今日で大型連休も最終日。フエダイ科特集も最終回。今日はロクセンフエダイ。
体が黄色く、細くて青い縦縞模様をもつフエダイの仲間は日本にヨスジフエダイ、ベンガルフエダイ、そして本種の計3種、海外にはこの3種のほかに、Lutjanus coeruleolineatus、L. notatus、L.viridis(東太平洋)といった種が知られている。このほかに現在「ベンガルフエダイ」とされている種はいくつかの種に分けられる可能性があるようで、今後さらに増えていくかもしれない。このほかヨスジフエダイも線が細いのと太いのがいる。これは別種になるのか、地域変異になるのかは不明である。
ロクセンフエダイの頭部
ロクセンフエダイという名前なのだが、鰓蓋より後方の体側には線が5本しかない。頭部には確かに6本の線があるのだが。インド洋産の種Lutjanus coeruleolineatusには体側に6本以上の細い、青い縦縞模様があるのが特徴だ。この手のフエダイの仲間の多くの種類は全長は30cmほどで、フエダイの仲間では中型種。サンゴ礁域の枝状サンゴの隙間の獲物をつまみだすのには図体がでかいのは不利なのだろう。
ロクセンフエダイの黒色斑
このロクセンフエダイも、体側の背部に黒色斑がある。しかしこれはクロホシフエダイなどと比べると不明瞭で、この斑がない個体も多いのである。同様のことはヨスジフエダイにもいえる。ただしベンガルフエダイでこの黒色斑が出ている個体は見たことがない。
生息地はサンゴ礁やその周辺の砂地。ニセクロホシフエダイなどとは異なり、河口域では見たことがない。熱帯域のトロールでも漁獲されているようだが、生息水深は数10mまでで、深海では見られないようだ。
分布域は広く、インド洋からフィジーに至るインド—中央太平洋域に生息している。東アフリカやハワイ諸島には生息していないらしい。日本では静岡県から琉球列島、小笠原諸島にかけて分布している。琉球列島以北では幼魚が多いが、愛媛県では成魚も採集されている。私は意外なことにこのロクセンフエダイは何度かみているものの、ヨスジフエダイはまだ2回しか出会っていない。高知県と石垣島で釣りにより出会えたのだが、それも小型の個体ばかりで、成魚は見たことがない。水族館では見られるのだが。
インド洋やマルケサス諸島などでは、黄色の体に青い線があるフエダイ類によく似たヒメジ科アカヒメジ属魚類が知られている。この手のフエダイやアカヒメジ属魚類は群れで行動しているが、このフエダイ類に似た体色はフエダイ類の群れとともに移動するためのものだろうか。一緒に群れていると、餌をさがしに行くときなど、いいことがあるのだろう。