魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ユカタイシモチ

2017年05月09日 13時52分15秒 | 魚紹介

今日のぶろぐ記事は久しぶりのテンジクダイの仲間。スズキ目・テンジクダイ科・ヒトスジイシモチ属のユカタイシモチ。

奄美大島産

喜界島産

ユカタイシモチはヒトスジイシモチ属Pristiapogonの魚である。属の綴りはアカヒレイシモチ属Pristiconに似ているが、同じ族の別属である。ヒトスジイシモチ属は世界で7種が知られていて、日本には本種のほかにカスリイシモチと、属の標準和名にもなっているヒトスジイシモチの3種が知られている。このうちカスリイシモチには出会っているが、ヒトスジイシモチとはまだ出会っていない。ヒトスジイシモチは和歌山県以南に分布するといわれ、宇和海にも生息していて「えひめ愛南お魚図鑑」では水中写真が撮影されているので、ぜひとも釣りたい魚である。

奄美大島の個体の尾柄部

喜界島の個体の尾柄部

ヒトスジイシモチとの区別の方法だが、尾柄部にある黒色斑と、体側にある一本の縦線の位置関係により見分けられる。ユカタイシモチの黒色斑は縦線よりも上方にあるのに対し、ヒトスジイシモチでは縦線の先にあり、黒色斑もユカタイシモチのそれよりも大きくてはっきりしている。ヒトスジイシモチの写真は有していないが、魚類写真資料データベースなどを見て頂きたい。

奄美大島の個体の眼(昼間釣れた)

 

喜界島産の個体の眼(夜間釣れた)

 

分布は愛媛県の室手以南であるが、屋久島、奄美諸島以南の琉球列島に多く分布する。海外では紅海からフレンチポリネシアに至るインドー太平洋域に広く分布している。これまでは奄美大島、喜界島、石垣島でこの種に出会っているのだが喜界島では同じ場所で毎年のように釣れている。奄美大島の個体は瀬戸内町で同町在住の少年と一緒に釣りをした際に釣れたもの。昼間に釣れたためか、夜間釣れた個体とは若干色や模様が変わっている。体側の縦線や黒色斑が薄くなっていて、眼の様子も、喜界島の夜釣りで釣れたものとは若干違うものとおもわせる。夜間釣れるテンジクダイの仲間は昼間とは色彩が違っていたりすることが多い。

夜釣りで釣れるのであるが、残念ながら食用にはなっていないようだ。また観賞魚として流通しているところも見たことがない。観賞魚として飼育されるテンジクダイは小型のものが多く、本種のように全長10cmを超えるような大きめのテンジクダイはあまり観賞魚としては人気がないのかもしれない。

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