灰色の路傍に石蕗の一葎 豊春
大根干すラインダンスと一人笑む
声揃ふ手拍子揃ふ酉の市 稱子
落葉して一山軽くなりにけり
幸せはどこにでもある小春かな 章子
マフラーを背に流して荘年期
冬の虹晩年という未来あり 歩智
北風吹くや朝の庭の竹箒
朝食はパンとコーヒー新嘗祭 炎火
草紅葉足裏のタコ疼く風呂
熱海駅暖か帽子が群れていく 静江
青いまま銀杏祭りの大都会
小春日や油で揚げしパンの耳 洋子
立冬やテーブルクロス新しく
在るがまま瘤かかえおり冬の幹 正太
暮早しうたたねあとの渇きかな
今日も又同じ布団に足を入れ 遊石
木枯の公園を斜めに過ぎる
短日や繰り言のように編目解く 薪
青鷺の古老佇む文化の日
顔は春心は冬の色模様 空白
霜月や虫も野球も鳴き止みて
窯焚きの煙昇らせ憂国忌 雲水
攻め窯にコレルリ聞かす冬の山