草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

日本人が深い慮りを手にするにはどん底に落ちるしかない!

2021年03月27日 | 思想家
『日本は滅びるのか』という本を書いたのは江藤淳である。今江藤が健在であれば、もっとラディカルな文章を残したのではないだろうか。江藤はあらゆる国家は常に崩壊する可能性があることを指摘し、それが「常態」であることを訴えた。だからこそ、内なるパトリアを再建し、国家としての日本を持ちこたえなくてはならないのである▼今の日本の現状はどうであろうか。安全保障の面では、尖閣諸島を中共に奪われるのは近いとみられている。北朝鮮の核ミサイルの開発に対しても、有効な手立てがない。バイデン政権の誕生にともなって、危機的な状況になっても、日本を何とかしてくれるとの幻想を抱くことはできなくなった。国柄の根本である皇室にしても、女系天皇ということが公然と口にされ、選択的夫婦別姓にいたっては、日本の伝統を否定する暴挙である。日本までもが欧米のポリコレに振り回されてしまっているのだ▼江藤は「国は今日只今亡びるかもしれない。それも中心から、内側から崩れて亡びるかもしれないのだから、小学生に至るまで、みんなで支えていかなければならない」と主張しながらも、「君主制であれ民主制であれ、あらゆる制度が常に崩壊の危機をはらんでいる」にもかかわらず、それに気づいていないために、とんでもないパニックが起きることを予言していたのだ。そのどん底を経なければ「深い慮り」が生まれないというのだ。あくまでも江藤は日本という国家の復元力を信じたのであり、当面の混乱などは恐れに足らずなのである。
コメント (1)
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