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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ルパンの帰還」「ホームズの娘」横関大著 講談社文庫

2020-11-23 | ミステリ

こういうゆるゆるのミステリって大好き。しかも第1作「ルパンの娘」よりも数段面白かったです。

ドラマの視聴率は悪いらしいけれど(すみませんわたしも見てません)、ルパンの娘が深田恭子で、ホームズの娘が橋本環奈というのは完璧にイメージキャスト。

これで原作が売れれば(きっと売れてるはず)、シリーズ化は必然。にしても、「K2」といい、横関作品のドラマ化がつづいている。テレビ向きなのかもね。このゆるさが。いいと思います。

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麒麟がくる 第三十三回 比叡山に棲む魔物

2020-11-22 | 大河ドラマ

第三十二回 「反撃の二百挺」はこちら

公平を期すために先に言っておきます。知らなかったことがたくさんありました。

今回は比叡山延暦寺焼き討ち前のお話。織田信長の残虐性を象徴するエピソードだ。そこにいたるまでにどんな経緯があったか。

・その時点で織田は圧倒的に不利な立場にあった

・叡山の座主である覚恕(春風亭小朝)と正親町天皇(坂東玉三郎)は兄弟だった

……知らなかったです。

ここで大きな話と小さな話を結びつける池端俊策先生の脚本が機能する。延暦寺に立てこもった朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)は、こう結論づける。一向一揆との対峙に疲れ果てた彼は、宗教勢力と対立することがどれだけ無益かと。光秀はそれを聞いて(あるいは感服したふりをして)覚恕と会わせてくれと申し出る。

そして覚恕はあからさまに兄へのコンプレックスを吐露する。普通、得体の知れない、しかも敵の懐刀と認めた人間にここまで語らないとは思うけれども、このドラマのキモです。

「兄は美しい」

そうかこの設定のための玉三郎の起用だったのか。そりゃ、誰にも文句は言えない究極のキャスティングですよね。そして弟のコンプレックスのことを兄は承知しているというお話でした。

思えば池端俊策さんの「太平記」も相容れない兄弟の話だった。そしてたいがいの大河で、弟は排斥される存在。長子相続というのは、やはり日本人にぴったりの制度なのかなあ。そう考えないと天皇制というのは理解できないですしね。わたし次男なんですけど。

にしてもねえ、このドラマは長谷川博己が主演であることが絶対的前提ですよね。熱狂タイプの役者が主演だとこうはならないもんな。あ、思えば「太平記」の真田広之もそうだった。長男もつらいよなあ

第三十4回「焼き討ちの代償」につづく

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追悼岡田裕介。

2020-11-21 | 芸能ネタ

ごめんなさい今日は野球の話だけはやめて(T_T)

岡田裕介の死去にはやりきれない気持ちでいっぱいだ。

だってさんざん悪口を言ってきたものねえ。企画に冴えは見られず、吉永小百合との関係でだけで“製作者”だったわけで、あとは不動産屋になりたかったんでしょう?

いかん、また悪口になってしまう。

東映という悪所を彼が担うことになったのは、もちろん岡田茂というお父さんの威光があったからだろう。

それが悪いことだとは思わないの。そういう会社だったからこそ若殿への継承は成立したし、東宝の青春映画への主演はむしろ好感されたのだと思う。経営者としてだけは彼は無能には思えなかったもの。映画にかかわらなければよかったのかなあ。

にしても、二代目三代目への継承はこれで完全に途切れた。東宝のテニスボーイ(松岡修造)は幸せそうだし。あ、松竹だけはわかんないなあ。あそこは松と竹の兄弟会社ですから。

妻が部屋に来たので

「岡田裕介死んだんだねえ」

と言ったら、例によって高齢者のほらほらパターン。

「ほら、あれでしょ?あの人が出たのは」

「……えーと赤い鳥逃げた?だったかな」

「そうよそうよ。庄司薫の原作よ」

「待って、検索する!」

「赤頭巾ちゃん気をつけて」でした。ふううう。

そっから先は妻の独壇場。

「ヒロインは森本レオの奥さんだったでしょう?」

「そうなんだ。ってことはあの騒ぎはしんどかったろうねえ」

「……その騒ぎってなあに?」

うちの奥さんの芸能ネタは偏りすぎている。

 

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「昭和芸能界史 戦後の芸能界は如何にして成立したか 昭和20年夏~昭和31年篇」塩澤幸登著 河出書房新社

2020-11-21 | 芸能ネタ

著者は雑誌「平凡」の記者だった人。といっても、「平凡」自体を知らない人がもう多数派なのかな。芸能という存在をアイドル的な興味に押し上げた、というか押し込めた存在かも。十代や二十代の女性にとって、必須の存在だったはず。

どのような存在だったかはこの書でも紹介されている。

オーミケンシ(近江絹糸)という会社があって、わたしが学校事務職員になったばかりのころは、ここからいつもうちの社員はこんなに幸福に勤務していますという社内報みたいなのが学校に届けられていて、なんでだろうと思ってました。あったんだ凄い過去が。

この会社は自社で高校を営んでおり、その生徒を工員として働かせ、しかもどうやら宗教的行事に強引に参加させ、結婚も同居も御法度という驚愕の経営方針。女工哀史はまだ生きていたわけ。1954年の話です。

こんなひどい経営だから、労働組合としてストをやろうとなっても、なかなかそうはいかなかった。でも会社の方針として

「平凡を読んではいけない」

が示された途端に労働争議スタート。会社側の完全な敗北に終わる。芸能人の記事を読みたい、アイドルの写真を見たいという欲求の勝利。

その平凡は芸能界(そんな言葉は当時も今も辞書的には存在しない)と並走することで部数を伸ばし、集英社が同じような体裁の「明星」を創刊してからも百万部を超える発行部数を誇った。しかも毎号ほぼ完売。これはいまの出版関係の人たちにとって夢のような事態だろう。

小学館の子会社だった集英社は、ご存じのようにそのような経営方針だった。売れている雑誌をまねろと。だから平凡には明星、平凡パンチには週刊プレイボーイ、an-anにはnon-no、近代映画社のスクリーンにはロードショーといった具合に。あ、雑誌関係だけでこんなに行数をくってしまった。以下次号

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「がんばれ!ベアーズ」The Bad News Bears(1976 パラマウント)

2020-11-20 | 洋画

黒人、ユダヤ人、メキシカン、不良、そして女の子まで参加する寄せ集め少年(少女)野球チーム。プールの清掃人として酒に溺れる中年男は、マイナーリーグにいた過去を買われて監督に雇われる……

ほぼ四十年ぶりに再見。最初に見たときも、子どもたちの物語であると同時に中年の再生物語であることはもちろん気づいていたけれども、ここまで周到な話だったとは。

監督を演じたのはウォルター・マッソー。運転席でバドワイザーを開けるのはもちろん、そこに強い酒を加えるあたりの小技がうれしい。だから彼はバターメイカーという名なのに、昔の彼女の娘であるテイタム・オニールからボイラーメイカー(ビールとウィスキーのカクテル)と呼ばれたりする。

選手を徹底的にしごき上げるライバルチームのコーチはヴィック・モロー。今ではジェニファー・ジェイソン・リーのお父さんと言った方が通りがよさそう。そんなモローとゆるいマッソーを対比して……という単純な図式ではなく、マッソーもまた勝つことに執着するようになるあたりがうまい。おれはルーザーじゃないぞという意地。しかし子どもたちの顔を見て……

テイタム・オニールが例によって妙になまめかしいのがおかしい。

「もうすぐブラをつける年ごろなのよ!」

あははは。

監督はロバート・レッドフォードと組んで「白銀のレーサー」「候補者ビル・マッケイ」を撮ったマイケル・リッチー。そして脚本はビル・ランカスター。なんとバート・ランカスターの次男です。

1976年の作品。小さな役の女性キャストが、露骨にノーブラであるあたり、70年代だなあとしみじみ。あれ?おれはなんで今回はブラジャーにこだわっているんだろう。

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まちキネは死なない。

2020-11-19 | 映画

朗報。

5月に閉館した「鶴岡まちなかキネマ」の土地と建物を、鶴岡市社会福祉協議会が事務所の移転先として購入し、一部は映画の上映も可能な交流スペースとして残されるのだとか。

しかも、地元商店街の店主らが運営する「山王まちづくり」にそのスペースを無償で貸し出すという。まちづくりの三浦社長はミニシアターとして活用したいとコメントしている。

いい話だなあ。

背景には様々な要因があったろう。素人ながらに考えると

・荘内銀行が、不良債権化することを嫌った

・たまたま社会福祉協議会が手狭だったということになっている

・建物として評価が高かったし、広大な駐車場も好感されただろう

・改修費に交付金が使えるめどが立った

・運営者に3年総額800万円の補助金を支出する予定であるなど、鶴岡市(いい市長なんだ)が乗り気になっている

そしてなにより

・市民の強い要望があった

存続への署名に協力したわたしとしてもうれしい。あの、平日の朝から映画館に来てくれる高齢者の方々だってホッとしているはずだ。

これまでと同じような上映は望むべくもないけれど(広いキネマ1と2の部分を社協が使い、3と4の小さいスクリーンを上映に使うのだろう)告知があったらせっせと通うことにしよう。

閉館以来、わたし鶴岡市街で食べてないので、経済効果も大きいと思いますよ(どんだけ食ってたんだ)。行くぞ琴壱とか龍横健とか。ああ、早く始まらないかな(移転は2022年度ですって)。

画像は「ハンナ・アーレント」岩波ホールでやってたのを鶴岡で見れました。これは本当に傑作。

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明細書を見ろ!2020年11月号 人事委員会勧告2020

2020-11-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

小泉今日子 / 夜明けのMEW 1986-8-13

2020年10月号PART2「たとえそれが象牙でも」はこちら

県職員ボーナス、10年ぶり下げ 20年度人事委勧告、月給は据え置き

県人事委員会(安孫子俊彦委員長)は12日、2020年度の県職員給与について、月給は据え置き、ボーナス(期末・勤勉手当)は0.05カ月分を引き下げるよう吉村美栄子知事と金沢忠一県議会議長に勧告した。14年度以降はプラス勧告が続いていたが、新型コロナウイルスの影響などを受けた民間との格差是正を図った。月給の据え置きは7年ぶり、ボーナスの引き下げは10年ぶりとなる。

県人事課によると、勧告を完全実施すると、人件費総額は約3億8千万円の削減になると試算している。

勧告を受け、吉村知事は「勧告の趣旨を尊重し、国と他県の取り扱い、厳しい財政事情など諸般の情勢を総合的に勘案した上で適切に対処したい」とのコメントを発表した。

11月13日付山形新聞より抜粋

……コロナのおかげで大幅に遅れた勧告。内容は記事のとおりです。他県もほぼ同様の勧告ですが、独自削減策をとっているところはもめているみたい。まあ、山形県にしても他よりもボーナスの月数が少ないんだから……言うまい言うまい。

勧告は給与のことだけふれるわけではありません。今年も、働き方改革がメイン。

・年次有給休暇について、年5日以上の確実な取得に関する労働基準法の趣旨及び国家公務員の取組みを踏まえ、取得しやすい環境づくりに努めていくことが必要。

・学校においては、教職員の多忙化の解消に向け、教育委員会規則等を踏まえた勤務時間管理の徹底、業務の見直しや役割分担の適正化等の取組みを一層推進することが必要。

……と学校が名指しされている項目もあります。学校事務職員の勤務軽減のために、まずはみんな毎朝出勤簿に判を押せ!特に来週!

追悼筒美京平

わたしにとって、彼の作品のベストスリーは

「真夏の出来事」平山三紀

「色づく街」南沙織

「夜明けのMEW」小泉今日子

だろうか。KISSの「I Was Made for Lovin’ You」を桑名正博の「セクシャルヴァイオレットNo.1」に仕立て直したテクニックはさすがだったなあ。

2020年12月期末勤勉手当号「PayPayの街」につづく

 

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「ミレニアム6 死すべき女(上・下)」ダヴィド・ラーゲルクランツ著 早川書房

2020-11-18 | ミステリ

「ミレニアム5 復讐の炎を吐く女」はこちら

そうなんだ。ラーゲルクランツの新ミレニアムも三部作で終わりなのか。わたしはこの三作も大好きだったけどなあ。

はたしてオリジナルのスティーグ・ラーソンが書き続けていたとして(彼は50才でこれだけのベストセラーになることを知る前に亡くなった)リスベットを最後まで使うつもりだったのかなあとは思う。

とてもとても魅力的なキャラで、危ない人間性もいいのだが、最初からこのシリーズを通底するキャラに選んでいたかは微妙だと思っている。反論もあるでしょうけれども。

どうやら契約でこのシリーズはもめまくっているらしい。そういうことも込みでミレニアムだなあと(笑)

にしてもね、ラーゲルクランツはこのシリーズを継いだことでうつ病まで発症したらしい。そうなるよねえ……

 

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「完全版 社会人大学人見知り学部卒業見込」「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林正恭著

2020-11-16 | 本と雑誌

最新エッセイ「ナナメの夕暮れ」のときもつくづく思ったの。この人は天才ではないだろうか。自意識過剰をこじらせ、そこから突き抜けるとここまでの域に達するとは。

なにしろ名言の連続なのである。

よく時間を無駄にしていた。ネタ合わせと称して昼間から公園に相方と集まりキャッチボールだけをして帰宅したり、夏場は体を動かしながらだと良いアイデアが生まれるかもしれないと理由を無理やり作り区民プールに集まり潜水だけをして帰宅していた。
そんな日々が八年ぐらい続いたおかげで、ぼくは変化球が五種類投げられるようになって、相方は潜水の日本三位(当時)の記録保持者だったりする。

時と場合で、自分の趣味や感覚を押し引きする。
好きなものは好きでいいじゃない!
好きなものを好きでいるために、自分の感覚に正直でいるために場を選ぶのである。
現実性に納得できない人間に有効なのはゲリラ戦なんだ。

最近、打ち合わせに参加させてもらう番組で、企画が頓挫しそうな時に、いわゆる高学歴のよく学んできたスタッフさんは問題の壁に対して前、後ろ、横、斜めと様々なアプローチを試みる。
ぼくは質問した。「学生の頃、なぜ勉強しなければいけないか悩みませんでしたか?」
「え?そういうもんだと思ってたから、悩んだことはないなー」
愕然とした。何か自分に足らないものを見せつけられたような気がした。

天才は「結果が全てだ」と言えばいい。自分にはそれは関係のないものなのだ。
特にすごいわけじゃなく、特にダメじゃない。そんな自分の自己ベストを更新し続けていれば、「結果」があとからやってこようがこなかろうがいいじゃないか。特別な才能がないから自己ベストを更新し続けるしかないという諦めは、ぼくにとって自信になった。

こんな人がいきなりひとりでキューバに旅立つという仰天の展開。亡父との心のなかでの対話が泣かせます。

にしても、オードリーが、前は若林がボケで春日がツッコミだったとは……(ちょっと見てみたい)

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麒麟がくる 第三十二回 反撃の二百挺

2020-11-15 | 大河ドラマ

第三十一回「逃げよ信長」はこちら

「泣いたことはおありですか」

「ある」

確かに、泣きたいときってあるよね。吐き出したいことがあって、でもそのことが許されないとき(日本の男にはあまり許されない)、泣くことができたらどれだけいいだろう。でも光秀も将軍義昭もそれはできなかった。

そういうことで男たち(もちろん女たちも)は屈折していく。光秀は秀吉とともに損な役回りであるしんがりをつとめて帰って来たのに、評価は思わしくない。

アンシャン・レジーム(旧制度)の代表であるかのような摂津晴門(片岡鶴太郎)に皮肉を言われてしまう。ああいますよね、こういう人は自分に疑問を持っていないものだから強い強い。


光秀は常に惑(まど)っている人だから、声を荒げはするけれども将軍からはスルーされてしまう。ストレスたまるって。でも、妻と子どもがやって来て彼を癒やす。他の登場人物とはそこがちょっと違うあつかい。実際にそうだったんだろうけどその後は……

そして今井宗久を経由して筒井順慶登場。駿河太郎は本当にいい味を出していると思う。お父さんとは違う感じでね。洞ヶ峠を決め込むという意味でネガティブな評価がつきまとう筒井順慶だけど、若い頃に読んだ、子孫であろう筒井康隆がそれに激怒していた。それ系の漫画も自分で描いてました。読んでます。

今井宗久役は陣内孝則。実はこの人ほど大河ドラマに愛されている人もいないんじゃないか。

独眼竜政宗」で豊臣秀次、「毛利元就」で陶晴賢、「軍師官兵衛」で宇喜多直家、そしてなんといっても「太平記」での佐々木道誉である。

乾いた笑いをイメージしたときに、NHKはファーストチョイスとして彼を選ぶのかもしれない。それ、正解です。今回のウエスタン風のタイトルもつくづくといい。

第三十三回「比叡山に棲む魔物」につづく

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