草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

福田恆存は中共の野望を見抜いていた

2022年09月08日 | 国際問題
 
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 今の日本の保守は、台湾との関係の強化を望んでいる。しかし、50年前がそうではなかった。台湾と結んでいた日華平和条約を一方的に我が国は破棄したのである。大平外務大臣の見解によれば「日中国交正常化の結果として日華平和条約は存続の意義を失い、終了したと認められる」というものであった。それでいて、なぜ存続の理由が失われたかについては、まともに語らなかった。当時のマスコミは中共の悪い面は報道しないように自己規制して、日中復交を第一としたのである。
 慎重派がいなかったわけではない。その急先鋒が石原慎太郎や中川一郎らの青嵐会であった。孤立を恐れず発言した言論人に福田恆存がいた。昭和47年12月号の「諸君」に掲載された、「條約が破られるとき」というテーマで、高坂正尭と対談し、台湾を切り捨てたことを痛烈に批判したのである。
 福田によれば、日本が戦争をしたのは国民党の中華民国である。実に5万74回戦ったが、八路軍と呼ばれた中国共産党とはわずか2回。いくら国共内戦で中国共産党が勝ったとはいえ、講和條約は戦争した政府と結ぶのが筋である。台湾と断交することで、どれだけ日本の国益に合致するのか、と福田は疑問も呈したのである。
 また、福田は、戦争に突入したのは軽佻浮薄であったが、戦後の民主主義と平和、中共一辺倒というのも、それと大差がないと断じたのである。さらに、日中国交回復に前のめりになることが、長期的には禍の種になることを予言していた。現実主義の国際政治学者の高坂よりも、福田の方が的を射たことを述べていたのだ。
 中共を友好国として我が国が認めたことで、福田は「政府公認で反体制運動がやれるわけですよ」と警告をしていたのだ。中共がことさら日本を攻撃しなくても、日本を精神的に武装解除できる。そこまで相手は考えているというのだ。「黙って友好的に中共側は革命路線を実現すればいいので、その意味では国交正常化後のほうがやりやすいでしょう。そして日本人のほうもわけが分からずそれに抵抗を感じないでしょう」との見方をしていたのである。
 現在の日本人の多くは、台湾に親近感を抱いている。人権を無視し、欧米に敵対する覇権国家中共を、日本の安全にとっての脅威と考えているのだ。中共の躍進は著しく、軍備の拡大も急ピッチである。沖縄を自国の領土と言って憚らないのである。福田が言った通りになってしまったのだ。日本と台湾は運命共同体である。自由と民主主義を守り抜くためには絆を強化しなくてはならない。もはや平和ボケは許されないのである。

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