キラウエア火山国立公園に入って、チェーン・オブ・クレーターズ・ロードを
走っていくと、途中には古いクレーター(火口)がいくつかある。
これもそのひとつで、向こう半分は低めの温度の溶岩が、手前半分は
高めの温度の溶岩が噴出したため、表面の質感が違っている。

道路は一部溶岩を削って作られ、切通しのようになっている個所もある。

この道路に並行して走っていた古い道路が見える個所もあった。
ほんの数メートルを残して、その前後は溶岩に埋まってしまっていた。
わたしたちが走った道路も次の大噴火で埋まるかもしれないのだ。
チェーン・オブ・クレーターズ・ロードが海にぶつかったところの溶岩平原で、
夕食のお弁当を食べた。ロコモコを考案したことで有名なカフェ100のお弁当だった。
ちなみに、この道路は海岸沿いをしばらく進んだところで、行き止まりになっている。
一番最近の噴火(1983年に始まり今も続いている)で埋まってしまったそうだ。
時刻は午後4時過ぎだったが、暑くも寒くもなく、ピクニックには最適な気候だった。
荒涼とした真っ黒な溶岩平原。

足場が悪いところもけっこうあり、かなり深いクレバスもあった。

海からそそり立つ断崖には柵などなく、娘が下をのぞきこんで写真を撮っているのを
見ているだけで、高所恐怖症のわたしは怖かった。
(だからなるべく横を向いて、見ないようにしていた(笑))
溶岩の流れたあとがはっきりとわかる。

はじめは不毛な溶岩平原も、やがて植物が生い茂るようになる。
人の背丈より高いシダが密生する熱帯雨林。

周囲の溶岩が固まったあとも中心部だけは流れ続けてできた溶岩トンネル。

地下水が溶岩の熱で熱せられて噴出しているスチームベント。
蒸気はやけどしそうなほど熱い。

何か所も噴出しているのが見える。量は日によって違い、この日は多めだったそう。

その後、トーマス・ジャガー博物館の横から、今なお噴煙を上げている
ハレマウマウ火口を眺める。夕暮れ時だったので、赤い色がきれいだった。

火口は直径1キロ、深さ85メートルあるが、広大なキラウエア・カルデラには
このサイズの火口が10個ほど入りそうだ。
博物館内部には、いろいろな地点に設置された地震計のデータがリアルタイムで
表示されていた。絶えず揺れている個所もあれば、平坦な線が続いている個所も
あった。これは去年の3月11日の記録だ。日本の揺れはハワイでも観測されていた。

このあと、いったんヒロまで戻ってから、マウナケアとマウナロアのあいだを抜けて
ハワイ島を横断するサドル・ロードを走り、空の晴れた場所で星を眺めるはずだった。
けれど、行けども行けども空は雲におおわれていて、けっきょく島の西側に達するまで
星空を眺められる場所はなかった。全天が雲におおわれている日は確率では2割だそう。
わたしたちはそのアンラッキーな2割だった。でも、車で走っているあいだは
雨が降っていても、降りて歩くときはいつもやんでいたんので、その点ではラッキー
だったともいえる。1番にピックアップされたわたしたちは、降りるのも最後になって、
ホテルに着いたのは午後9時過ぎだった。1日で500キロ走った。