今日も駅前(AKIBAオジン)

ツクバEX開業日から始めた親父居酒屋の放浪記。下町の居酒屋、旅先の地酒・酒蔵・秘湯、森と水の話や、たまには政治談義など。

寒空と「駒形どぜう」

2006年02月13日 | お酒

 日曜日、寒風荒ぶ中近所での葬式も終わった。ガキの頃、仏さんの家には、いつも流行の玩具や模型などがあり、いろいろと遊ばせてもらった記憶がある。年の差も一つ上、家も近かったせいか兄貴分のような人だった。大人になってからも趣味には事欠かない。祭りと酒が大好きで、神田祭りのたんびによそから来た十数人の睦会の助っ人連中の世話を焼いていた。三社や鳥越の祭りにもよく顔を出していた根っからの神田っ子だった。近頃、顔が見えず具合が悪いとは聞いていたが突然の逝っちまった。まだ還暦前だ早すぎる。子供のまま逝っちまった気がする。 

 葬式から帰って体も芯から冷えていた。酒を飲みたい気分である。それではとドジョウでも食べて暖まろうかと家族とタクシーで駒形まで一走り。混み始める5時少し前に到着。一階の葦簀の大座敷に低い板机の前にどかっと座り、まずは「振り袖」の燗酒を注文。マル鍋と柳川、いずれにしても飯も飲んだ後食べる。面倒なりと駒形御膳のセット(マル鍋、柳川、どじょう汁、田楽、お新香、ご飯)に卵焼きを付けて注文する。目の前の赤々と燃える炭の輻射か酒の酔いか、冷えた心も体も温かくなる。

 「振り袖」は燗酒にして、飲み口は柔らかく、ほんのり甘い。女性でもすんなり飲める酒だ。どじょう鍋にもしつこくなく実にあっている。既に煮込んであるドジョウ鍋にネギをたっぷりのせて更に煮込む。ここのマルは他のどじょう屋より柔らかく口当たりがいい。酒を飲ませているという。マルを突きながらゆっくりやりたいのだが連れは酒は飲まないので、せわしく2合ほど飲んで、ご飯とドジョウ汁を出して貰う。家族を帰し浅草の「松楽」にでもと思ったが、なにせ食い過ぎて腹一杯である。今日中に片づけなければならない仕事もあり大人しく帰ることとした。

 それにしても、酒が大好きで下町をこよなく愛していた仏さん、もう浅草あたりでちょっと一杯てな訳にはいかねえなあ。それとも、あの世に先に行ったSちゃんと一杯やってかな?    南無阿弥陀仏