本日は近美→教文→資料館→富士フイルム→CAI02→大通→らいらっく→三越→さいとう→ivory→ARTスペース201→NHK→HUG→市民の14か所。
雪のちらつく中、スタート。
■北海道立近代美術館「生誕70年・没後40年記念 深井克美展」。
深井克美「作品1」:かなり初期の段階から人物(らしきもの)の肌に点描表現を使い、完成度の高い作品になっている。
深井克美「歌を」:目や耳を見て取ることはできず、鼻もつぶれたような人物が、ただ声を上げている。この人の自己表現はこれしかないのだろう。
深井克美「開放」:これは2013年に見たことのある作品だ。小さな緑のコップには赤い水滴、または宝玉のようなものが入っている。しかし、それ全体を包むさらに大きなコップ。何ともやるせない閉塞感を感じ、タイトルはどういうことなのだ。
西八郎「辺土」:へこんだように歪んだ地平線。お面をつけた操り人形が描かれているが、危ういいびつさを感じる。この人、深井克美の師匠らしいが、お亡くなりになった時の逸話がすごいのだ。
藤林叡三「セーヘルス的風景による表現的ヴィジョン」:これはダリだね。その中に小さな車いすに乗った本人が描かれている。この人は深井の死後、展覧会開催に尽力した人。
深井克美「サイキ」:解説にいろいろな解釈ができるといったことが書いてあったが、私には奇怪な生物が希望の卵を産んだように見えた。
フランス・ミンナート「ジェーネス」:深井がこの昨夏から影響を受けたのではないかということ。私は深井の蔵書をみて、ベーコンの影響は確かにありそうだと思った。
深井克美「オリオン」:この作品のテーマは「愛」というしか無かろう。物語を勝手に作るならば、二人、異星に取り残され、生きるためには自分の体を環境に合わせて改造するしかない。しかし、もし助けが来た時に、自分たちは人間と認めてもらえるのだろうか…。という感じか。
深井克美「グラス」:グラス越しに鏡に写った自画像を描いたものだが、鏡そのものは描かれていないという面倒な作品。
深井克美「ランナー1(素描)」:この作品を見ると写実に加え、ものの動きを画の中に捉えたかったかのように見える。
素晴らしい展覧会だが、観覧者は少なく、ほぼ他人の動きを気にすることなく好きなように見ることができた。見ていて辛くなってくる展覧会だし、精神分析的深読み(私自身は素人なので避けたいのだが)をしたくなる部分もある。
それにしても、30歳という年で死ぬことはなかっただろうとも思う。いや、勝手に芸術に悩んで死んだかのように書いてしまったが、そうではないのかもしれない。資料の位置付けで、深井がある女性に対して出した手紙が公開されていたが…。一人の人間としては、ああいう手紙は公開しない方が良いのではないかという思いが強くしてしまうのだ。
■札幌市資料館「札幌軟石北海道遺産選定記念展示「札幌軟石と北の石文化」」。札幌軟石は有名だが、札幌硬石、小樽軟石、美瑛軟石など、北海道の中だけでもいろいろあるらしい。
■CAI02「伊藤隆介ゴーストワールド」。
「燈籠譚」:番町皿屋敷をモチーフにした映像だが、実感を持って笑える。
「Domestic Accident Part 1」:非常によくできている。映像部分と模型部分を何度も眺めなおす。
昭和ビル1階にあった乾物屋さんがなくなっていた。
■らいらっく・ぎゃらりい「冨田美穂展-反芻のかたち-」。牛をテーマにした主に木版画の作品。作家が牛模様のショールを身にまとっていたので、その徹底ぶりがいい。