散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

3度目の静岡(16)

2019年02月10日 22時54分20秒 | 飲み歩き・道外(東京以外)
1軒目満席、2軒目は休みとあって、迷走していたがそのおかげでいいバーに出会った。少し陽気になって、長い道を戻る。やはり「OB」に行こうではないか。

しばらく歩いて戻り、店の扉をあけて「一人」というと、一番奥の方の席が空いているそうだ。よし、やったね。ものすごい大勢の人の中を通り抜け、カーブした長いカウンターの1席に座る。とりあえず、ハイボール、刺身盛り(小)を注文。

ふー、やっと落ち着いた。この店は大衆の中の孤独を味わうにはもってこいだ。刺身はマグロ、カツオ、ホタテ、白身の4品。そんなに素晴らしくいいわけじゃないが、まあ、そこはいいではないか。



続いてコップ酒をもらい、名物らしい湯豆腐を注文。コップ酒は210mlあるという、たっぷり感が嬉しい。湯豆腐は上に海苔、鰹節、ネギがたっぷり乗り、醤油あんのようなものがかかっている。関東と関西(だし汁がかかっている)の中間的なスタイルかもしれないな。そして店の雰囲気が実にいいのだ。





周囲の少しざわめく空気感を味わいつつ、先程からずっと昭和歌謡曲が流れているのもたまらない。小泉今日子「木枯らしに抱かれて」、「We are the World」とかね。

もう少し何か飲み食いしたいところだったが、酒は多めだし、腹もいっぱいになって来た(少食すぎるか)。ここで勘定をしてもらう。札幌にこの店があったら、時々行ってこの感じを味わうことであろう。





ふらふらとホテル方向に向かい、途中でコンビニに立ち寄って夜食と明日の朝食を購入。



プリンは記憶にあるが、緑茶割りははて、最後まで飲んだだろうか。

 


3度目の静岡(15)

2019年02月10日 19時17分08秒 | 飲み歩き・道外(東京以外)
すっかり疲れて、帰りのバスに乗車。熱海駅に戻り、今日はすぐ静岡に戻ってしまおう。日曜日でも営業している沼津のバー「V」には行きたいけどなあ…。開店まで2時間以上あるからな。

かなりウトウトしながら静岡に戻る。よし、今日行くのは「OB」だ。ここはバーという名前から想像がつかないほど居酒屋っぽい店らしいが、古くからあり人気が高いらしい。

店まで10分ほど歩いて行くと、おお、どうやら店の前に人がいる。アジア系の人と思えるので「みなさんは待っているのですか? Are you waiting?」と聞いてみると、その通りとのこと。予約の客は入れるのだが、予約なしの我々はいつ入れるのかわからない感じだ。

よし、ここは一旦諦めて、バーに先に行こう。静岡の街はそんなに広くないので、大したことはないだろうと思ったが、15分は歩いたかな。非常に見つけにくいという店の前にたどり着いた。

さあ入るかとドアを引くと、あれれ、鍵がかかっている。慌てて調べると、日祝休みか…。飲食サイトの検索で「日曜日も営業中の店」という条件で調べていたはずなのだがなあ。

さて、どうするか。そういえばここに来る途中に「BAR」という看板があった。そこまで戻ってみると18時開店ということで、少し時間があるが、ぶらぶら歩いて時間をつぶしてから戻り、開店直後のバー「LR」に入ってみる。



店内は落ち着いたおしゃれな感じ。バックバーにはクラフトジンが目立つだろうか。店主はがっしりした体つきで、三つ揃いを来ているのが、普通のバーテンダーとは少し違う感じだ。

ちゃんといろいろ書いてあるメニューを参考に、最初の一杯はモスコミュールだ。自家製のジンジャーエールを使っているということで、なかなか刺激的な味。美味い。



まだ会話がほぼない緊張感の中、2杯目はロブロイを注文する。ティーチャーズ(現行ボトルではなく43度)を使ったロブロイはかなりウイスキーの味がしっかりしている。「ティーチャーズ、なかなか良いですよね」というと、現行ボトルではないものを見つけたら購入し、使っているそうだ。

また、ミキシンググラスがスチール製だったので「珍しいですね。何か特徴があるのですか?」と聞いてみると、日本の金属加工メーカーが作ったものらしい。シェイカーも作っているとのことだが、一般的なシェーカーが円周方向に研磨をするところ、縦方向に研磨するため、氷のあたりが少ないとのこと。

この話を聞いているとシェイクしたカクテルが飲みたくなり、特にお願いしてギムレットを作ってもらった(実はギムレットは普段これとは違うストレートなシェイカーで作っているらしい)。

この店のギムレットは比較的しっかりした甘さがある。バーテンダー氏の考え方なのだそうだ。もちろんシェイカーの研磨方向で味が違ったかどうかは分からないが、美味いギムレットであったと言えるだろう。

最後に観光客であることを話したところ、静岡市内のバー案内カードをもらい、次の店へ。


3度目の静岡(14)

2019年02月10日 15時30分31秒 | ART
三島駅に戻り、次は熱海だ。ちなみに三島駅は南北が分断されており、連絡通路というものが無い。入場券を買うか、乗車券を持っている人は1回に限り駅構内を通って出入りOKなのだとか。これを回避するためには10分程歩かないとダメらしい。こんなひどい駅ってあるか?(調べたところ、あることはあるらしい)



10分強の移動(JRのエリアをまたぐせいか、運賃が高い)で熱海に到着。まっしぐらにバス乗り場に行ったところ、MOA美術館行きのバスは10分後の出発であった。

最初はそんなに人がいなかったのだが、徐々に人が来て、最終的には満員のバスが出発。約7分間でMOA美術館へ。ノロノロしている人たちを置き去りにしてチケットを購入し、長いエスカレータを驀進して展示室へ。



▪️MOA美術館「リニューアル3周年記念名品展第1部 国宝「紅白梅図屏風」」。
以前来たときはごった返して落ち着いてみることのできなかった「紅白梅図屏風」だが、すこし様子をみれば、この通り正面から撮影できるのである。



酒井抱一「雪月花図」:松の緑と雪、薄墨だけで描いた月と雲、白い花と3つの作品が対照的だ。重要美術品。



「阿弥陀如来」:仏像もあまり大きなものはないが、何点か展示されていた。



「過去現在絵因果経断簡」:松涛美術館で醍醐寺に伝わるものを見たことがあるが、こちらも断簡ながら美しい色が残っている。重文。



村瀬和美「蒔絵螺鈿八稜箱「彩華」」:特集展示されていた人間国宝の作品。華やかで、蒔絵は星雲のような印象を与える。


私が前回来たのは4年前なので、リニューアル後は初めての訪問となる。全体的に落ち着いた室内、低反射のガラスはかなりいい。また所蔵品は全て撮影可能ということでありがたくもある。これで、他の観覧者がいなければなあ(←無茶な発言)。特にガラスにベタベタ触る人には、この先、未来永劫入館禁止の厳罰を与えたいものである。

3度目の静岡(13)

2019年02月10日 13時35分17秒 | 食べ歩き
さあ、腹が減って来た。土日は12時台のバスがないため、ここで昼食を食べるしかない。驚くような金額の日本料理店もあったが、それは避けて「TH」というカフェテリアのようなところへ。スペシャルランチプレートとシードルを注文。しかし、ここも寒いね。コートを脱ぐことができないよ。

先にシードルがやって来た。アルコール感は少ないが、香りはいい。



そしてランチプレート。ジャガイモのスープ、ラザニア、ライスコロッケ、鯖燻製、生ハムサラダ、パンがセットになっており、食事と思うこともできるが、酒のつまみと思うこともできる品揃えだ。



思った以上にちゃんとした料理に満足する。この美術館は展示施設(ちょっと寒いんだけどなあ)、順路と案内表示、レストランなどに、交通関係も良くできているように思う。

さて、時間がまだある。井上靖文学館には興味がないしなあ。

 

しょうがないので、シャトルバスで15分かかるというヴァンジ彫刻庭園美術館の方まで歩くか。ここは道のアップダウンがあるものの、私の足では5分強で行けた。

そしてチケットセンターに併設されている本屋さんで時間を潰し、やっと三島駅に戻るバスがやってきた。

3度目の静岡(12)

2019年02月10日 12時36分35秒 | ART
三島に到着し、バスを待つがかなり寒い。



やっと9:40のバスが来て乗り込む。



目的地はクレマチスの丘である。バスで25分ほどかかりクレマチスの丘に到着。まず最初にヴァンジ彫刻庭園美術館へ。ここのチケットセンターでビュフェ美術館との共通券を購入する。



草間彌生「明日咲く花」がお出迎え。



入口には「風景の中の人物」というヴェネチアンガラスによるモザイク壁画がある。



中に入って見ると建物の手前に彫刻、花、石などが置いてある庭園がある。中央部は何だか賽の河原のようだ。



ヴァンジ「壁をよじ登る男」:これはテレビ番組か何かで見た記憶がある。



次に美術館に入り、常設展と企画展を見る。
■ヴァンジ彫刻庭園美術館「黒田泰蔵 白磁」。庭園美術館の建物を使った、白磁の展覧会。雰囲気は悪くない。



■同「常設展」。
ヴァンジ「海辺のカモメの群れと男」:非常に複雑な形の彫刻。この人面白いね。



ヴァンジ「水の中を泳ぐ男」:あまりこれまで見たことのない造形という気がする。新鮮だ。



ヴァンジ「浜辺の女」:人物彫刻がほとんどなのだが、この作品では見ての通り台の部分に寄せる波が表現されている。こういう一味くわえたことで、何か全く新しい風景のようなものが見えてくるのだ。



さらに裏庭側にも庭園があり、彫刻が置いてある。全く知らない名前(ヴァンジ)の美術館だけあって、さほど期待していなかったのだが、想像以上のスケール感ではないか。おまけに寒いせいもあって、ほとんど人と重なることなく観覧できたのも、雰囲気が良かった。

裏庭にあった、題名不詳の作品。



無料シャトルバスに乗り、次はビュフェ美術館へ。



こちらの美術館では写真撮影ができなかったが、美術館の前庭にビュフェ「Le Scarabee」「Le Papillon」と彫刻が展示されている。

 

■ベルナール・ビュフェ美術館「ベルナール・ビュフェ再考 代表作から見るビュフェの半世紀」。
「創設者肖像(岡野喜一郎)」:銀行家にしてこの美術館の創始者なのだそうだ。ビュフェに肖像を描いてもらっている。
「ガス焜炉」:黒と緑が中心となり、あの特徴的な線がない作品。
「教会のそばの家」:抽象的なものを感じる、コンポジション的風景画。

「トマトのある静物」:古典的な静物画も描いているのだ。作風は思ったより幅が広い。
「自画像」:1946年の自画像は画家にありがちな自己主張が少なめかも。目が虚ろで表情がない。
「部屋」:これは義姉を描いた作品だが、女性らしさが全く感じられない。母が死んだのが彼に何かをもたらしたようだ。

「ある街角」:出棺風景を描いたもので、人物は全て黒塗り。寒々しい。
「ケノアの風景」:少々暗いところはあるが、割とちゃんと描かれた風景画である。
「風景」:特に線は目立たず、緑の面を中心に構成されている。特に今回の展示がそうなのだろうか。ビュフェらしさを感じさせる強く黒い線はあまり見かけない。

「サーカス:パレード」:全く楽しくなさそうなサーカスに気が滅入る。
「ニューヨーク:34番街」:直線だらけで遠近法を極端に用いた絵画。思えば、大都市とビュフェの技法は合うに違いない。
「夜会服のアナベル」:サーカスに登場する女性は男顔で頂けないのだが、これはいわゆる美人画風の作品。すっと立つ女性にその性格まで現れているようだ。

「七面鳥」:ビュフェには動植物の作品もあるようだが、全く生き生きしておらず、台に乗った鳥の姿は標本のようだ。
「ピカドール」:1962年の作品では作風が一変。赤に次ぐ赤の色、過剰とも思える色彩である。
「ヴェネツィア:大運河」:少々建物が硬すぎる感じはあるが、ロマンある風景画になっている。

「ドン・キホーテと羊の群れ」:戯画化された、狂ったドンキホーテ。サンチョ・パンサも困ったように手をあげてはいるが、目には表情が何もない。
「相撲:睨み合い」:日本にも来たビュフェ。相撲取りの体格はうまく描いているが、人物の目は釣り上がり、類型的な東洋人の域を出ない。
「日本への旅」:東大寺大仏殿、富士山、屏風と和食器を描いたリトグラフ3点である。

最後に大展示室で「ダンテ地獄変」「キリストの受難」という巨大な作品を見る。この美術館、全体に寒いのだが、特にここは寒々しい。画題とともに、なんとなく暗くならざるを得ない雰囲気だ。

それにしても色彩豊かな作品もあり、私がこれまで知らなかったビュフェに出会うことができたと言える。