いかに保守を装うとも、岸田自民党を信用する気にはなれない。LGBT法案の強引な成立の仕方をみても、あまりにも常軌を逸しているからだ。
それでいて岸田首相は、岩盤保守の顔色をうかがうように、首相在任中の憲法改正を口にするとともに、自民党内保守派が立ち上げた「凡ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平等を守る議員連盟」の活動を容認した。
それでガス抜きをすれば、これまで同様に自民党はまとまると、岸田首相は甘く見ているのだろう。しかし、そんなことで、岩盤保守が騙されるわけはないのである。
憲法改正について、いかに声高に主張しても、岸田首相がしたことは、それと真逆ではなかったか。防衛三文書においては、専守防衛や非核三原則に固執した。先日の広島サミットでは、我が国が隣国から核で恫喝されているにもかかわらず、核なき世界を訴えたのである。そんな人間が、憲法改正に取り組む気などあるわけがないからだ。
保守的な主張を掲げた議員連盟の発足にしても、今さらの感がある。拙速に成立させる以前に、問題点を洗い出すのが普通である。
そこに出席して発言した櫻井よしこさんは、一貫して自民党の応援団であり、それを批判するつもりはないが、新党をつくると公言した人まで、そこに出かけて行くというのは理解できない。
産経新聞は本日の紙面には、櫻井さんがマイクで喋る写真が掲載されていた。これを見て岸田首相は笑みを浮かべたのではないだろうか。
今回のLGBT法は女性スペースが危険にさらされるという次元の問題だけではない。少数派のマイノリティーが世界的なネットワークを形成し、多数派となって革命を起こすための運動なのである。そうしたマルチチュードの過激主義に対して、私たちがどう身構えるかなのである。
マルクスは革命の主体をプロレタリアートとし、マルクーゼはそこに学生を加えたが、アントニオ・ネグリは少数派を重視したのである。
岩盤保守は理論武装を強化するとともに、彼らに対抗する力を持たなくてはならない。そのために何をすべきかが、私たちの喫緊の課題なのである。