岸田首相が気にしているのは、その時々の世論の動向であり、それで一喜一憂しているだけなのである。内閣支持率がどうなっているかが全てであり、何をしたいかははっきりしない。
昨年12月に首相秘書官の長男が首相公邸で親族と忘年会を開いていたことが、週刊文春の記事で表沙汰になった。岸田首相は当初は軽く見ていたようだが、一昨日あたりからでダメージコントロールが難しいことに気づき、6月1日付で首相補佐官を更迭することにした。
マスコミの言いなりのままに旧統一教会を無理やり解散に追い込もうとしたり、世論の大勢が支持していると勘違いして、LGBT法案を強行しようと画策したことが裏目に出ているなかで、今度は息子の不祥事である。
岸田首相にとって誤算であったのは、LGBT法案はすんなりと通ると思っていた節があり、岩盤保守からそっぽを向かれることなど考えていなかったようだ。
しかし、そうは問屋が卸さなかった。「自民党には投票しない」と明言するネット民も続出したからである。岩盤保守の抵抗が予想以上であり、それが国民にも浸透しつつある。その勢いの前にはLGBT法案を推進するテレビ報道などもかき消されてしまった。
安倍元首相は、批判を恐れず保守的な政策を断行しようとした。このため左派から袋叩きに遭ったが、岩盤保守の支持基盤は揺るがなかった。だからこそ、長期政権を維持できたのである。それと比べると、岸田首相の信念のなさはあまりにも異常である。このまま有事に突入することにでもなれば、決断できず右往左往することは明らかである。
今後の焦点としては解散総選挙の目論見がどうなるかである。広島サミットを受けてというのが大方の予想であったからだ。これから国民の負担を増やす政策が目白押しであることからも、ジリ貧になっていくのは目に見えている。
息子の不祥事に関して、一応はけじめをつけたことで、岸田首相は伝家の宝刀を抜くことになるだろうが、岩盤保守は怒っており、これまでと同じような投票行動にはならず、自民党は大幅に議席を減らすことになるだろう。