いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

資本主義というハードリミットと靖国参拝

2006年01月02日 12時50分02秒 | 中国出張/遊興/中国事情
                
■絓秀実さんが、2005年7月30日に、

小泉純一郎首相が靖国に行くとか行かないとか騒いでいますね。僕は行けないと思っています。行かない、じゃなくて、行けない、と。新聞等でご存知の通り、現代では日本の企業、資本主義は、中国に依存しておりますがが、経団連の奥田会長などは「行かないでくれ、そのような些細な問題で日本の資本主義を落ち込ませないでくれ」と言っている。それでもあえて行くことで日本の経済を落ち込ませることが小泉首相に出来るでしょうか。行ったとしたら、まあ少なくとも中国との関係はしばらく沈殿する。

と発言されたそうです。上記引用はブログ・『成城トランスカレッジ! ―人文系NEWS & COLUMN― 』■本日のメインディッシュ ――イベントメモ:すが秀実講演:文学/大学/教育―1968年の視点からの文章であり、これは運営者のchikiさんの講演会の見聞報告です。感謝です。

■さて、資本主義というハードリミットがあるから文化・政治的行為である小泉首相の靖国参拝はできない、と絓は予想したようです。結果的には小泉首相は去年、2005年の秋の例大祭に参拝したので予想ははずれたことになります。もっとも小泉さんは、モーニングで昇殿参拝ではなく、ただの背広で一般参拝&賽銭チャリン&二礼二拍手せずというかなり腰の引けた参拝ではありましたが。

■ここで、絓さんの予想がなぜはずれたのか、考えましょう。①政府、あるいはエキセントリックな最高権力者は資本制の道具的装置ではないということに絓が気づかなかった。②小泉さんは言明はしないけれどイデオロギー闘争をしていることに絓が気づかなかった。小泉さんは‘日本国内で総理あるいは個人が、外国政府にとやかく言われて、行ってはいけない場所があるというのはおかしい’と言っているように、「自由の戦士」の闘争として靖国神社参拝「闘争」を行っているという可能性に絓の想像が及ばなかった。③[①とは逆に]小泉さんは資本の手先に徹しようよ思っているが中国での現行の経済体制は資本制ではないので日中経済関係は清算してもよいと考えている可能性に絓さんの想像が及ばなかった。

■それにしても絓さんは中国での経済現象が「資本制」だと考えているのだろうか?

中華人民共和国は資本主義の国ではない。共産党が1党支配する独裁国である。資本主義の大前提として、せめて、 自由! 平等! 所有! そして ベンサム! がなければならない。ところがどうだい。支那は共産党支配下にある。そもそも、資本主義を否定するはずの共産主義を建前とする中国共産党が 「資本制」 をやるのがおかしい。「自由! 平等! 所有! そして ベンサム!」以前の中国で資本主義が成り立つと絓さんは考えているのかな?

■中国で行われているのは中国共産党の独裁政権での専制的擬似資本制とでもいうべきものである。労働力、土地、資源、関係法令など共産党の恣意のもと企業が利潤をあげている。共産党と組めば何でもありという環境で日本企業が活動しているのであるから、日中経済関係はまことに危うい。

■しかしながら、絓さんの発想は実際には日本の経済政治社会の底流にあるとのうわさ。すなわち、ポスト小泉は、対中強硬派の安部氏ではなく、福田康夫氏であると。日中関係「改善」を望む経済界と経済界にpressurizedされた代議士群により支持されるのだと。これはありうるシナリオであると、おいらは、思う。エキセントリックな指導者に疲れた本来保守的な組織には穏健な指導者が次にきても自然だ。ただ、これは実は小泉さんのシナリオの一部ではないだろうか?つまり、ポスト小泉を安部氏と福田氏に競わせる。どちらに転んでも清和会だ。このやり口は郵政民営化賛成・反対を自民党内で争わせたのと同様、どちらにころんでもよい(=最悪のことにならない)のである。最悪の情勢を担保した上で、賭けにでるという上等・常套手段なり。

▼絓秀実さんの小泉さんが靖国に行く行かないという片言はともかく、絓は「世界資本主義」が世界を支配しつつあると言いたいのであろう。その場合、その「世界資本主義」とは20世紀の国際的資本主義とは異なり中国などの専制国家を巻き込んだ「自由!平等!所有!そしてベンサム!」なしの、フランス革命以前の、悲惨な資本制となるであろう。奴隷資本制だ。実は、今日の奴隷制は中国などの専制国家ばかりでなく、米国などのネオリベ社会にソフトに立ち現れている。日本でもその萌芽が見え始めている。

▼つまり、日中米の各国の国内で支配層と「奴隷」層が生じ、日中米の支配層が連携することで「世界資本主義」が世界を支配するシナリオが実現する。もうすでに日本資本が中共管理下の「労働者」を搾取して工業生産を行っている。この路線の拡大である。

                
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