昨日のミナミフエダイに続き、フエダイ類の特集パート2。スズキ目・フエダイ科・フエダイ属のイッテンフエダイ。
イッテンフエダイの特徴は成魚の背鰭・臀鰭・腹鰭・尾鰭・そして胸鰭が黄色みをおびること、側線の上に黒色斑があること。この黒色斑は大きくなると小さく不明瞭になってしまうことも多い。逆に掌くらいの大きさのイッテンフエダイだと、各鰭の黄色がちゃんと出ておらず、褐色になっていることが多い。
今回のイッテンフエダイは前回ご紹介したミナミフエダイと一緒にいただいたもの。成魚はサンゴ礁域に生息し、幼魚は内湾の浅瀬でそのかわいい姿を拝むことができるのだが、私はまだ汽水域で本種を発見したことはない。
分布域は広く、東アフリカからマルケサス諸島に至るインドー太平洋域の熱帯域に広く分布し、紅海やオマーン湾にもいるよう。日本では千葉県以南に分布しているが、本州から九州では幼魚が多い。イッテンフエダイは東南アジアでは食用となっているが、沖縄ではシガテラ毒をもつとして市場にはあまり上がらない。食性は動物食性でサンゴ礁に生息する小魚や甲殻類などを好んで捕食する。
イッテンフエダイはクロホシフエダイによく似ている。よくクロホシフエダイの尾鰭は赤みを帯びた褐色、イッテンフエダイは鮮やかな黄色といわれているが、大きいものやかなり小型のものはあやしいものもいる。特にクロホシフエダイの大きな個体は特徴的な黒色斑が小さくなっていくのでわかりにくいことがある。こういう場合は口腔内を見るとよい。クロホシフエダイの鋤骨歯帯の中央部は後方に突出するが、イッテンフエダイの鋤骨歯帯中央部は後方に突出していない。同定方法の詳細は夏にクロホシフエダイやイッテンフエダイが採集出来たらこのぶろぐでも解説することにしたい。