ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2020.8.27 エンハーツ3クール目投与翌日のこと なんとかもった

2020-08-27 21:15:11 | 日記
 
 昨日はお夕寝したことでブログアップも日付が変わってしまったし、あれこれしているうちにかなりの夜更かしさんに。ステロイドハイなのだろう。あまり眠くならなかった(お夕寝はしたけれど)。お腹がぐるんぐるんしてもたついていたけれど、マントラCDが1回(60分)終わらないうちなんとか眠りにつけた。

 初回投与後3週間でシャンプー時に脱毛が始まり、2回目投与3週間後にまた脱毛がちょっと多めになってきた。こうして3週間ずつ少しずつでも抜け続けていったら、いつ頃かつらのお世話になるのだろう、とぼんやり思う。

 明け方一度お手洗いに行っていつも通りに起床。気持ち悪さはあるが、我慢できないほどではない。洗濯物が溜まってきたので、いいお天気だし、と廻すことに。

 朝食は小さな小豆デニッシュ一つとピンクグレープフルーツ、ゴールデンキウイ、プラムを一切れずつ。パイナップルジュースとバナナスムージー、紅茶が摂れた。
 食後は吐き気止めイメンド80mg、デカドロン4mg、整腸剤ミヤBM、痛み止めコデイン。4種類だけ。すっきりした。ちょっと物足りない感じさえする。

 とにかく、気持ち悪い状態で飲みにくい漢方薬を食前に飲まないで済むようになったのがとても嬉しい。ビタノイリンカプセルも飲むとお小水が真っ黄色になって、なんとなく匂うので苦手だった。ストレスが大分軽減された。

 夫を送り出し、洗濯を干し終えてから天気予報を見たら、何度となく雨が降りそうというので、一応ベランダの内側に干し直して出勤した。
 ゆっくりペースだったけれど、道中はマスクなしだったので途中休憩することなく、職場まで到着した。ウエストのないワンピースが正解だ。それにしても朝から暑い。

 不在にした昨日のメールやら、今日の2つの会議資料やらを準備しているうちにすぐに朝一番のweb会議。終わったと思ったら後期授業の準備の関係でのもろもろが・・・。そんなわけで気持ち悪い・・・などと言っている暇もなく、怒涛のように午前中が終わった。

 予報どおり午前中からいきなり暗くなって雨が降り出した。外が白くなるくらいの酷い降りで遠方が見えない。ああ、家干しにしておけばよかった、おかずがどうのこうの言わずにお弁当を注文して、自席でお昼を摂ればよかったと思うが後の祭り。

 幸い昼休み時間はまた太陽が現れたので、日傘を差して外に出た。雨が降ってもちっとも涼しくならないどころか、蒸し暑さはサウナのごとし。一番近いカフェまで頑張って出向いてランチ。ナウゼリンを飲んでからカフェラテで、ピクルス多めにしてもらったホットドッグをナイフとフォークで一口ずつ切って(ホットドッグの醍醐味はまるでなし)半分ほど流し込む。

 午後もweb会議。休んで家にいたら、結局ソファと一体化だったと思うと、まあこうして1日働けたのは上出来だ。

 夕方以降かなり気持ち悪さが悪化した。けれど、帰路、ちょっと空を見上げると、空も雲も、そして半月よりちょっとふっくらした銀色に輝くお月さまもとても綺麗。やっぱり上を向いて歩こう、だな、生きているって素晴らしい・・・そう思える私はまだまだ捨てたものではないと一人悦に入った。

 食事の支度は出来なかったけれど、午後から晴れたお陰ですっかり乾いた洗濯物は畳んで納めることが出来た。

 低空飛行でも細く長くしぶとく、なんとかうまくやり過ごしながら定年まで働き続けたいと改めて強く思う。夫はそのことが叶うように全面的に支えると言ってくれている。本当に有難いことである。

 そして定年が来てもなおまだ命が繋げていたら、あまり暇にならないように今度は好きな事に注力出来たらいいのだけれど。そう、コロナも終息して、休暇を気にしないで2022年の春以降、トルコ旅行リベンジ出来たらいいなと思う私はやっぱり強欲だろうか。
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2020.8.26 採血レントゲン後腫瘍内科診察、エンハーツ3クール目

2020-08-27 00:24:15 | 治療日記
 昨日は夏休みを挟み5日ぶりの出勤。大学院入試等のシーズンだが、コロナ禍の影響で実施方法もギリギリまで模索中。なかなか落ち着かない。お昼もお弁当を注文して自席で。帰宅後は洗濯物を畳み、前泊の準備、夕食の支度。
 治療後は少なくとも10日はヨガスタジオに行けなくなってしまうので、出来れば行きたかったけれど、夜のクラスは強度が高く、断念した。先週火曜日以来ご無沙汰だから一体何日行けないことやら・・・。
 夫と夕食を済ませ、駅まで送ってもらい、前泊のため病院最寄り駅に向かった。

 行きの車内は両隣りが空けられるくらいの混み方だ。文庫を1冊しか持参しなかったので、スマホチェックしながら車内を過ごす。病院最寄り駅に到着。さすがに日中より温度が下がっているが、まだまだ涼しいとは言えない。

 大きなお風呂の気持ち良さにすっかり味を占めて、前回に引き続き温泉大浴場があるホテルへ。チェックインカウンターで体温測定と身分証明書の提示を済ませる。お部屋はお任せのプランだったけれど、レイアウトが良く当たりだった。
 身支度をして態勢を整えてから、大浴場へ。お1人が同時に入ったくらいでほぼ貸し切りだった。やはり部屋のユニットバスに入ることを考えると、大きなお風呂に入れるホテルはアドバンテージが高い。
 3時間置きにお手洗いに起きたが、よく眠った感じ。モーニングコールが鳴ってから起き出して朝風呂。正真正銘の貸し切りだった。体重は45kgをちょっと割り込む感じ。お腹も快調だ。

 身支度を整え、レストランに降りた。今日のお弁当はおかずに野菜がたっぷりだったので頂くことに。主食はデニッシュ等が入った袋入りパンにした。スープ、グレープフルーツジュースをその場で頂き、紅茶は部屋で頂くことに。
 今日は予想気温が34度だという。大分日が短くなって秋の虫も鳴き始めたというのに、暑さは相変わらず容赦ない。朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。
 
 月末だが、混んでいる。IDカードを通す機械のうち1つが点検中だったので、若干並んで採血受付へ移動。10人ほど待っていて7分待ちと出ていた。待合い椅子はそこそこの混雑である。ほどなくして採血室へどうぞ、と案内が出た。
 採血担当は、検査技師の男性Yさん。ご挨拶は丁寧だったけれど、針刺しは痛かった。今日は簡易版の測定なので2本だ。刺す時痛いと、抜く時も痛い。ちょっと幸先の悪いスタート。

 止血をしたまま、エスカレーターで2階のレントゲン受付に向かう。待合い椅子がかなり密状態で混んでいる。番号が書かれたカードを取ったら7,8人前の人が呼ばれているところだった。入院患者さんもちらほら。15分ほど待って中廊下に通される。その後はすぐに呼んで頂けた。
 ブラトップの上に無地のカットソーのいでたちなので、検査着に着替える必要なく、すぐに撮影室へ。正面と側面から2枚撮って無事終了。

 再びエスカレーターで1階の腫瘍内科へ向かう。受付には誰も並んでいなかったので、まずは結構埋まっている待合い席をなんとか確保して受付。クラークはAさんだったので「先日(事務局から)お手紙頂きました。ありがとうございました。」とお礼のご挨拶。
 問診票の追加を頂き、その場で咳は殆ど「なし」に〇、息切れはときどき「あり」に〇をした。

 今日のお供、伊坂幸太郎さんの「ホワイトラビット」(新潮文庫)を読み始めた。
 帯には「警察vs籠城犯vs泥棒 全てを、疑え!伊坂史上最高の『騙し合い』が幕を開ける!」とある。
 ゲームクリエーターの小島秀夫さんが解説で「読者の反応の半歩先を行く語りが、それこそ犯罪的にうまい。本当の嘘つき(クリエーター)は、相手が自ら掴みに来るような極上の嘘(フィクション)を創造できるのだ。」と書いておられる。あれ、これって?、っと思うと、うまい具合に次の章で同時並行の背景描写が挟んであったり、自由自在に加速していく物語にどんどん引き込まれて、頁を繰る手が止まらない。

 1時間ほどして読書の区切りの良いところで、血圧測定。98-64、脈拍は76。
 ほどなくして化学療法室のKwさんが見えて、SpO2と体温測定。98%が出て体温は6度9分。「どうでしたか。」と問われ、「おかげさまで今日は元気ですが、やはり投与後10日目くらいまでは辛かったです。気持ち悪さととにかく疲労感が半端ではなく、週末3連休はほぼ寝た切り。その後火曜日出勤しましたが、不調で午後お休みを頂き、帰路も暑さと不調でもう倒れそうでした。ただ今回は酷い下痢がなかったので脱水にもならず良かったです。」とお答えする。「そうでしたか。では先生に伝えますが、後は採血結果次第ですね。」と化学療法室へ戻って行かれた。
 
 それから30分ほど待って「中待合いへどうぞ」の掲示板に私の番号が出た。荷物を抱えて移動する。前の方がすぐに出ていらして5分ほどして先生がお顔を出された。「おはようございます。」とご挨拶をしながら荷物をカゴに、自分の体調管理ノートやエンハーツダイアリー等を出して席に着いた。
 
 席に着くとPC上にレントゲン画像が並んでいる。「色々(副作用が)出て大変だったようですね・・・」と言われる。
 採血結果は「うーん、まあ大丈夫そうですね。」とのこと。前回好中球がギリギリだったので、今回1,000を割ったら延期か減薬かなと思っていたが、白血球は3,300、好中球は1,023。おお、またしてもギリギリ1000に達している。もしかしたら今回は休めるかも、と半分期待していたので、ちょっとがっかり。そのほか、貧血も相変わらずだ。
「慎重な先生なら減量するかもしれないけれど、前回に比べてどんどん下がっているわけではないし、前回もこのくらいだったので。次回もこの程度だったら減薬を考えてもいいかもしれませんが」と仰る。
「例えば好中球が990だったら、やるんでしょうか?」といじましく訊いてみたら、イエスとのこと。新しく始めた薬で効果が出ているわけだから、ここは攻めていきたいということのようだ。今後のことを考えると今は頑張り時。うーん、納得しなくてはならない。

 2枚並んだ画像を見ると前回に比べて左上と右のポート周りの影が大分すっきり薄く小さくなっている。そして左下がほぼ真っ白で無気肺状態だったと思われる部分がほぼ治っている。効いているのだ。1月よりも断然良い。去年の10月頃の状態に戻っているとのこと。
 怠さと気持ち悪さが酷いという訴えには、デカドロンを追加してトータル1週間飲むことになった。最初の2日は前回同様4㎎、これに加えて3日目から7日目は2㎎。1週間ベタに多めはやりたくないとのこと。浮腫み等も気になるので。

 手足の痺れや痛みが改善されずに酷く感じることについては、ビタノイリンと漢方2種(加工ブシ末と牛車腎気丸)を止めて、タリージェ夜5㎎を倍の10㎎にしてみることに。気持ち悪さが酷い中で、食前に飲みにくい粉薬を飲むのは結構しんどかったし、おまじないのように長く飲み続けてきたが、殆ど効果を感じられないので。タリージェは眠気があるが夜ならいいかな、と。これで効いてくれると良いのだけれど。
 そして、気持ち悪くて眠れない時用にワイパックスも頓服で5日分出して頂いた。

 「製薬メーカーが間質性肺炎を気にしているのでCT撮影をリクエストしてきているが、そろそろ3か月が経つし、レントゲンで良くなっていることをCTでもきちんと確認出来るので予約を入れましょう。」とのこと。でも来週の通院は(体調的に)無理でしょう?と問われて頷き、再来週に予約を入れて頂いた。

 おかげさまでまだ地毛です、の話から「人さまざまですね。別の方は結構抜けています。」と伺い、ああ、そうなのだ、と思う。今のこの暑さでかつらのしんどさは体調のしんどさに加え、辛いなあと思う。
 それにしても3回連続で休薬もせず、減薬もせず、規定量で治療が出来るとは本当に初めてのことだ。お礼のご挨拶をして席を立った。

 化学療法室ではお1人が待っていて、ちょうど吐き気止めを飲んでいらした。LINEに繋がるシステムで受付を済ませ、夫やお友達にいつものようにLINE報告。5分ほどするとOkさんが「お薬飲みましょう。」とイメンド125mgを持ってきてくださる。イメンドを飲んでから1時間後にエンハーツ開始だ。5分ほどで「今日はこちらのベッドです」と看護助手さんから案内された。広々としたベッドで眠ってしまうにはとてもよさそう。

 体勢を整え、お手洗いへ。10分ほどでOkさんが針刺しに見えた。久しぶりだったが、さすが一切の迷いもなく早業で、全く痛くない。素晴らしい。
 その後40分ほどするとKrさんから薬が届く。この3週間の状況をお話しする。吐き気止めアロキシ・デキサートミックスの点滴からスタート。結局この15分間はずっとKrさんとあれこれお話しをしてしまった。エンハーツには今日も遮光のオレンジ色のビニールカバーがかけられている。
 病院にチェックインしてから点滴スタートまで3時間以上かかっている。

 ブドウ糖の点滴開始とともに読書の続きをするが、イメンドのせいか眠くて眠くて何度もガクッとしそうになる。
 今日は初めましての女性薬剤師のYさんがいらした。変更する薬等についての説明等があり、ペーパーも頂いた。あれこれ副作用についてご報告して、薬の飲み方等も細かくアドヴァイスされる。

 今日3クール目のエンハーツは30分で落とした(初回は90分、2回目は60分)。最初の吐き気止めが15分、ブドウ糖が15分、エンハーツ30分プラスα、再びブドウ糖15分、生食でポートフラッシュして終了。今日は開始から1時間半かからずに済んだ。有難い。
 終了時血圧は110-71、脈拍は63で問題なし。抜針はKrさん。殆ど衝撃なく、痛まなかった。今日、採血の針刺し・抜針はアンラッキーだったけれど、メインのこちらはラッキーデー。終わるや否やお手洗いへ急ぐ。点滴はどうしても身体が冷えるのだ。

 ご挨拶をして会計へ移動する。相当混んでいる。待合い椅子の場所を確保して手提げと日傘だけ置いて長蛇の列に加わる。受付番号を頂いてから処方箋を薬局に送るテーブルまで移動して送付する。30分ちょっとで番号が出て、自動支払機へ移動。お支払いはカードで16万弱。
 病院を出ると途端に暑い。照り返しも酷く傘を差していても辛い。むっとした熱風にあおられてクラクラする。薬局で「病院から処方箋を送りました。」と言って番号札を頂く。今日は混んでいる。どんどん後の番号の方に抜かされる。お手洗いに行き、本の続きを読む。

 30分ほど待つ。デカドロンとワイパックスが増えたが、漢方2種、ビタノイリンが減って9種類の薬、4,000円弱をカード支払い。かさばる漢方2種(毎食後の21日分なので1種類につき63包)がなくなったので、少し荷物が小さくなった。本日の病院と薬局の滞在時間は合計で6時間弱。暑さ厳しくやはり疲れて顎が出る。

 帰路、マスクの息苦しさと荷物の重さにふうふう言いながら、日傘を差して駅を目指す。足裏が痛む。電車が混まないうちに移動してしまいたいと、そのままJR乗換駅を目指す。お腹も大丈夫そうなので、すぐに来た快速に乗った。席もゆうゆう確保出来、本も読めて良かった。

 乗換駅の駅ビルの紅茶専門店で3時のおやつの時間帯にランチを頂き、本を読み終わった。いやはや、面白かった。驚きとスリルに満ちた伊原マジック最先端、一大エンターテイメント。映画化もされるだろうか。
 最寄り駅に降りたが、歩けそうだったので、てくてく歩いて汗を滲ませながら帰宅した。定時で帰宅するのより若干早かった。
 生協のお届け品を取り込むと、汗だく。薬を整理したり、DMやら何やら最低限の片づけをしてようやくソファに横になったら夫が帰宅した。

 食事は食べてまだ時間が経っていないので要らない。ちょっとひと眠りしたいかな、とソファでたっぷり2時間以上眠ってしまった。夫は私が寝ている間に一人で適当な夕食を作ったようだった。本当に申し訳ない家事放棄の主婦もどきだ。
 フルーツだけにしようかな、とも思ったけれど、食べられるうちに・・・と生協から届いた冷やし中華に夫が剥いてくれたピンクグレープフルーツを少々。しっかり頂けたので、良かった。

 ステロイドのせいか、長いお夕寝をしたせいか、ブログを打てるくらいには元気だ。が、お腹の気持ち悪さは少しある。痛み止めは3週間コデインだけに切り替えたが、追加でロキソニンを飲んだのは1度だけ頭痛があった時のみ。いい感じだと思う。
 明日は午前午後とウエブ会議である。金曜日も在宅勤務だ。エンハーツ3クール目、どうかうまく乗り切れますように。
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2020.8.24 エンハーツ2クール目投与後19日目のこと 朝風呂も街歩きも堪能、旅を終え無事帰京

2020-08-24 22:31:05 | 
 昨夜、息子と私が宿の内湯から部屋に戻ると、夫は既に夢の中だった。ひとりで次の間に陣取って(鼾を遠慮したらしい。)。定員10名の2部屋続き計20畳の部屋だから、川の字に敷かれていたお布団をそれぞれ離し(家族内ソーシャルディスタンス?)、ほぼ独立して休めた。

 さすがに外湯を三箇所で頂いた上に内湯も、と欲張ったことと前夜の寝不足もあり、私も瞬く間に眠りに落ちた。明け方お手洗いに起きてから二度寝した後、普段と同じ時間にスマホのアラームが鳴る。息子のアラームは私より15分前に鳴り出したが、10分ほど鳴りっぱなしにして、何食わぬ顔でずっとお休みになっておられた。

 夫は、せっかくなので是非、と私が薦めた清潔で静かな宿の内湯へ。外湯は7時オープンだ。息子と2人、ロープウエイ乗り場に近い「鴻の湯」を目指した。幸せを招く湯、夫婦円満・不老長寿の湯だという。
1400年前、こうのとりが足の傷を癒やしたと伝わる湯。庭園露天風呂があり、これを外すわけにはいかない。5分前に到着すると、既に地元の方たちや観光客数名が開場を待っている。

 オープンと同時にチェックイン。女性は年配の女性が2人、若い観光客が1人と私だけ。庭園露天風呂は貸し切りで堪能した。
 東京や大阪と違って、朝のうちはまだ涼しい。温泉好きの息子はすっかりここが気に入って、また来たいな~とのこと。今回、宿に一番近い御所の湯が改装中で入れなかったのが残念だったようだ。

 昨夜あれほど沢山夕食を頂いたのに、たっぷり眠って一風呂浴びたら、しっかりお腹が空いている。有り難いことである。食前の飲み物には甘酒ヨーグルト(美味だった。)、そして、地元で水揚げされたというエテガレイの干物など、一汁八菜の彩り良く美味しい和の朝食を、時間をかけてゆっくり完食。

 フロントでは、こちらを訪れなければ買えない志賀直哉、湊かなえさんや万城目学さんの本を三冊買い求め(そもそもNHKの「ニッポンぶらり鉄道旅」でこのことを知ったのだが、これが今回この地を訪れた大きな目的でもある。)チェックアウトまではお腹を休めてのんびり。2人はまたお布団に入って食後のウトウトタイムである。

 チェックアウトの時に、大きな荷物を駅まで運んで頂けるサービスを有り難くお願いする。勿論、車で駅までの送りもお願い出来るのだが、せっかくだから身軽になって、買い物かたがた駅まで散歩しよう、という魂胆である。
 玄関では若旦那さんと一緒に写真撮影。丁寧なお見送りを受けた後、特急の発車時間まで1時間半ほど、駅前までぶらぶらと歩いた。

 途中、温泉街の真ん中に建ち、城崎温泉ゆかりの作家に関する展示を行う城崎文芸館に立ち寄った。ここは息子の生まれ年である1996年に開館し、オープン20周年を迎えた2016年秋に展示内容を大幅にリニューアルしたそうだ。白樺派の作家たちがどのように城崎の町や人と関わったのかを本や書簡を通じて紹介した常設展に加え、2013年直哉の来湯から100年という節目の年に誕生した「本と温泉」(次なる100年の温泉地文学を送り出すべく、NPO城崎温泉旅館経営研究会が立ち上げた出版レーベル)の本作りの裏側を見られた企画展もとても楽しかった。

 残り時間は後30分ほど。だんだん気温が上がってくる。往路に気になっていたカフェで急いでお茶をして喉を潤し、駅前の観光案内所で、運んで頂いた荷物をピックアップしてから、乗車券を購入。
但馬牛やカニ寿司などの美味しそうな駅弁もゲットして「特急きのさき」に乗り込んだ。京都までの所要は2時間半ちょっと。
 揺れが心地よく、すぐに眠くなる。遅めのお昼を摂ったら後は皆でこっくりこっくり。いつの間にか風景は京都に変わっている。

 息子が新幹線改札まで送ってくれて、そこで解散。30分弱の乗り換え時間があったが、いつもは大混雑で座れた試しがなかった待合室もがらがらで、2人揃って席を確保することが出来た。
 のぞみ号は定刻通りに発車し、往路に気になっていたピスタチオ味のアイスクリームを頂く。

 車内では宮下奈都さんの「つぼみ」(光文社文庫)を読んだ。宮下さんは「羊と鋼の森」で一躍有名になったが、10年間書き続けた作品が輝く傑作集とあり、6つのお話が納められている。“それぞれ屈託を抱える登場人物達が辿り着いたそれぞれの境地とは。”と裏表紙にあった。「スコーレNo.4」のもう一つの物語を収録とあり、最初の三編はその地続きの物語だという。どちらも読むとお互いの世界観をより深く味わえるとのこと。読んでみたい、と思った。

 乗換駅に定刻通りに到着し、在来線に乗り継いだ。通勤時間帯だったけれど途中で2人とも席を確保出来た。タクシーで帰宅すると、今月のお花、濃いピンクのミニ胡蝶蘭2本立ちとアイビーの寄せ植えが届いていた。
 旅の間中、飽食を続けたので今夜は軽いもので、と素麺と果物を夫に用意してもらった。その間、私は出がけに干していった洗濯物をたたみ、今回の旅の洗濯物を干し上げた。
 
 こうして4日間、毎日暑かったし、雷雨に見舞われた日もあったけれど、降られて全く歩けなかったということもなく、予定以上に散策が出来た。在宅勤務ですっかり脚力が衰えたのではと心配したが、1万5千歩を超す日もあり、ちょっとした自信になった。そして何よりも、治療前で体調が良い隙間を最大限活用して、すっかり心の洗濯が叶った。
 
 明日一日仕事を終えたら明後日はエンハーツ3クールの投与日だ。レントゲン撮影もある。奏功しているのが確認できればしんどい治療もまた頑張れる、筈である。



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2020.8.23 エンハーツ2クール目投与後18日目のこと 開湯1300年の温泉まち歩き外湯巡り

2020-08-23 22:23:16 | 

 昨夜はあまりに疲れすぎてなかなか眠りにつけず。日付を超えてちょっと悶々としてしまった。夫はいつもながらすやすやで憎たらしい。朝日がカーテンから漏れて起こされる。今日もいいお天気だ。目指すは720年に開湯し、今年開湯1300年の節目の年を迎えた城崎温泉だ。朝からお風呂は諦めて部屋で足湯だけ済ませる。

 レストランの朝食ビュッフェは昨日と全く同じメニューでテンションが下がる。今日が日曜日ということで、昨日の朝よりレストランはかなり混雑している。密状態を避けながら盛り付けるのに苦労する。

 部屋に戻り荷物のパッキングを終え、チェックアウト。息子とロビーで待ち合わせ、駅を目指す。既に「特急こうのとり」の指定席券は息子が購入済みなので、今日購入するのは乗車券のみだ。発車まで20分。乗車時間はおよそ3時間である。車内販売や自販機がないというので、飲み物やおやつ等をゲットしてからホームへ。
 
 当駅始発で、5分前の入線だ。定刻通りに発車し、車窓の風景については息子の解説が続く。いい感じでガタンゴトンと揺れるので、寝不足な私は眠くてたまらない。途中、あの福知山線脱線事故の現場を教えてもらい、ここで・・・と胸が痛んだ。1時間もしないうちに景色は渓谷のようになる。田んぼの緑、空の青、入道雲の白のコントラストが美しい。

 立派なお城を望める福知山駅で京都からの「特急はしだて」を待って発車して、山陰本線に入る。つくづく兵庫県は縦長なのだなと思う。
 がらがらだった昨日の「特急こうや」に比べ、「こうのとり」は結構混んでいる。日本屈指の温泉に向かう人はこんな時期でも多いな、と思う。
 予定時刻より若干遅れ、終点城崎温泉駅に到着。駅前の観光センターで地図等を頂く。実に風情のある由緒正しき温泉の駅である。
 既にお昼を1時間以上過ぎ、ランチをどうしようと周りを見ながら温泉街をだらだらと歩く。駅前通りを超え、沢山の太鼓橋がかかっている大谿川に出る。柳の木の緑が揺れて、実にフォトジェニックである。ランチ探しも一休みで写真撮影タイムだ。ちょっと洒落たバーベキューのお店があったので、ではここにしようかと言ったが、コロナの影響で今は飲み物だけだと言われ、ちょっと残念。道なりに歩いた古き良きおそば屋さんで遅いお昼を摂った。

 そうこうしているうちに今晩お世話になる日本旅館に到着する。創業300年、国の登録有形文化財の宿、「小説の神様」と呼ばれた文豪、志賀直哉が投宿し、名作「城の崎にて」を生み出したところである。ここ最近宿泊といえばホテルばかりだったので、こうした日本旅館に泊まるのは久しぶりのこと。
 チェックインまでは小一時間あったので荷物だけお預けして、身軽になってから街歩きを続けた。

 お天気が変わりやすく、雨が降らないうちに、とロープウエイを目指す。途中「温泉寺」があり、息子が険しい階段を家族代表で登り始めたが、とてもではないと汗だくで帰ってきた。マスクをしたままあの急な階段を延々と登って途中で具合が悪くなったら大変なことだ。その間、私達は薬師堂の薬師如来様にお参り。

 ロープウエイまでも結構な階段で、登り口には杖が置いてあったけれど、だんだん無口になる私である。山頂駅まで往復チケットを買って赤い車体に乗り込む。定員60名のところコロナ対策で30名としているというが、30名も乗ったらかなり密状態だ。途中雨がぽつぽつ落ちてくる。遠く日本海まで見渡せる絶景がなんとなく煙ってくる。

 ロープウエイを降りると展望台までまた階段。それでも登らないと見晴らしがイマイチである。温泉寺の奥の院に息子が代表でお参りし、そのついでにかわらけ投げも終えて、ふうふう言いながら戻ってきた。展望台で写真撮影を済ませ、山頂での滞在時間僅か10分で帰りのロープウエイに乗ろうとしたが、定員一杯となり次の臨時便に乗ることに。

 10分ほど待って定員3分の1の10人で出発したけれど、先に並んでいた私達がなぜか順序を抜かされて、前の景色が全く見えないまま。なんだかなぁと黄色い車体に揺られたブーイングの復路だった。それでも雨に降られずラッキーだった、としよう。

 戻ってくるまで1時間たっぷり時間がかかった。汗だくでちょっとぐったりして宿に入る。
 玄関を入って広がるロビーは開放的で自然な光が溢れている。正面に望む緑豊かな日本庭園は直哉の小説「暗夜行路」にも描かれているという。陽光が差し込むテラスがとても落ち着いた雰囲気を醸し出している。ロッキングチェアに揺られるのもとても気持ちよさそうだ。右手には洒落たライブラリースペース。本好きにはたまらない空間が広がっている。

 宿帳を書き、おしぼりと冷たいお茶と銘菓を頂き、人心地ついてから外湯巡りのパスポート等の説明をして頂く。タオルとセットで持って行くと明日の夕方まで好きなだけ全ての外湯を何度でも楽しめるという。
 お部屋まで案内される途中、浴衣コーナーがあり、町散策を楽しめるように、と沢山の種類から好きな浴衣を選ばせて頂いた。私は薄紫の地にとんぼの柄、紺と紫のリバーシブルの帯をチョイス。お部屋は2部屋続きの和室。外は賑やかな温泉通りに面している。

 荷物整理を終え、一服してから3人で浴衣に着替えて、外湯巡りに繰り出した。夕食まで2時間弱である。まずは3人揃って「一の湯」へ。開運・招福の湯と言われ、江戸時代の医師・香川修徳が「天下一の湯」と推奨したという。洞窟風呂が自慢だそうだ。パスポートのQR コードをスキャンして大浴場へ。30分後にロビーで集合ということで2人と別れる。

 中はかなりの混雑で、30分で全て済ませるのにはかなり大変だった。長い髪の女性が多く、ドライヤーは4つしかなく、順番を待っていたら日が暮れそうだった。とりあえず滑り込みセーフで上がってみたら、2人は2階の休憩所で寛いでいた。冷たいジュースを夫からご馳走になってほっと一息。お風呂好きではない夫は「もうこれでいいや」と言い、お風呂大好きな息子は「お母さん、次は隣のお湯に行ってみよう」と。

 お隣は柳湯。子授安産の7つの外湯のうちで一番小さいお湯というが、檜の香りの和風のお風呂は天井が高く、お湯は熱めで、空いていて良かった。20分後に息子と待ち合わせにした。入った時には一人の先客がいたが、すぐに貸し切りになった。こちらでゆっくりすれば良かったと思うが、出て脱衣所で身支度をしていたらいきなり混んできたので、まあどこに行っても同じということか。その間夫は前にあった足湯で時間潰しをしたらしい。

 からんころんと下駄を鳴らしながらお土産物店を冷やかしつつゆるゆる宿まで戻って、早くも夕食である。
 夕食は1階の食事処で。4人家族と私達3人の7人で、他の3つのテーブルはソーシャルディスタンスなのか使われていなかった。そもそも16室しかない宿だから、もう一つの食事処と合わせると満席になることはあまりないのかもしれない。
 先付け・前菜からお食事、水物まで合計12品、食べ終えた頃を見計らって一品ずつ提供される。サザエや鮑や但馬牛など海の幸、山の幸がふんだんに。私のお腹にはとてもヘビーで、途中から殆ど息子に横流し状態。2時間半近く頂き続けた。

 食後2人は「温泉街に来たら、これでしょう!」と射的やらスマートボールやらに出かけ、可愛いアヒルを賞品にもらって地ビールを飲み、ソフトクリームを食べて帰ってきた(どれだけ飲んで食うのやら・・・)。射的は2人とも結構当たったんだけど・・・、とのこと。これぞ正しい温泉街の過ごし方、である。

 私と息子は、この後再びお腹ごなしに外湯巡りに繰り出した。3湯目はホテルからほど近い「まんだら湯」。一生一願の湯とされ、商売繁盛、五穀豊穣の湯。檜造りの露天桶風呂や気泡風呂が自慢で寺院風の屋根が個性的だった。夜風が涼しく気持ち良い。
 それにしても、脱毛が酷く進んでいなくてこうして外湯巡りが叶って良かった。かつらで共同浴場に行く勇気はなかったので、ギリギリまでこの1泊延泊については迷ったところ。こうして実現出来て、良い思い出が出来て有り難かった。

 明日は朝食をラストの時間にして頂き、ゆっくりと。お昼頃に出発する「特急きのさき」に乗って、京都経由で帰京の予定である。

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2020.8.22 エンハーツ2クール目投与後17日目のこと 天空から極楽なパワースポット巡り

2020-08-22 23:39:34 | 
 昨夜は大風呂に入浴後、部屋に戻ってベッドに入ったと思ったら、あっという間に眠りに落ちた。途中夫の鼾が気になるなと思ったらもう明け方。外は朝焼けである。6時間近く眠ったとみえて、もう寝直せず。一人で朝風呂に出かけた。昨夜より混んでいてびっくり。

 1階のレストランに降りて朝食。消毒と検温を済ませ、ビニール手袋を頂き、ビュッフェである。お腹も快調だ。今日も暑くなりそうである。
 部屋に戻って身支度をし、ロビーで息子と合流。ワンデイチケットを持っていざ出発である。
 
 目指すは世界のパワースポット・高野山。3年近く前、秋紅葉の美しい頃に出向いた2人のお薦めである。地下鉄から南海線に乗り換え、まずは急行で橋本駅まで。ボックスシートを確保し、浮腫防止対策でお行儀悪く足を投げ出したら息子が気を利かせて足裏マッサージをしてくれた。ありがたや。
 ここで、息子が座席予約をしていた“こうや花鉄道「天空」”に乗り換えだ。前回2人が来たときには、台風によるポイント故障のため、電車がストップしており、この駅からバスで2時間以上かけるという大変な思いをして辿り着いたそうだ。1時間も待ち時間があり、駅で時間を潰すのが大変だったと2人で懐かしそうに話している。
 ここで名物、柿の葉寿司をおやつにゲット、限定販売の金色の“極楽鳥の願掛羽”をお土産に「天空」に乗り込んだ。

 天空は赤と緑の車両が目にも鮮やか。標高92メートルの橋本駅から535メートルの終点・極楽橋まで乗車時間は40分ほど。パノラマ風景が満喫できる「ワンビュー座席」に3人並んで座る。1両の客は私達3人といかにも鉄男君の一人旅男性が2人の計5人のみ。険しい山間を縫いながらゆっくりと走行する。紀ノ川を渡り、和歌山県に来たなぁと実感する。私としては、これでようやく47都道府県制覇になる。山はどんどん深くなり、緑もどんどん濃くなっていく。

 終点となる“始まりの聖地・俗世と聖地を結ぶ”極楽橋駅は先月リニューアルされたばかり。天井の彩色豊かな丸い絵が素晴らしく美しい。ここで、願掛け羽を夫とともに1枚ずつゲットし、息子が金色、私が赤、夫が白とそれぞれの願いを書いてきた。普段はなかなか面倒臭がって書かない夫が「○○(私)が一日でも長生き出来ますように」と書いていたのを見て、鼻の奥がつーんとしてしまった。
 駅には乗ってきた天空と特急こうやが仲良く並んでいて、鉄男の息子は喜んで写真撮影に走って行く。

 次は867メートルの高野山駅を目指し、5分間で400メートルを上がるケーブルカーに乗り換えだ。赤と黒のお洒落な車体は昨年7月にリニューアルされたばかりの新型車両だという。それにしてもとんでもない急勾配。真っ逆さまに落ちそうな感じで登っていく。
 世界遺産・高野山は弘法大師(空海上人)の真言密教の根本道場で、海抜900メートルの高峰上にある総面積33万坪の一大盆地。開創以来1200年以上に渡り、一般庶民の強い信仰と指示を集め、年々この聖地を訪れる人は100万を超えるという。
 駅からはタイミング良く、バスが発車する。

 最初の目的地は総本山・金剛峯寺。コロナ禍の今、本当に人影も少なく、静謐で贅沢な参拝となった。主殿の見学に歩を進める。石庭は我が国最大であり、雲海には京都の白い砂が使われているという。日差しが眩しく反射して、目が開けていられないほどだ。内部の襖絵等も四季折々の花鳥風月、美しいことこの上ない。2人が来たときには廊下が冷え切っていて足が冷たかったというが、今はちょっぴりひんやりとして気持ち良い。

 途中の売店で、この時期ならではのお土産に真言密教の梵字カーン・ア・ユをそれぞれ刺繍したマスクを一枚ずつ買い求めた。それぞれ不動明王様、胎蔵界大日如来様、弥勒菩薩様を表わしているという。お洒落である。写経が出来るお部屋でお茶を一服頂いて、一休み。

 続いて根本道場大伽藍へ。東塔に迎えられ、高野山といえばまずイメージされる伽藍の中心たる建物・高さ49メートルの一層塔、根本大塔から大伽藍金堂を巡る。ご本尊は高村光雲作の薬師如来様だ。
 息子は一人で六角経蔵を一周回している。暑いのに元気なことである。御影堂、三鈷の松を拝み、中門から一旦外へ出る。

 もうお昼の時間を十分過ぎているが、ちょうどタイミング良くバスがやってきたので、高さ25メートルの大門まで移動。一山の総門にふさわしく威風堂々とした門構えだ。見れば気温は30度を割っている。さすがに涼しい。昼過ぎから何度もゴロゴロと雷が鳴っていたが、なんとか雨に降られず、晴れ女ここにあり、といい気分である。

 さすがにお腹はぺこぺこ。まだ奥之院にも訪れる予定だったが、とりあえずお昼を、ということでネコをモチーフにデザインされた可愛らしい茶房に入った。私達3人の貸し切りで、日替わりランチやおうどんに舌鼓。するとここでいきなりとんでもない雨が降り出した。稲光も凄いし横殴りの雨だ。どうしたものか。それでもこのまま帰るのは・・・とお茶とデザートを頂いていると少し小降りになったので、意を決してバスに乗り、大師様御入定の地である終点・奥之院まで。

 結果、本当に来て良かったとしみじみ。最初は何やら色々な会社の慰霊塔なども建ち並んで、一体これは何???という感じだったが、本来の参道には何百年も経た老杉が聳え、酸素がどんどん濃くなって、マスクをしながらも息が楽になる気がする。雨も小やみになって参拝の味方をしてくれる。

 木々の間には豊臣家などの武将から名も知らぬ庶民まで20万基を越す墓碑が並び、高野信仰の篤さをうかがわせる。弘法大師御廟は今なお大師様が瞑想を続けていると伝えられる大師信仰の中心聖地だ。ここは写真撮影も禁止。燈籠堂は全国の信者から献ぜられた多くの燈籠が橙色に揺らめいて、圧倒的かつ幻想的。息子がお線香を買ってくれて皆で供えてきた。

 罪の軽い人は軽く感じるというみろく石を祠の格子から持ち上げてみたけれど、当然3人とも重くて持ち上げられないのもご愛敬。しっとりと雨に濡れた参道をゆっくり小一時間かけてバス停まで戻ってきた。まだ若干時間があったので、名物「みろく石」という、粒あんがびっしり詰まったお饅頭を買って糖分補給のため一休み。

 再びバスで高野山駅まで戻り、今度は特急の指定席を購入し、駅構内の待合所で時間調整。眼前に広がる山々の稜線が美しい。あの雷雨はなんだったのかというくらい美しい夕焼けが出ている。
 そして、真っ逆さまに落下するほどに感じられる急勾配のケーブルカーで再び極楽橋駅まで戻り、特急こうやに乗り込む。息子が一番先頭車、運転席の真後ろの席を所望したが、せっかくの席も夫と私は草臥れてこっくりこっくり・・・だった。

 80分ほどで終点に到着。もう夕食の時間だ。街中を歩き廻る元気はなく、そのまま駅直結百貨店のレストラン街へゴー。地中海料理に舌鼓を打った。魚介類等のお料理で夫と私はもうお腹一杯だったのだけれど、息子は何やら物足りなかった様子で、近くに出来たラーメン横丁のラーメンで締めたいという。全くなんという大食漢。とても付き合えないので、夫と私はカフェでお茶をしながら、息子がラーメン店から戻ってくるのを待った。

 再び三人揃って、地下鉄でホテル最寄り駅まで戻ってくると、また雨が降り出していた。幸いタクシーに乗るほどでの降りではなかったので、そのまま傘を差して戻ってきた。
 明日はホテルをチェックアウトしたら息子とともに隣県の温泉地に向かう。

 朝ホテルを出てから戻ってくるまで13時間近く。万歩計によれば18,000歩ほど。良く歩いた。足の裏がジンジンしている。本当にてんこ盛り、結局のところまたしてもついつい頑張り過ぎた一日だった。それでもパワースポットで細胞が隅々まで生き返った感じ。
 入浴を済ませ、後はバタンキューになるだけだ。

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