
ウイスキーはアイルランドの修道院で密かにその製法が開発されしつづけていたらしい。文献に初出するのは西暦1400年代。実際は、西暦1000年ころから、修道院では作っていたらしい。
アラブのお坊さんはコーヒーに淫し、アイルランドの坊さんは酒におぼれる。
(↑アラブのお坊さんとコーヒーを勝手に結びつけたのは、Moliendo Café(邦訳、コーヒールンバ)の訳詩者です。なので、アラブのお坊さんとコーヒーの本当の関係は知りません。)
■ ウイスキー(英:Whisky または Whiskey)は、蒸留酒の一つで、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、これを発酵させ蒸留したものである。
『ウィキペディア(Wikipedia)』ウイスキー
とあるが、発酵・蒸留は実は2日もあれば終わる。
ウイスキーのウイスキーたる所以は、蒸留した水とエタノールといくばくかの発酵由来の第三成分からなる混合液を、木の樽につめて、何年も熟成させることにある。
つまり、ウイスキーとはウイスキー風味の原因となる「雑多」な成分をわずかにふくむ含水エタノールである。 そして、その『ウイスキー風味の原因となる「雑多」な成分』を獲得するのに、現在でも数年にわたる製作期間が必要。
さて、坊さん。ウイスキーつくりは楽しかったのだろう。ウイスキーつくりは、発酵、蒸留、熟成、貯蔵と技術の集大成である。 坊さんはその技術開発に努めていたのだ。
坊さんが楽しかった理由↓;
確かに、今の一般の考え方だと、技術は科学の所産であり、科学は人間理性の所産だから、理性によってコントロールできると考えるのが普通ですね。ところが、ハイデガーは、技術の方が人間より先だと考えているらしい。技術が自己展開の必要から、理性や科学というものを生み出したんだと考えているみたいなんです。(中略)だから、人間が技術を生んだというよりも、技術によって人間が人間になったんじゃないか。技術の実体化と言われるかもしれないけれども、どうも技術というものには独自の論理があって、その展開が必要に応じて理性や科学を生み出し阿たと考えた方がいいと思います。 木田元、福田和也との対談、「知識人とナチズム」より。
ちなみに、蒸留はアラビアで発明され、ヨーロッパに伝わった。錬金術など物質にこだわったアラビア文明の一端らすい。
■現在のウイスキー作りで不思議なのは、近代の精華である要素還元主義を適用しているようには見えないことである。つまり、ウイスキーは、含水エタノールに『ウイスキー風味の原因となる「雑多」な成分』を加えればいいのである。ウイスキー風味の原因となる「雑多」な成分』は別途、調合あるいは合成すればよい。
化学分析と合成技術が極致に達した感のある現代でも、誰もこういう「人口合成」ウイスキーを造ろうとしないのは不思議である。たしかに、坊主が作るようなやりかたではなく、職人がつくるようにはなったのはあるが、さらなるキチガイ水合成法の近代化が行われないのはなぜか?