フィギュアスケート・ヨーロッパ選手権2015、男子ショートプログラム(ジャッジスコア)。
<G1>
ラリー・ルーポラヴァー(アゼルバイジャン) SP:51.01(23)
アストル・ピアソラ「リベルタンゴ」♪ アメリカで生まれ育った15歳、シニアの選手権デビュー。黒の衣装にポニーテール。ダブルアクセル、3回転ルッツ、3回転サルコウ+2回転ループを跳んだ。大きなミスなく、第1滑走で頑張った。
エンギン・アリ・アルタン(トルコ) SP:48.76(27)
アストル・ピアソラ「四季」より「春」♪ 黒にゴールドを部分的に使った衣装。トリプルアクセルに挑んでなんとか下りた。3回転ルッツはステップアウト、コンビネーションはトウループの3-2。「ステップが正確に踏めていませんね」と解説・岡部由起子さん。とはいえ大きなミスはなかったので笑顔。
マヌエル・コール(オーストリア) SP:43.56(30)
「Der Dritte Mann(第三の男)」♪ 縦じまのベストにブルーのタイ。27歳だそう。シタールの音に乗って楽しげに滑る。ルッツ-トウの3-2はなんとか下り、3回転サルコウでやや乱れる。ハイドロブレーディングの後のダブルアクセルで転倒。「スピンの回転が遅いですね」と岡部さん。
ミスが出たので、終わって両手で顔を押さえて落ち込む。
サムエル・コッペル(エストニア) SP:46.36(28)
「マック・ザ・ナイフ」♪ 男性ボーカルで。初出場の19歳。千鳥格子のシャツにブルーのタイをひっかけて。3回転ループで片手をついたがダブルアクセルはOK。コンビネーションはトウループの3-2。わりと楽しげな雰囲気を出してステップをしていた。
パヴェル・カシュカ(チェコ) SP:56.83(17)
「Wrath of the Sea」♪ 黒に赤で炎のような模様。もう26歳だったか^^; 3回転ルッツ、トウループ3-3、ダブルアクセルと前半にしっかり決めた。「ステップが個性的で動きがきびきびしていていいですね」と岡部さん。スピンのキャメル姿勢がちょっとふらついた。
マルコ・クレポック(スロバキア) SP:44.81(29)
ピンク・フロイド「Money」♪ 背中にドルマークがあるピンクのシャツ、ちょっとやんちゃな雰囲気の17歳。3回転ルッツ転倒、3回転ループ+2回転トウループは回転が足らなかったようで^^; ダブルアクセルは決まった。ボーカルにのってロックっぽいステップを頑張る。
「スピンでレベルを取るのに一生懸命で、全体の回転数が足りないことがある」と岡部さん。いろいろ気をつけなきゃいけないのね
<G2>
ヤロスラフ・パニオット(ウクライナ) SP:63.25(14)
「Moonlight Electric(月光ソナタ)」♪ ターコイズブルーのVネック。ジュニアでも活躍する17歳、国内選手権初優勝してきた。トリプルアクセルなんとか、3回転ルッツを両手上げで、トウループ3-3は間が空いてしまったが下りた。スピンのキャメル姿勢等がとてもきれい。ここまでの選手たちと比べるとかなりまとまっている。
フィリップ・ハリス(イギリス) SP:65.16(12)
「All Is Hell That Ends Well」♪ 国内選手権初優勝で初出場。黒とグレーでメタリックな感じ。トリプルアクセルが決まり、3回転ルッツからのコンビネーションはターンが入ってセカンドが2回転に。3回転フリップはきれいに決まった。力強い音楽とうまく合ったステップ、丁寧なスピン。全体によく滑れていた。25歳だけど、まだ伸びしろがありそう。
ハヴィエル・ラヤ(スペイン) SP:53.80(21)
「ムーラン・ルージュ(ロクサーヌのタンゴ)」♪ 黒のレースシャツ。トリプル予定のアクセルがダブルに。コンビネーションはトウループの3-3、フリップで回転不足で転倒してしまった。滑りはなめらかで、スピンの姿勢も美しい。
スラヴィク・ハイラペティアン(アルメニア) SP:48.93(25)
「ノストラダムス」♪ こちらも黒系。ジュニアにも出ている。3回転ルッツは入り、トリプルアクセル転倒。3回転サルコウからのコンビネーションは間にターンが入って2回転トウループにつなげた。「爪先などもう少し丁寧にすると美しくなる」と岡部さん。スピンのキャメル姿勢で「膝の位置がヒップより低いかも」、キャメル姿勢が認められるのも大変。
ステファン・ウォーカー(スイス) SP:48.86(26)
チャイコフスキー「白鳥の湖」より「フィナーレ」♪ 黒にゴールドで刺繍。アクセルはダブル、トリプル予定だったか。3回転ルッツでステップアウト。コンビネーションは3回転フリップで両足着氷、セカンドは2回転トウループ。キャメルスピンのユニークな姿勢に沸いたが、得点は伸びず・・・
ユストゥス・ストリード(デンマーク) SP:53.28(22)
「マック・ザ・ナイフ」♪ 鮮やかなピンクのシャツに黒のベスト。今回27歳で最年長。スウェーデン生まれで、2008年まではスウェーデン代表だった。コーチは兄。
トリプルアクセル転倒、3回転ルッツはステップアウト。コンビネーションは3回転フリップ+2回転トウループをなんとか。スピンがやや不安定で回転が遅い。手拍子をもらいながら陽気なムードでステップを踏んだ。
一応シーズンベストでフリーには進出。
<G3>
パトリック・ミュズィク(ポーランド) SP:56.12(18)
「Come Together」「Black Betty」♪ 黒のシンプルなシャツ。カナダ生まれ24歳、初出場。なかなかスピードにのった、なめらかな滑り。アクセルはダブル、コンビネーションはトウループで3-2。3回転ルッツは片手をついた。袖をまくってステップに入り、勢いよく踏んでいった。
ソンドレ・オドヴォル・ボエ(ノルウェー) SP:55.73(20)
ビートルズ「A Day in the Life」♪ ブルーのTシャツ。まだジュニアにも出ている17歳。トウループ3-3がスムーズに決まる。3回転フリップでステップアウト、アクセルはダブル。「癖がないのがいい」と岡部さん。すーっと気持ちよさげな滑り、これから伸びそう
ヴァルター・ヴィルタネン(フィンランド) SP:58.31(15)
「ラ・ヴィ・アン・ローズ」♪ ピンクのシャツにグレーのベスト、胸にピンクのバラ。ロマンチックなフランス語の男性ボーカルにのって、トウループ3-3をなんとかこらえる。イーグルからの3回転ループが素敵 アクセルはダブルでオーバーターン。スピンの姿勢は丁寧、少しトラベリングするのが惜しい。でもシーズンベスト。
アンドレア・ボチェッリがエディット・ピアフの昔の録音をフィーチャーしているボーカルに聞き惚れてしまった
イヴァン・リギーニ(イタリア) SP:67.45(11)
マイケル・ジャクソン「スリラー」「ビリー・ジーン」♪ 黒ジャケに右手は白、左手は黒の手袋。ヨーロッパ選手権は初出場になる。トリプルアクセルを決め、両手上げで3回転フリップ。さらに両手を上げたルッツからのコンビネーションは3回転トウループで転倒。今日もキレキレのダンスでステップ。
モスクワ生まれで、以前はイワン・バリエフという名前のロシアの選手だった。
ダニエル・サモヒン(イスラエル) SP:72.65(8)
「Still Loving You」♪ 黒でレザー風のベスト。ジュニアにも出ている16歳。4回転+3回転のトウループ決まった トリプルアクセルもばっちり。ルッツだけはステップアウトしちゃったけど^^; 力強く元気よく最後まで滑りきり、シットスピンから跪いたポーズでフィニッシュするとガッツポーズ。
高得点でトップに立って大喜び。
フランツ・シュトロイベル(ドイツ) SP:64.45(13)
チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第18番」♪ 深いブルーのベルベット。コーチは往年の東ドイツの名選手、アネット・ペッチ。トリプルアクセルでオーバーターンしたが着氷、トウループ3-3をきれいに下りる。3回転も大丈夫。キャメル姿勢の足がぴんと伸びてきれい。全体に端正な感じでクラシックの曲によく合っていると思う。
シーズンベストにコーチのほうが嬉しそう
<G4>
アディアン・ピトキーエフ(ロシア) SP:69.78(9)
ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」♪ グレーからオフホワイトのグラデーション。16歳イケメン少年 ヨーロッパ選手権初出場。冒頭の4回転は回転不足で転倒。軽妙な感じも出しながらのステップのあと、トリプルアクセルと3回転ルッツ+3回転トウループは軸の細いジャンプで決まる。
「曲調の変化はまだ表現し切れてない」と岡部さん。まだシニアに上がったばかりだし^^;
アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル) SP:73.63(7)
ヴェルディ「椿姫」♪ ブルーのシャツに黒のベスト。まずトリプルアクセル、そして4回転トウループをきれいに決めた コンビネーションも決まる。「乾杯の歌」アリアにのってスピードを増す元気なステップ。「もう少し曲の優雅さが表現してくれたら」と岡部さん。
ペトル・コファル(チェコ) SP:57.47(16)
「Moonlight - Electric Cello」♪ 19歳で初出場。白の半袖に黒のストライプベスト。ダブルアクセルから入り、3回転ルッツで転倒。3回転フリップに3回転トウループをつけた。キャメルスピンでフリーレッグのエッジをホールドして高く持ち上げる姿勢を、「男子にはなかなかいない」と褒められていた。
「チェコの伝統で滑りがきれい」。たしかに
アレクサンデル・マヨロフ(スウェーデン) SP:68.10(10)
ピンク・フロイド「The Great Gig in the Sky(虚空のスキャット)」♪ ブルーに波のような模様が光る。トリプルアクセルはやや流れが止まったが着氷。3回転フリップ+3回転トウループを決め、3回転ルッツで惜しくも転倒。体を大きく使いながらスピンやステップをこなした。
春に手術をしたそうで、そこからよくカムバックしてきた。
パヴェル・イグナテンコ(ベラルーシ) SP:55.79(19)
「スカイフォール」「ジェームス・ボンドのテーマ」♪ ダブルの黒ジャケット。わりとイケメン19歳 トリプルアクセル転倒、3回転ループ、3回転ルッツ+2回転トウループはOK。滑りは丁寧だけどスピンはやや回転が遅いかも^^; 「何がテーマなのか、いまひとつわからない」と岡部さん。単にこの曲が好きだったから
フローラン・アモーディオ(フランス) SP:74.06(6)
映画「オーケストラ」より♪ ベージュのシャツに黒の手袋とベルト。4回転予定のサルコウが3回転になった。トリプルアクセルは入り、後半に3回転ルッツ+3回転トウループも決まる。哀愁のあるメロディにのって、しっとりと魅せてくれた。こういう柔らかな表現が上手くなったと思う。
コーチ陣の一人がファビアン・ブルザ。
演技の合間、客席にヴィクトリア・ヘルゲション、ヨシ・ヘルゲション姉妹の姿が映った。
<G5>
セルゲイ・ヴォロノフ(ロシア) SP:81.06(2)
サン=サーンス「死の舞踏」♪ 黒にゴールドをあしらった衣装。4回転トウループ+3回転トウループがシャープに決まったが、トリプルアクセルは途中で回転が開いたような感じでダブルに 3回転ループは問題なし。テンポの速いワルツのリズムにうまく乗りながらステップ。「ボディムーブメントがないのでレベル4は取れないですね」と岡部さん、なるほど^^;
全体では安定感のある滑りだった。とりあえずはトップに立つ。
マクシム・コフトゥン(ロシア) SP:78.21(4)
ラヴェル「ボレロ」♪ 肩から胸に革を使った黒。冒頭の4回転サルコウは着氷が乱れて両手をつき、次の4回転トウループもバランスを崩し片手をついてコンビネーションにできず。トリプルアクセルはきれいだった。きれのいい動きで魅力的なステップ、「ダイナミックですね」と岡部さん。
ハヴィエル・フェルナンデス(スペイン) SP:89.24(1)
「ブラック・ベティ」♪ 黒の半袖で。曲が鳴った瞬間から手拍子が起こる。4回転サルコウでステップアウト、3回転ルッツ+3回転トウループはセカンドでステップアウト、ちょっと残念^^; 変形イーグルなどをしてからのトリプルアクセルはバッチリ 細かく動きながらリズムにのっていくステップは超!高レベル。スピン、ステップ全てレベル4。
シャフィク・ベセギエ(フランス) SP:49.61(24)
「Heat」「Clozee Mountain Legend」♪ 昨季と同じ曲で、黒のTシャツに落書きアートのような模様。4回転予定のトウループが3回転に、ルッツが2回転になってコンビネーションにできず。トリプルアクセルも転倒で、厳しい得点になってしまった
ペーター・リーベルス(ドイツ) SP:75.48(5)
「Clocks」♪ 昨季と同じ曲と衣装、ふわっと透ける生地のシャツが風をはらむと素敵。3回転フリップ+3回転トウループを決め、トリプルアクセルは片手をついたが着氷。4回転は回避して3回転ルッツも決まる。ピアノの細かい音にあわせていくステップもいい。最後のスピンはちょっとバランスを崩した^^;
肩の怪我と手術があってGPシリーズは欠場したが、復活してきた。昨年結婚したそうな
ミハル・ブレジナ(チェコ) SP:80.86(3)
「Game of Thrones」♪ 中世風の革風ベスト。トリプルアクセル、4回転サルコウときれいに決まった 機敏な動きと伸びやかさを兼ね備えたステップが魅力的。なのに3回転フリップで転倒、コンビネーションがなくなってしまった 終わって顔を覆って口惜しがる。
結果、SP1位は3連覇を目指すフェルナンデス、2位ヴォロノフ、3位ブレジナ、4位コフトゥン、5位リーベルス、6位アモーディオ。1位と2位の点差は8点、フェルナンデスはかなり有利かな。
7位と8位にビチェンコとサモヒンがつけている。もし2人が一つずつ順位を上げたら、イスラエルが3枠獲得になる
フリーも楽しみ