最近愛媛の宇和島に行く機会があり、その帰りに八幡浜に立ち寄ったのでした。八幡浜では以前お世話になった昭和水産の宮本さんとお会いでき、わずかではありましたが、とても楽しい時間をすごさせていただきました。ありがとうございました。この日は残念ながら入港がなかったのですが、トロール市でイカを食べたのでした。
その後、近くの魚市場の施設に立ち寄ってみますと、アンコウが安価で販売されていたので(10匹くらい入っていて800円ほど)購入してみました。キアンコウに比べて小型のアンコウは、別に「つるし切り」のような大掛かりのものでなくても、調理ばさみと包丁さえあれば簡単にさばくことができます。もちろん食する前には肝を絶対に傷つけないようにしなければなりません。特に鍋の場合は。
アンコウは水の中で撮影するときれいに皮弁なども撮影することができます。写真はこの魚が入っていた発泡スチロールの魚函に水を入れて撮影したもの。ピンを使って胸鰭と尾鰭を固定していますが、フォルマリンなどは使用しません。以前(2009年ごろ)と比べて、とてもきれいな写真になりました。
アンコウをさばくと口や胃の中から魚がきれいな状態で入っていたりします。アンコウが食いしん坊であるだけでなく、口が大きいので網を巻き上げるときにほかの魚が口の中に入って行ってしまう、なんていうこよもあるようです。写真の魚はヒゲトラギスという、スズキ目ホカケトラギス科の魚です。ホカケトラギス科とはあまり聞きなれない名前ではありますが、水深100mより深い海に生息し、底曳網漁業でたまに見られるものです。ヒゲトラギスはその仲間でも多いほうです。と書こうと思いましたが実は2回しか遭遇したことがないような。まああとの種は1回しか見たことがありませんので…
これが前回のヒゲトラギス。確か前に記事を書いたはずなのですが、なかなか出てこなかった(見つけました、この記事です)。これは底曳網で直接採集されたもので今回の記事のものの個体と違い鰭がぼろぼろです。結構派手な個体です。雄でしょうか。
ヒゲトラギスの名前の由来は吻端の「ひげ」ですが、今回アンコウから出てきた個体にはそれが見られません。ひげは雄にのみあるようです。実際にこの個体は雌であり、よく発達した卵巣を持っていたのでした。頬の部分にも鱗があり、この特徴によってホカケトラギスと見分けられるようです。ホカケトラギスは雄の第1背鰭が糸状に伸長し大変美しいのですが、実物は見たことがありません。憧れの種です。よく似たフタホシヒゲトラギスは雄の鰓蓋に暗色斑があること、背鰭・臀鰭軟条数がそれぞれヒゲトラギスと比較して多いことで区別できます。
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