Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

傘の思い出2

2018-01-20 20:34:19 | 日記

 そんな風に詩人の仲間入り?をした私でした。その後も新聞に投稿し、何度か載せていただきました。原稿料を頂ける新聞社もありました。可なり僅かな金額でしたがきちんと確定申告したものです。その新聞の文学会にも所属していた時があります。新聞関係の文学会には後に住んだ千葉県でも入会していました。社会的に不遇でも文筆活動は続けていました。…と、傘の思い出とは段々かけ離れた話になって行くので、詩人の馴れ初めの話はここまでにします。

 私は写真の傘を見ていて何を思いだしたのでしょう。購入時の事は勿論ですが、それよりも記憶に甦ってくる光景はあの桟橋の雨の光景です。雰囲気よく伸びた長い木の桟橋を、お気に入りの傘をさし、その絵柄に和の風情を愉しみながら島まで歩いて行った時、私はこの傘に和のレトロな浪漫の感覚を感じていたのです。

 最初は一人で歩み出した桟橋の木の板の上。ご家族連れのお母様に傘を半分貸して相合傘になり、他愛ない事を話しながら歩き、目の前にいた異国の女性に振り返られて、私達の言葉が煩いのかなと感じたものでした。私達を追い抜いて行ったガイドさんから、私達ではなく彼女には別に嫌な人がいるようだと助言されて、ふと振り返って私も会いたくない人物に気付いたのでした。

 私が思わずまずいと身を屈めたところ、手に持っていた傘の骨か何かが相合傘の相手にぶつかった様でした。驚いたような声と共に彼女がプイっと傘から飛び出してしまわれたので、私は慌てて謝罪しました。「あなたにぶつけた訳じゃなくて、会いたくない人がいたものだから、あなたにじゃないのよ。」と、嫌がらせした訳では無いと矢継ぎ早に弁明したのですが、もうそのまま無言で去って行く彼女に伝わったかどうか、兎に角その場は急いで発ってしまわれたのでした。

 桟橋には異国の女性と私だけが残った形でした。私は咄嗟にその女性の陰に隠れて、会いたくない相手から傘の中に身を縮めるようにして顔を隠していました。