草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

東京裁判の「平和に対する陰謀」という罪名は国際法違反だ!

2024年05月13日 | 国際問題
 アメリカによる広島と長崎への原爆投下が、いかなる理由があろうとも、国際法違反であるのは明々白々である。しかし、それを認めたくないアメリカは、未だにその正当性を主張している。
 それとの関連で私たちが今こそ問題にしなければならないのは東京裁判である。「極東国際軍事裁判所」憲章なるものは、連合軍最高司令長官のマッカーサーによって、昭和20年1月19日に発せられた。そして東京裁判は、昭和21年5月3日から昭和23年11月12日まで行われ、28名の日本政府高官や高級軍人に判決が下され、「平和に対する陰謀」を理由にして、東条英機以下7名に絞首刑が宣告され処刑されたのである。
 しかし、「平和に対する陰謀」を裁く法律など、どこにもなかったし、勝者による敗者に対する私怨を行使しただけなのである。裁判官はアメリカ、オーストラリア、中国、フランス、イギリス、カナダ、ニュージーランド、オランダ、フィリッピン、インド、カナダの11人の法律家で構成されていたが、その中で唯一正論を主張したのは、インドのパール判事であった。彼のみが国際法学者としての評価を得ていたのであり、多数派の意見に与しなかったのである。
 パールは「現在有効である国際法の下で、一戦勝国あるいは戦勝国の集団は、戦争犯罪人の裁判のための裁判所を設置する権限は持っているだろうが、しかし、戦争犯罪の新しい法を制定し、公布するいかなる権限も持っていない。このような国家あるいは国家群が、戦争犯罪人裁判の目的のために、憲章を公布することを進める場合には、国際法の権威の下においてのみそうするのであって、主権的権威の行使としてするのではない。戦敗国民あるいは被占領地への関係においてさえ、戦勝国は主権的権威ではない、と本官は信ずる」と主張したのである。
 しかも、戦争に突入する以前にアメリカは、日本商品への懲罰関税、航空用ベンジンと石油一般の供給の禁止、アメリカにある銀行預金の凍結などによって、「平和的」手段での戦争を始めていたのだ。連合艦隊の真珠湾攻撃を口実にして、それをなかったことにはできないのである。
 自分たちの主義主張に逆らう国家を断罪するというやり方は、戦後世界でも繰り返されてきたが、それが誤りであったことは、アメリカ自身が痛感しているのではないだろうか。ようやく東京裁判を見直す時期が到来したのではないだろうか。
 
 

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