“Do you wanna hear Kei-jai sing~”
今年3月の
古巨基のコンサート。古巨基が衣装替えに引っ込んだところで、コーラスのメンバー(男性2人、女性2人)が舞台に登場。男性の一人が朗々と歌いだした。あとの3人がコーラスで合わせ、アカペラでしばらく歌っているうちに古巨基が再登場、何曲かコーラスメンバーといっしょに歌った。あとでメンバー紹介の時、「Justin、Justin、I love you~」なんて基仔が歌いながら紹介していたJustinが側田だとわかったのは、さらに後のことだった。
名前を見て日本人かも?と思っていたが、
十一狂潮Cyber Liveに出たところは、どう見ても香港人(笑) なんと、側田はJustinの広東語読み音訳(ぢゃってぃん)なのだ。姓はLo。プロフィールによるとアメリカ育ちの29歳。
元々、雷頌徳のチーム・On Your Markで作編曲やバックバンドにコーラスと、“幕後人”として活躍。特に古巨基に提供した「大雄」や「傷追人」などが大ヒット。古巨基のコンサートで彼を見てその才能を評価した黄柏高(パコ・ウォン)と契約、ソロ歌手デビューの準備が始まったらしい。夏から秋にかけて「好人」「Erica」などが先行オンエア。他の歌手に提供した曲も次々ヒットして、かなりの知名度になったところで待望のアルバムリリースとなった。初日に1万5千枚売り上げたという話で、昨今の香港ではありえないくらいの売れ行きに、来年コンサートを開く企画まで始まってしまった。アルバム1枚しか出していない歌手が香港コロシアムでコンサートをしたら、さすがに史上初
CDを聴くと、べらぼうに巧い。11トラックのうち6トラックが自作曲で、プロデュースしている曲もある。雷頌徳のチームなので、雷頌徳プロデュースが多い。コーラスも全部自分でこなしていて、メロを歌うときの主役らしい華やかな歌い方と、コーラスの役割をこなす歌い方が、きっちり歌い分けられていて、クレジットを見るまで全部自分でやっているとは思わなかった。声自体は甘いバリトンで、ものすごく個性があるというわけではないが、曲によって少しずつ声の出し方を変えたり、とにかくversatile(芸達者)な歌い手としか言いようがない。ミニー・リパートンの「Loving you」とアーヴィング・バーリンの「White Christmas」を入れるあたり、季節感もあってハートウォーミングなアルバムになった。
このCDを聴く限り、アルバム1枚しか出していなくてもコンサートの1回や2回できるかもしれないと思う。曲を提供した歌手がゲストで出てくれれば盛り上がるし、洋楽のカバーをうまく入れれば曲数も稼げるし。実現したら香港まで見に行っちゃおうかしら
ところが、ファンの声をネットで見ると、「“作状”(わざとらしい)で好きじゃない」という人たちもいるようだ。なるほど、あまりにも職人的に巧すぎて、かえって歌手の個性というか、素の部分が見えなくてつまらないのかもしれない。今までこういうタイプの歌手は香港にいなかったから、聴き慣れなくて落ち着かないかな。将来伸びそう、大化けしてスターになりそう、という新人らしい雰囲気もあまりないかも(應昌佑あたりと比べてしまうと、そんな気がする)。じゃあ、どうする?
シンガーとして飛躍するなら、あえて自作曲を入れずに全曲他人の曲で構成するアルバムを作るとか(On Your Markの連中と一時的に離れるとか)してみるのも手だと思う。(張敬軒も一度やってみてほしい^^;) これだけヒット曲を作ったら作曲の依頼も当分忙しいだろうから、普通の歌手より間隔を置いて高いクォリティを維持したアルバムを忘れた頃に出すのがいいかも。幕の“前”に出てきたけれど、あんまり宣伝活動は好きそうじゃないし、演技系の仕事も似合いそうにないから、幕の“後”と“前”を行ったり来たりしながら、好きな音楽を作っていくのがベストかな。(雷頌徳の真似して映画に出たりしなくていいからね~)
香港でこんなアーチストが出てきて売れたということは、絶対大きな変化の第一歩だ。そういう意味でも、2005年は意味のある年になると思う。
Justin @YesAsia.com
<追記>
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