>(香港や台湾歌手よりマレーシアやシンガポール歌手の方が国語の歌が上手いような気がするんですが気のせいでしょうか・・・。)
というコメントをいただいて、ちょっと考えてみた。
まず、香港の歌手の国語(北京語)。たいてい国語は母語ではない。始めた時期に差はあっても、ある程度大きくなってから自分で勉強して身につけたものだ。仕事(録音やプロモーション)以外では使わないかもしれない。上手な人とそうでもない人が出てしまうのは無理ないかも
じゃあ、上手になる人は?・・・家族(恋人?!)に国語圏出身の人がいて普段から話している人。非常に音感がよく語学センスのある人。私の観察では意外にも、アメリカやカナダに移民・留学した人が案外きちんとした国語を話す。外国人用のカリキュラムで基礎から学ぶのがいいんだろうか?
一方、あまり上手にならない人は、、、まさに仕事以外で話す機会がない人。広東語と北京語の文法や発音の違いに今ひとつ敏感に対応できない人。習わないと話せるようにならないにもかかわらず、“外国語”という意識を持ちにくく、英語を習うように機械的にできない傾向があるような・・・。
香港の歌手が国語曲を歌うときは、とりあえず通じる発音で歌うことに相当神経を使っている感じ。広東語ではすでにそこそこキャリアがある歌手が国語の1stアルバムを出したときなど、いつもの元気はどこへ行ったの?みたいな印象になることも それでも、2nd、3rdと回を重ねるうちに、発音が安定し、国語の歌の聴かせどころもわかってきて、ヒット曲に恵まれたりすれば国語圏でもいい成績を出せるようになっていく、、、人もいないではない?!
北京語下手で歌いたくなくても、たまには国語曲をリリースしないと、大陸に行ったとき“営業”にならなくて困るらしい(国語のヒット曲が少ない李克勤がそんなことを言っていた)。
台湾の歌手はどうだろうか? 台湾語や原住民言語を話す家庭も多いけれど、“公用語”で教育も放送も国語だから、ほぼ全員母語と言っていい。もちろん歌うときに香港の歌手のように緊張することはない…のだが、発音には明らかに注意を払っていると思う。
台湾で普通の発音、ほかの地域で通じにくかったりするのだ。最初に北京出身の先生に習った日本人なんか絶対聞き取れない(初めて台湾行ったとき、本当にわからなかった、、、)
だから歌うときは、「是」を普段台湾人同士で話すときのように「スー」とは発音せず、北京の人ほどではないまでも多少舌を巻いて「シー」に近い音で発音したりする。でないと、それこそ大陸で“営業”にならない?!
マレーシアやシンガポールの国語歌手の場合、国語が母語というか、家庭や教育で中心となる言語という人は多いようだが、香港や台湾との決定的な違いは、多言語社会に生まれ育ってるという点だと思う。
シンガポールは英語が公用語だし、マレーシアではマレー語を話さないでは社会で生きていけない。広東語や福建語も身近にある。北京語を多くの言語のひとつとして客観的に見ている部分があるんじゃないだろうか。
そして歌うときにも、歌をよりよく表現する手段として、多くの人に受け入れられ、美しく聴こえ、歌詞の意味がスムーズに伝わる発音を、自然に選んでいるのでは?という気がする。だから、歌を聴いたとき、“上手い!”と感じることが多いのかもしれない。
・・・なんて、あれこれ考えてみました