日 本を呑み込もうとしている全体主義国家は、情け容赦なく言論弾圧を強化しています。産経新聞の去る19日の電子版によると、日本の大学に留学していた香港出身の女子学生が、香港の独立を支持するスローガンをSNSに転載したことを理由に、香港国家安全維持法で逮捕されました。「国家分裂」に加担したというのです。
その女子学生は身分証明書を更新するために一時的に香港にもどったところ拘束されたもので、民主活動家ではないといわれています。一般の学生のSNSまで香港当局はチェックしているのです。
現在は釈放されていますが、パスポートは剥奪され、来日することは困難になっています。起訴されるかどうかは、5月以降に決定されます。
香港国家安全維持法が香港人以外にも適用されると明記されています。香港人にとどまらず、日本人であっても、中国当局の意にそわないと犯罪者にされかねないのです。
ヤスパースの哲学を持ち出すまでもなく「真理はコミュニケーションのなかでだけ成立する」わけですから、他者との自由なコミュニケーションを通して、人間は人間であり続けることができるのです。しかし、全体主義国家はそれを容認しません。中国の属国になるというのは、私たちが人間であることを否定されることを意味します。
一度奪われた自由を取り戻すことは困難であり、日本が国家として身構えることは、あくまでも防衛的な反応なのです。「昨日の香港、今の台湾、明日の日本」といわれる危機は目前に迫っており、ここで私たちは怯んではならないのです。