6時起床。さっそく、朝風呂へ。朝は、露天風呂が特に良い。朝の爽やかな空気を感じながら温泉に入るなんて、こんなに良い1日の始まりはなかなかない。
朝食では、昨夜コロッケになっていた温泉粥が出てきた。ほのかに硫黄の香りがして、美味しい。また、出来立ての豆腐や野沢菜のお漬物も印象的だった。
8時半にチェックアウトし、上高地へ向かう。こちらもマイカー規制が行われているため、手前の沢渡に車を止めて、タクシーに乗る。昨日に引き続いて運転手さんに恵まれ、観光案内だけでなく、私たちの希望や所要時間を考慮して最適な散策ルートを考えてくださった。おかげで当初の計画より倍近い距離を散策し、たくさんの景色を目にすることが出来た。
上高地バスターミナルでタクシーを降り、さっそく散策開始。まずは河童橋を通って、上流の明神池を目指して歩く。距離は4キロで、所要時間は1時間半ちょっと。たまに小雨のぱらつく天気だったが、梓川の流れや穂高連峰、数々の渓流に湿地と見所が満載で、自然の美しさをこれでもかというほど満喫した。空気はおいしいし、景色は素晴らしいし、最高に癒される空間だった。
河童橋から本格的に散策がスタートする。
明神池は穂高神社の奥宮にあり、一之池と二之池に分かれている。一之池は広大で、二之池は岩や木が所々に顔を出している。また、池周辺には猿がたくさん生息していた。しかも、それほど人間を警戒しておらず、足元を平気で歩いていく。野生の猿をこれほど間近で見られる機会はなかなかないだろう。
一之池
二の池
明神橋を渡り、梓川の反対岸を歩いて河童橋まで引き返す。帰りは平坦な道が続くので歩くのは楽だが、その分景色はそれほどでもない。
明神橋がちょうど折り返し地点。
河童橋へ戻り、「河童食堂」で昼食。窓際の席からは、河童橋が目の前に見える。私は、「岩魚わっぱ飯」を注文。西京味噌で漬けた岩魚を蒸したもので、薄味で柔らかい。
午後からは、大正池を目指して再び散策。距離は約3キロ。今度は川の流れに沿って下っていくので、水の流れも穏やかになってくる。所々で川岸に下りられるところもあって、近くで見ると水が本当に透き通っている。「水が綺麗」という言葉はいろいろなところでよく聞くが、本当の綺麗はこういうレベルなんだなということを実感させられた。
一旦コースを少し外れ、上高地帝国ホテルのロビーラウンジ「グリンデルワルト」で休憩。ケーキセットで、私は「スイスタルト」を注文(飲み物は白桃ジュース)。大きなチェリーの入ったチョコレートケーキで、良い意味で甘さが少なく、さっぱりしていておいしい。値段が1,500円と高く、「どうせ場所代だろう」とバカにしていたのだが、そんなことはなかった。確かに場所代もおおいに含まれているが(実際雰囲気は非常に良い)、ケーキにも手抜きはない。
再び散策を開始。合計約12キロに及ぶ今日の散策も、もう終盤。梓川沿いを歩き、まずは田代池へ立ち寄る。「静寂」の言葉が似合う池で、波ひとつ立っていない。しかも、水が本当に澄んでいるので、どこまで水が張っているのかわからないぐらいである。
静寂の田代池
大正池の手前に中千丈沢があり、そこから流れ出た砂れきが辺りを広く覆ってる場所がある。足元が悪く歩くのは大変だが、開けているので景色が良いし、風も心地良い。
ついに、大正池に到着。大正4年に焼岳の噴火で梓川が堰き止められて出来たことから名付けられたこの池は、当初は今の4倍近い広さがあったらしい。しかし、その後年々周囲から土砂が流れ込み、段々と面積が狭くなっている。いずれは消滅する可能性が高いそうだ。当然ながら周りの景観もどんどん変化しているらしく、次来る時には今とは異なる姿を見せてくれるだろう。これにて、上高地の観光は終了。大袈裟に言うつもりはないが、本当に天国のような場所だった。
行きに乗ったタクシーの運転手Sさんに連絡し、迎えに来てもらう。帰りの車内では、風景写真が趣味だというSさんの撮った上高地の写真を見せてもらったり(プロ並みに上手い)、上高地に関するトリビアを教えてもらう。おかげで、最後まで楽しい時間を過ごすことが出来た。ありがとうございました。
車に乗り、松本駅へ戻ってくる。先に出発する祖母の乗る電車を見送ってから、18:35発の特急スーパーあずさ32号に乗り、新宿へ。接続の列車が途中で動物とぶつかったとかで出発が10分ほど遅れたため、新宿到着は約15分遅れの21時半前。そのため、帰宅は22時過ぎとなった。あっという間の2日間だったが、乗鞍に始まり、白骨温泉、上高地と、本当に素晴らしい場所ばかりで、とても思い出に残る旅行となった。
もはや恒例となっているが、最後に電車の写真を載せる。全て松本駅で撮った写真である。説明は省略する。