきたライアン自身が結婚にしりごみする妹の婚約者を説得させられる皮肉。完璧な論理で説得に成功した(わたしまで思わず「結婚ってすばらしい!」と誤解しそうになった)ライアンに姉がひとこと「これで、ようやく家族になれたわね(Welcome home.)」。

……ほんとうにリストラされた経験をもつ人たちを起用しただけあって(「スパイダーマン」の編集長役のオッサンもそうだったのかなあ)、理不尽な宣告へのリアクションはまさしくリアル。

実は陰鬱なお話を、ここまでユーモアたっぷりに語るかジェイソン・ライトマン。ジョージ・クルーニーのラストのつぶやきは、上質の現代小説を読みおえたかのよう。傑作だ。

いやしかし、昼間の国内便のトイレの中でセックスをしたことのある女(笑)、アレックスを演じたヴェラ・ファーミガにはびっくり。こんなすごい女優がいたのかっ!必見!ってもうすぐ上映は終わっちゃうけどっ。

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