大学が試験で入学者を決めるのは、定員に限りがあるからだ。本来であれば、面接に力を入れて、どの位の学力があるのか試せばいいのである。それができないから筆記試験を行うのである▼各大学のランク付けをするにあたって、一定の目安となったのが共通一次試験であった。昭和54年から11年間続き、平成2年から始まったのが大学入試センター試験である。共通一次試験では試験科目は国語、数学、理科、社会、英語の5教科で、当初は理科と社会は選択制の2科目であったが、後半は理科と社会は1科目となった▼大学入試センター試験では5科目が定着するとともに、学習指導要領にそった基礎的な学力を問うこととなり、記述式がなくなり、マークシートに記入する方式が採用されるようになった。来年から導入が予定されている大学入学共通テストでは、数学や国語に記述式が復活し、英語の出題では長文読解とリスニングが重視される。そこで民間の資格試験を活用する方針でいたのが、ここきて萩生田文科相の「身の丈」発言があって、当面は見送られることになったのだ▼かつて小室直樹は「共通一次が生む出すアノミー」というのを問題視した。それによって子供たちに連帯感が失われ、学力の高い低いは関係なく、不安感が高まっている社会現象を指摘したのである。家庭内暴力の原因もそこにあると分析した。それぞれの大学が独自に選抜方法を決めるべきなのである。なぜ逆な方向に文科省は持って行きたいのだろう。
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