フィリピン近海にはフエフキダイ科の魚が多数おり、同定に難儀する種もいます。
その中でこのイトフエフキLethrinus genivittatus Valenciennesは、長い背鰭第2棘などの特徴から、比較的同定しやすい魚といえそうです。
フエフキダイ科の魚もよく色彩をかえることが知られ、本種も体に斑模様があったりなかったりしています。同定ポイントとなっているのが、胸鰭基部の鱗の有無、鰭棘や鰭そのものの長さ、TRacと呼ばれる、背鰭中央下の側線上方横列鱗数などです。
本種は、背鰭第2棘がやや伸び、胸鰭基部の内側に小さな鱗が多数あることが特徴です。
このイトフエフキは日本にも分布しており、山陰・神奈川県以南の浅海で見られます。海外では台湾から、南はオーストラリア、東西ではインド洋東部~ニューギニア、カロリン諸島にかけて分布しています。
日本でもごく浅い砂底や、内湾にみられ、投げ釣りでたまに釣れたりします。肉は白身ですが他のフエフキダイとくらべやや小型のため、残念ながら利用価値はハマフエフキほど高いものではないようです。
英名は「Longspine emperor」、「鰭長帝」という意味です。和名も長く伸びる背鰭を糸に見立てたか、考えていることは同じなのでしょう。