最近久しぶりのフグと出会うことになった。ナシフグである。前回このフグを見たのは2009年のことなので、11年ぶりのことになる。
なぜナシフグとなかなか出会えないのかというと、本種の主な分布域が瀬戸内海や有明海、長崎県の橘湾だからである。この海域とはなかなか縁がない。四国にいても瀬戸内海では釣りをしたことがほとんどなかったからである。日本海沿岸にも生息しているが、個体数は多くないようだ。
ナシフグの特徴は体側の大きな黒色斑である。この黒色斑の周縁部に独特な白い縁取りもようがあるのが特徴だ。よくにたショウサイフグではこのような模様はほとんど見られない。また、コモンフグにもよく似ているが、コモンフグは体表に小さな棘が散らばるのに対し、ナシフグでは棘がなくてつるつるしている。いいお肌なのである。
同じようにつるつるした肌のフグで黒い模様をもつものにマフグがいるが、マフグでは臀鰭が黄色いのに対し、ナシフグでは白っぽい。またマフグの黒色斑にはナシフグのような縁取りがほとんど見られない。ちなみにこのぶろぐではマフグが掲載されていないが、これはマフグをいまだ入手していないことが理由である。長いこと色々な魚を触ってきたが、マフグはいまだに見たことがない。ゴマフグも同様である。
もちろん、ナシフグもほかのトラフグ属同様に強い毒がある。鮮度が落ちると皮の毒が肉にまわりゃすいともいわれる(ほかのフグでもありえそうだが、ナシフグは特に皮がうすくそうなりやすいよう)。そのため一時は食用が禁止されたというが、現在は一部の産地のもので専門の免許をもっているとさばける。もちろん素人料理は厳禁であるが。
ショウサイフグとの見分け方も紹介したかったのだが、それはまた今度にしたい。実はショウサイフグもあまりいい写真が無かったりする。