岩出和也さんは本当に魅力的な男性演歌歌手だと思います。何といってもその声がいい。泥臭くなく、かといってスマート過ぎず、都会的な中に適度な哀愁感、陰りをただよわせ、聴く者を魅了します。
私にとって岩出さんは、心地よくカラオケで歌える男性歌手の筆頭です。
さて、期待の新曲「北のとまり木」は、ドラマチックな内容、堅実な構成で、岩出さんの魅力を十分に活かした素敵な曲です。
舞台は北国の港町にある酒場。そこでたまたま出会った、似た者同士の男と女。絶妙のシチュエーションですが、私はこの曲のポイントは視点にあると感じました。
1コーラス目は女性の登場シーンで全身の視点です。ここでは「ボストンバッグ」「薄いコート」という道具立てが思わせぶりで気を引きます。
2コーラス目では「チロリ」「指輪」という小道具が出てきて手元を見つめる微視的な視点。
そして3コーラス目では一転、外の海の情景へと視点を変えています。この視点の動きが、主人公の心の動きに連動していて、なかなかに心憎い演出だと思いました。
一人でも多くの人にこの曲の良さを知ってもらい、ぜひともヒットしてほしいものです。