今は中共への幻想を持つ人は少なくなったが、かつてはそうではなかった。あの竹内好ですら甘い夢を抱いていた。その根本に「根拠地」の思想があるとの見方をしていたのだった。竹内にとっては、国民党と共産党との違いはそこにあった。国民党が国家防衛を中心に据えていたのに対して、共産党は「根拠地」としての「解放区」を「漸次拡大」していったというのだ▼「日本軍が通り過ぎたあと、無政府かつ無防備の地区において、自然発生的に、行政組織と自衛組織がつくり出された。それが漸次拡大し、連合して、解放区となった。この解放区の成立を助けたものは、国民党ではなく共産党と、その影響下にある人々だった。この解放区こそ、中華人民共和国の初期形態である」(「日本・中国・革命」)▼国家として統一されるのを拒否し、次々と「解放区」としての「根拠地」が出現し、それが永続革命のエネルギーの源泉となる。竹内の主張は明解であり、支那学の権威者らしい希望的観測であった。しかし、現実の中共はそれとはまったく異なる。中国共産党以外の異質な存在を認めようとはしない。「国家が目的ではないという国家観が中国にうまれたと考えられる」(「同」)というのは、事実によって反証されてしまったのだ。凶暴な侵略者中共に対処するには、日本人が一致して身構えるしかないのである。
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