Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(216)

2018-10-04 11:37:49 | 日記

 彼は家内と孫、何方から問題を解決したらよいかと考えました。当然、孫にはその子の問題を解決しなければならない親という者がいるのですから、孫にはきっぱり背中を向けると、この家には自分しか面倒を見る相手がいない妻に向かい、あれこれと語り掛けました。

「お前さん、どうしたんだい。」

そんな事を言いながら、彼女の手を握って摩ったりします。すると漸く妻は夫の言葉に反応しました。

「鳥もちがね、」

彼女は言葉にしました。鳥もち?祖父には何の事か分かりません。

「鳥もちがね、多分、あの子の言う鳥もちはその鳥もちだと思うのだけど、」

と、蛍さんの祖母は、「私の言った取り持ちと、あの子の言ってる鳥もちとがね、何やら言葉が入り混じっているんだよ。」と言います。はてさて、何処で混ざってしまったものかと、祖母は呟くと、顔を曇らせて、これだから、自分の子供の時にも苦労したけれど、孫にまで同じ苦労をするなんて、と、「本当に、これはお釈迦様でもごご存知な事に違いないねぇ。」と、蛍さんの顔を見て、自分の駄洒落めかした言葉につい吹き出してしまいます。蛍さんの頓珍漢な言葉の取違に思い当たった祖母は、遂にハハハ…と大きな笑い声を立てて、愉快に笑い出したのでした。

 「母さん、大丈夫なのかい!」

蛍さんの祖父はもう大慌てです。「確り、母さん」、「正気に戻ってくれ」、と、血相を変えてもう真剣そのもので蛍さんの祖母の肩に取り付きました。体を揺すって、妻の両手を持って、彼女の顔を覗き込んで、切々と語り掛けるのでした。


土筆(215)

2018-10-04 11:28:09 | 日記

 「鳥もちで、人の仲もくっつけられるの?そんな風に鳥もちは使えるの?」

疑問に思った事をすぐ口に出して言う蛍さんです。彼女は真剣に祖母に問いかけるのでした。この様に、泣いていた烏は直ぐに…という次第になったのでした。

 泣き止んだ孫にホッとしたのも束の間、祖母は今度は孫の言うことがさっぱり分からなくて困ってしまいました。祖母はまたもや考える為ぼーっとして沈黙してしまうのでした。

 再び孫と祖母が身動きもせずにシーンとする中で、この2人の傍にいてその気配を感じた祖父が、しかめっ面で2人の間に割って入りました。彼は祖母の呆けたような顔を覗き込み、またかと舌打ちすると、質問したくて孫の方を向きたいのですが、2度目です。祖母を心配する真剣で苦い自分の顔付きを、また孫に見せて怖がらせる訳には行きません。彼は孫に背を向けたまま、声だけ穏やかにして孫に尋ねるのでした。

「お祖母ちゃんは如何したんだろうね?」

どうしてこんな顔になったのかな?彼は出来るだけ優しい声で、子供が遊んでいるような雰囲気を醸し出すと、お道化たように尋ねてみます。が、孫の方でも現在の事態が分かる訳が無いのでした。さぁ、と答えながら、蛍さん自身も鳥もちの件について考えているので、祖父の問い掛けには上の空です。

「さぁ、全然…」

分からないわ、と答える彼女の声には、何の感情もこもらず余所余所しく聞こえます。この孫の素っ気ない返事に、流石に祖父の方は苛々して、「さぁと言って、」と、「お祖母ちゃんは今お前と話をしていたじゃないか、」と、彼は孫の方を遠慮しながら恐る恐る振り返ってみます。祖父は驚きました。孫も家内と同じ様に呆けたような顔をしています。そこで彼は確りと孫に向き直ると、これは困ったと呟きました。家内と孫、二人共心ここにあらずの状態なのです。


食パン

2018-10-04 10:58:11 | 日記

 最近は食パンが好きです。これに塗ったり挟んだり、あれこれして食べるのですが、パンそのものも、新鮮な内は味わい深くそののままで頂きます。

 かなり昔、友人の家に遊びに行った時、朝食に4枚切りトーストが出てきました。その頃の私は、何時も朝は6枚切りぐらいの厚みのトーストでしたから、パンの大きさにびっくり、とても食べきれないと困ってしまいました。友人に半分くらいでいいわと言うと、友人は何時もこれをぺろりと食べるのだとか、オーブントースターでじっくり焼いてあるからふかふかで軽い口当たり、私もぺろりと入ると思う、と言うのです。

 私にすると、食べ残すのが嫌だから半分に切って欲しいと頼むのですが、大丈夫、大丈夫と、友人はそのまま譲らず、焼き上がった大きなトーストにマーガリンをたっぷり塗って、それをお皿に載せた物をはいと私に渡します。しょうがないので、渋々そのまま頂くと、友人の言う通りでした。ふかふかの焼き立てパンのようです。低温でじっくりトーストされているので表面も固くないんです。とても美味しい食パンの食べ方でした。

 以降、あんなトーストを食べたことはありません。友人は結構料理上手だったのかなと思います。お母様の押し込みが良かったのでしょうね。