――歳々年々人同じからず。
家を建てるとき、最初の計画では、雑草取りをしなくていいように、
庭のほとんどを砂利敷きにしようかと思っていた。
でも、ウッドデッキを広げて、土の面積が減ったから、砂利敷きはやめた。
それに、ウッドデッキの周囲には木や花があったほうがいいし。
これまでずっと賃貸マンションや借家だったから、
いろいろ育てたとしても、引っ越すとき、むなしいだけという気がして
ガーデニングにはまったく興味がなかったが、
まじめに取り組みはじめたら、すごくおもしろいことがわかった。
でも、ガーデニングというのは、基本的にとても楽天的だと思う。
だってそうじゃない? 明日、どうなるかさえわからないのに、
来年の春のためにせっせと球根や苗を植え、
何年か先に立派に茂るのを楽しみに木を植えるのだから。
以前の家の近くに、家の前に鉢植えをいっぱい並べて
しょっちゅう世話に精を出しているおじいさんがいた。
あるとき、病気で入院したのかどうかわからないが、
世話をしている姿を見かけなくなった。
しばらくしたら、鉢植えの木も薔薇もみんな枯れていた。
庭というのは、手入れする人がいなくなると、とたんに荒れてしまう。
だからわたしはガーデニングに一生懸命になったりするまいと思っていた。
でも、何ヵ月か先、何年か先でなくて、1週間前からこれだけ伸びたと
いうことを見ているだけでも楽しいものだ。
そして、ラッキーなことに、去年植えた球根が、1年経ってまた
芽を出すのを見られたというなら、それはもっと楽しい。