草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

「善良な心情」から国の安全保障を語るのは誤りだ!

2015年10月29日 | 安全保障

日本の多くのマスコミは「戦争法案」と反対していたのに、あっという間に空気は変わった。中共の南シナ海での軍事的な挑発が目に余るからだ。それへの対抗措置をアメリカが取ったことに関しては、どこの新聞もテレビも批判していない。南シナ海が自由に航行できなくなれば、日本はお手上げになってしまうからである。さらに、安保法案によって抑止力が高まった。日本が決断しなければ、アメリカはそこまでしなかったはずだ。日本がアメリカの同盟国としての立場を明確にし、法的な整備をしたために、ようやくオバマ政権も毅然たる態度を取るようになった。ここで私たちはクラウゼヴィツの『戦争論』(日本クラウゼヴィツ学界訳)の「とかく、人道主義の人々は、甚大な損傷を与えずに人為的に敵の武装を解除しうるし、あるいは敵を圧倒することができるし、これが戦争術本来の目的であると考えている。このような主張はいかにも良くみえるが、断じてこの誤りは粉砕されなければならない。何故ならば、戦争のようなきわめて危険な事態では、善良な心情から生じる誤りこそ最悪のものだからである」との言葉を思い起こすべきだろう。自らの政治的な目的を達成するために、これまでも戦争が行われてきた。それは今後も変わらない。「人は事実を正しく観察しなければならない。戦争の粗暴な要素に対する嫌悪から戦争の本性を無視することは、無益なことであり、本末を誤ったこと」(『戦争論』)なのであり、お花畑ではいられないのである。

 

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