Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(228)

2018-10-17 10:17:13 | 日記

 ?、…へえ、ええ、と、彼女はあれこれ考えていましたが、そう間を置かずに、

「そんな美味しい物をねぇ。」

と言うと、ホーちゃん1人で食べていたんだ、とにこやかに言い出しました。

「ホーちゃん、スルメ食べてたんだ。」

という茜さんに、蛍さんは行き成り降って湧いた様な茜さんの話の展開が呑み込めず、「スルメ!」と突拍子もない声を発すると目を丸くして驚きました。茜さんの方はそんな驚いた蛍さんの顔に『ああそうか、スルメを知らないんならあっちの言い方か。』と、

「アタリメ持ってるんだ。」

とにこやかに言うと、私にも頂だいと蛍さんに向かって手を出しました。「美味しいよね、アタリメ。」と言う彼女に、蛍さんはアタリメって何なのかと尋ねました。スルメなら知っているけど、アタリメは知らない蛍さんでした。その事を茜さんに言うと、アタリメはスルメの事だ、同じ物よという答えでした。それで、蛍さんはスルメが如何かしたのかときょとんとした顔で茜さんに尋ねました。

 茜さんは、蛍さんが恍けていて、美味しいスルメを独り占めして自分に寄越さない気なのだなと思うと、私も好きだから頂だいと差し出した手をニギニギと、指を開いたり閉じたりして催促しました。蛍さんはその手を見て顔をしかめて考えていましたが、そうか!と思い付きました。茜さんはまま事を始めたのだと思ったのです。架空の物のやり取りをしてするまま事を、つい先日蛍さんは茜さんから習ったばかりでした。

『もう私は、そのやり方覚えたのよね。』

蛍さんは嬉しそうに小利口ににんまり笑うと、目を輝かせて、スルメを手に持ったふりをして拳をほいと茜さんに差し出しました。