つれづれなるままに

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緒形拳のひとり舞台「白野」

2007年10月18日 | 芸能
                    緒形拳のひとり舞台「白野」

緒形拳ひとり舞台「白野」を観劇した。
早稲田大学創立125周年記念公演で大隈講堂で開催された。
会場入り口で緒形拳夫人の典江さんと会い挨拶をする。
会場は超満員。公演中は会場内も緊張感が漂うようにシーンとしている。
ひとり芝居が終了すると万雷の拍手に会場内は賞賛の嵐となった。
会場には、劇団若獅子代表の笠原章さんも観劇していた。
笠原章さんは、9月の「澤田正二郎物語」公演の劇中劇で「白野弁十郎」を演じていた。

早稲田大学の坪内逍遥博士の支援で新国劇を設立した澤田正二郎が、エドモンド・ロスタンの名作「シラノ・ド・ベンジュラック」を、幕末から明治中期までの日本を舞台に翻訳した「白野弁十郎」として演じた。
近年では、島田正吾が一人芝居の形で上演を重ねた。
早稲田大学の大隈講堂でも3回公演している。
2000年の上演では、ラスト場面のイチョウの葉をキャンパスで集めて落葉の素晴らしい舞台を演出したことは、島田正吾を感激させていたと逸話に残っている。
大隈講堂で島田正吾の一人芝居「白野弁十郎」を観劇したのがついこの間のことのように思い出される。

緒形拳は新国劇の名優、島田正吾・辰巳柳太郎両氏に師事していた。
島田正吾の「白野弁十郎」は、「白野」として緒形拳が受け継いで公演している。
この「白野」は1年の準備期間を経て昨秋初演して、今年も再演をする。
島田正吾の白野弁十郎と比較して緒形拳の白野は、異様な鼻のメイクをしていない。緒形独自の試みでチャレンジしている。

朱雀隊の隊士である白野弁十郎は、剣もたち無頼漢だが歌を詠む繊細な心を持ち合わせている。幼少の頃から憧れている従妹の千草(ちぐさ)に、隊の新人の来栖生馬への恋心を打明けられる。
傷心の白野だが、来栖も千草を想っていることを知り、雅な言葉を知らない来栖に代わって、恋の言葉を考えようと提案する。

早稲田大学の大隈講堂は、創立125周年記念事業の一環としてこの度リニューアルした。
外装は歴史的価値を尊重して新しく再現した。
堂内は椅子が新しくなりサイズもアップした。
もっとも先進的な「多機能型文化ホール」へと変身した。

緒形拳の「白野」は、渋谷BunkamuraのSTUDIOコクーンにて、10月31日(水)~11月4日(日)に公演される。

(10月18日記 池内和彦)
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