その時はそのときのこと日向ぼこ 章子
鍵盤におどる指先クリスマス
寒の月煌煌と雲よせつけず 歩智
バーコード撫でて今年も暮るるなり
南無阿弥陀恐み恐みクリスマス 炎火
冬将軍波状攻撃しかけおり
大焚き火いっ時老いを忘れけり 洋子
スルメ焼くくるりと反りし冬茜
張り替へし障子まぶしき小春かな 侠心
カサコソとカサカサコソと落葉踏む
凍蝶のいのち受けとる白き壁 正太
棄ててゆく縁のきざはし石蕗日和
世を隔つ病床に置く古日記 鼓夢
冬ざれて孤舟碇を下ろしけり
舌先にワインの渋み聖夜かな 薪
仏身は杉の大樹か山の冷え
一日永し一年はやし霜月夜 遊石
寒月夜あだな年増に道問われ
初雪や足湯にぎわう熱海駅 静江
外は雪燃える火のそば賀状書き
大焚火あなたの顔もまっかっか 雲水
汝が村も山河に抱かれ聖夜かな
初雪や木立の静寂金色堂 稱子
一期一会の言葉噛みしむ年の冬
庭掃除 不意の落ち葉に 驚きぬ 空白
八戸の 冬長く待つ ローカル線