お寺のオバサンのひとりごと

心のマッサージにお寺へ行こう!

認知症に対する認知とお寺

2016年03月06日 | 雑感
 先日のビハーラ佐賀「基本学習会」は、「認知症を学び地域で支えよう」がテーマ。
 お話くださったのは、佐賀県認知症介護指導者のM氏。
 M氏が、介護施設にお勤めなのは言うまでもありませんが、実は、浄土宗の僧侶でもあられます。

 公の場では話されないことですが、今回、お寺での研修会ということで、仏教の観点からもお話くださいました。

 老母のおかげで、私もいくらか(微々たる)認知症についての知識はありましたが、今回、認知症にいたる脳の医学的変化と認知症の方の心理状態(不安感)がよくわかり、大変勉強になりました。

 例えば、脳の記憶機能で、側頭葉にある「海馬」 が 大切ということだけ、知っていましたが、
 今回、初めて知ったのは、
 情報が入ると、海馬(幅が2,3cm)で、一旦、記憶保存、整理、海馬に蓄えられている記憶は過去2,3年分。それ以前の記憶は大脳皮質に蓄えられている。

 認知症の半数以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、この海馬が萎縮することで始まり、新しいことが記憶できなくなる。
 新しい記憶ほど、海馬に近いので、最近の記憶から欠落してゆき、奥に貯蔵された若い頃、幼い頃の記憶が残る。
 
 脳の萎縮は側頭葉の海馬から、頭頂葉に広がってゆき、場所や空間も分らなくなる。

 ただし、感情を司る脳の「扁桃体」は、長い間、機能が保たれるので、感情は豊かであり、したがって、「不安感」が強い。

 認知症の方への対応心得は3つの「ない」

 1,驚かせない(後ろから声をかけたりしない、必ず正面から目を合わせて)
 2,急がせない(話も、おだやかに、はっきり、ゆっくりする)
 3,自尊心を傷つけない

 そして、最後に、高齢者がついてゆけない時代の急激な変化の中、何百年と変わらない「お寺」の存在意義について

 全国のお寺の数はコンビニに数より、ずっと多い。
 本来、お寺は最も古くから地域に根ざした社会資源
 僧侶は、誕生から死まで人生のあらゆる場面に関わる最強のソーシャルワーカー

ということを熱く語られました。
 
 小さい頃からお寺に馴染んでいたら、記憶がだんだん失われても、お寺に来れば、幼い頃の記憶のままホッとできるのではないでしょうか。
 例えば、自分の実家だって改築されて元の間取りではないことが大多数でしょう。幼い頃の記憶の「実家」ではないので、認知症患者さんは、不安になり「帰りたく」なります。でも、お寺の本堂は変わりなく、幼い頃の記憶のまま存在します。

 少数のビハーラ会員で聞くのは、もったいない。僧侶研修会で、必要なお話と感じつつ、拝聴いたしました。

 

 
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