久しぶりの感がある北海道シリーズ。
スズキ目・カジカ科・ギスカジカ属のトゲカジカ。
ギスカジカ属は分類学的にいろいろ問題はあるが、日本に4種類が分布している。Fishbaseによれば全世界で16種ほどいる、ということだが、シノニム関係の整理が必要なようだ。トゲカジカは日本に分布するカジカ科魚類では最大級の種類で、大きいものは全長60cmに達する。Fishbaseではなんと最大で全長80cmに達する、とある。
カジカ類は頭が大きいのが多い。トゲカジカもそうである。トゲカジカの場合、後頭部に2対の明瞭な棘がある。頭部背面の画像は撮影をし忘れてしまった。申し訳ない。検索図鑑では北海道オホーツク海産のものでは後頭部の棘は痕跡的としているが、今回北海道オホーツク海産の羅臼で採集された個体には明瞭な棘があった。上の写真の矢印がそれ。
一方尾鰭の縁辺も白いのが特徴。明確に白色であることで、同じく後頭部に明瞭な棘を有するオクカジカと見分けることができる。先ほども述べたように日本産のギスカジカ属は4種からなるが、オクカジカだけはまだ見たことがないのである。オクカジカとの見分け方はこのほかに体側背面に目立つ大きな円形の鱗がオクカジカにはあるのに対し、トゲカジカの鱗は小さな棘のような鱗である。
これまでもトゲカジカは何度か見ているのだが結構変異は大きいようだ。体が細いの、太いの、丸みを帯びているもの、細長いもの。変異も多いから、別種として記載されたことも多かったのだろう。先ほどの棘の有無も含めて本気で調べたら面白い結果がでるかもしれない。しかしトゲカジカは大きいものはそれなりの値段になるので、大量には入手しにくいだろう。分布域は広く、日本では新潟県・岩手県以北。北海道では全沿岸に分布。海外では朝鮮半島、ロシア沿海州、カムチャッカ半島から米国ワシントン州にいたる北太平洋、ベーリング海、チュクチ海。浅い海から水深200mを超える深海にも生息しているようだ。
北海道では「なべこわし」と呼ばれ、汁物や鍋物などで美味しいとされる。肉にはうまみが少ないのだが、肝や卵などを入れて食べるとかなり美味しい。大型のカジカ類は美味なものが多い。
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