いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

三島由紀夫の自衛隊二分割論

2004年12月11日 10時22分06秒 | 日本事情



近所の図書館で『若きサムライのために』三島由紀夫、日本教文社、昭和44年初版、を借りる。
 
■三島は自衛隊を二分割せよと言ってる。つまり、国土防衛軍と国連警察予備軍にである。国土防衛軍は米国と同盟しない独立軍隊、そして国連警察予備軍は、国連という語を織り込みながらも、安保条約に忠実な警察予備軍にするとしている。前者の仮想的は間接侵略者、当時で言えば中ソの尻馬に乗ったアカ日本人だね、だそうだ。こう聞くとゴリゴリの反共主義者の紋きりのようだが、国土防衛軍の意義のもうひとつは治安出動を、米軍の指図を受けず、すること。つまり、当時自衛隊というのは在日米軍の補完組織という意識・実体が濃かったんだろうね。
 三島の意見はともかく、最近も自衛隊二分割論てのがあるけど(小沢一郎とか)、三島が嚆矢かも、とおもった次第。

■で、三島はアイデアを出す・作るのがすきだったんだろう。そして、そのアイデアを実現した。上記の、どうみても恥ずかしくてダサイ格好と肉体も、自分で観念的に設計して、設計だけじゃだめだ!ちゃんと実現させるぞと肉体改造して、そしてポーズをおとりになっているわけだ。

■本文中、高坂正尭に言及し、

非常に先入観のない学者で、ぼくは若い人の中で非常にいい学者だと思う。だけれども、彼の現実主義に徹底すると現状肯定主義の論理的なレトリックになるということが、(略)、ぼくにはひしひしと感じられる。

と言っている。これはいいことを、その当時に、言っている。おいらは、高坂(とその同調者)こそ現在の憲法による日本が米国保護国であることを隠蔽してきたのだと思う。当時高坂は護憲の有力論客であった。

高坂は、晩年、改憲しないと国が滅びるといった。吉田茂論で出世したが、晩年には重光葵を語っていた。