開山忌(建長寺開山の蘭渓道隆様の命日のあたりで行われる)の時の建長寺三門の画像。
真夏だ。空が美しかったな。
精進料理の代表格で、けんちん汁。
建長寺が発祥と言う。
諸説あるけどね。建長汁とも書く。
御詠歌って、ご存じですか?
10月の御詠歌 建長寺由来御詠歌
桜の建長寺もいいね。
ご存じ雲竜図。法堂の天井にあるよ。
精進だしでつくる、けんちん汁。
精進だしは動物性のかつお節なんて使わない。
豚骨なんて絶対使わない(笑)。
干しシイタケと昆布からつくるのだ。
いい眺め(↓)(笑)
渋いわ。
北鎌倉の日本料理店鉢の木監修の建長寺レシピによれば、具材はいろいろ。
日本の汁もの具材の代表格であるニンジンなんてのも入る。
しかし鎌倉時代の鎌倉にはニンジンなんて絶対存在しない。建長寺が出来た時、ニンジンは日本にはないのだ。以前にもこのブログで書いたけれど、ニンジンはアジア系とヨーロッパ系があり、最初に日本に来たのはアジア系で、それは江戸時代のこと。
ヨーロッパ系のニンジンは北米経由で江戸時代末期か明治時代になってから日本に初めて来る。「少年よ大志を抱け」のクラーク博士は米国人。札幌農学校でニンジンやタマネギがたくさん生産されて、彼らはそれで日本的カレーライスを作ったとカレーの歴史本に書いてある。
ということで、鎌倉時代に日本に存在しないニンジンを入れてけんちん汁を作るなら、動物の肉以外、どんな変わった野菜を入れても構わないということになる。
ブロッコリーやパプリカやサツマイモやズッキーニを入れてもけんちん汁は成立する。
中南米原産でコロンブス以降欧州やアジア経由で生産地を拡大し、江戸時代以降琉球にやって来たサツマイモなんてのも入れちゃう。よく誤解されるが、サツマイモの原種って薩摩藩原産じゃないよ。ジャガイモや唐辛子と同じく中南米原産だ。
そうそう、建長寺レシピに「ピリ辛」なんて味付けが出てきて、ごま油と唐辛子で炒めるレシピがよくあるが、唐辛子も中南米原産であり、これもまたヨーロッパに伝わったのはコロンブス以降のこと。日本に来るのは江戸時代だ。鎌倉時代の日本に唐辛子は存在しない。
これもまた以前書いたが、鎌倉時代に鎌倉に昆布があったかどうかはかなり疑わしい。
関東南部の鎌倉って、最も昆布文化から遠いところだ。北前船が北から日本海沿いに持ち込む昆布は日本海側の地域と西日本を中心に普及する。その航路から非常に遠い鎌倉って、昆布を使う典雅な出汁文化とは無縁なはず。それは現代でも続き、東西日本のうどんやそばの出汁における昆布の使い方の差がそれを示す。
ところが平安時代にすでに京都では高貴な人々により昆布は使われていたから、鎌倉時代になると京都と鎌倉に人的交流はあったわけで、当時鎌倉の一部の人には昆布は知られていたかもしれない。でも昆布の陸送は少なくとも鎌倉時代の前半まではかなり厳しいはずだ。だから昆布を多用する精進だしが建長寺創建の頃(1253年)に建長寺で使われたかどうかはかなり怪しい。
宇宙人のようなブロッコリー。
この茎の部分も食べちゃおうね。
薄く切れば大丈夫。
こんにゃくはスプーンで掘りだしましょう。
豆腐は手で崩すのが流儀だ。
開山蘭渓道隆様の「もったいない」の教えに従うのだ。
豆腐は蘭渓道隆様に従い手で崩すが、それ以外の材料はもはや蘭渓道隆様の時代とは無関係なくらい、現代のけんちん汁にはいろいろなものが入っている。
だったら何を入れたってええだろ。
江戸時代に琉球に到着した中南米原産のサツマイモはレンチン。
こんにゃく、大根、パプリカとニンジン、ブロッコリーの茎の部分とゴボウ、ブロッコリーの緑の部分、ネギ。
ごま油でこんにゃくを炒める。
ゴボウとブロッコリーの茎を加えて炒める。
パプリカとニンジンを加えて炒める
これで炒め作業は終わりだ。
干しシイタケと昆布はしっかり戻して精進だしをとった。
昆布はあとで佃煮にする(妻が)。
シイタケは切ってから、鍋に入れてしまう。
精進だしを入れて、煮ましょう。
しばらく蓋して弱火で。
柔らかくなって来た。
水を足した。
ここで味噌と醤油を入れる。
ちなみに建長寺レシピのけんちん汁は味噌は使わない。精進だしと醤油だけだ。
しかし土井善晴先生ならけんちん汁にも味噌を使うだろう。
「味噌はどんな食材も受け入れてくれるんです」が土井先生の口癖だ。
私はここで味噌と醤油を入れた。
あとは大根、ブロッコリー、豆腐。
そしてレンチンしたサツマイモ。
豆腐以外を入れて煮る。
キムチも食べようねー。
「増量」の文字に惹かれて買ってしまった。
おいしいよね、キムチ。
最後に豆腐。崩れるからね。ゆっくりと気を付けて。
豆腐に味が染みればそれで十分。
はい、できあがり。
しっかりと精進だしを使う。
そして多くの種類の野菜・根菜が入ったけんちん汁。
味噌入り、豆腐入り、醤油入り。
肉はないけど、タンパク質もとれるしね。
これで十分よ。食べ物の宇宙のようなけんちん汁。
大きなお椀でしっかり頂きましょう。
お代わりもいっぱいあるよ。
サツマイモ、ブロッコリー、パプリカ(笑)。
けんちん汁界のニューウェーブだね。
鎌倉時代にあって今も我々の周りにある野菜って、いったい何でしょう?
ブロッコリーは地中海地域から来た。
なんでもけんちん汁にしてしまいましょう。
一方、ニンジンは入れるがブロッコリーなんて入れたら日本風じゃ無いと思ってしまうが、ニンジンなんてそもそも、日本のものじゃ無いのだから、ニンジン入れるならブロッコリーでも何でも入れても構わない。
論理的です(笑)
一般的にはおちゃさんと逆の思考をして、動物系が混じる和風出しを使ってしまい豚が鶏を入れてしまうのに、パプリカやブロッコリーを入れたら変と考える人が多そう。
というくだりが出てきたので、
まさに精進料理・鎌倉時代のけんちん汁!
にチャレンジされたのかと思いきや、
そういうことでしたか
ワタシも土井先生の適当(←失礼)レシピ好きです。
一汁一菜でいいの、
味噌汁もね、野菜をお水からどんどん入れて、
野菜のおだしでいいの、
なんでも入れていいの、
とささっと作る方法を知ってから、
お昼ご飯を作るのが楽になりました。
高価なものとか珍味とかではなく、体に良くて味わい深いという意味で。
教官に教わって以来、我が家の豆腐の味噌汁は、
豆腐は、手くずしで、しています。
大将は、このやり方おいしいね!と言います。
食べ物の宇宙・・・ほんまに、
たくさんお野菜が入って、色もきれいで、宇宙です。
鎌倉時代からある野菜って何やろう?
・・・ごぼうですか??
お褒めにあずかり(褒められてるのか?(笑))
光栄です。
けんちん汁ほど定番的レシピがなく
本来の意味を考えられていないものもない。
鎌倉時代の精進料理であるのに、そのオリジナル
の出汁や食材の素材が、配慮されずに作られて
いる食事も珍しいと思います。
ということで、崩さないところは崩さず
つまり動物系は排除し、すでに普通のけんちん
汁が入れているニンジンがありなら、野菜は
なんでもいいだろが!みたいな発想で
作ってみました。
はい、どうもありがとうございます。
>人参が鎌倉時代には日本にはまだなかった、
>というくだりが出てきたので、
>まさに精進料理・鎌倉時代のけんちん汁!
>にチャレンジされたのかと思いきや、
さすがですねえ。このブログはそういうことを
するのが好きなんです。よく大理解いただき
ありがとうございますm(_ _)m
しかながら、今回はそうではなく、
そもそも現代の普通のけんちん汁が使う
一見日本風の野菜も本来は外来であるということ
を逆手にとり、だったらどんな野菜もありだろ
うが?という発想でつくるけんちん汁なので
した(笑)
土井先生っていいですよね。
難しいこともいろいろご存じなんですが、
とにかく優しく楽しくしたらよろしやん
みたいな作り方を教えてくださっている。
楽しい先生ですね。
お寺さん、特に禅宗は厳しいトレーニングもあり
食べ物は厳選されたものを食べるというか、
それ以外は食べられないのでしょう。
現代においては、修行時以外普段は、別でしょう
けどね。
味噌や豆腐でタンパク質をとり、油も結構
使う、しかし肉ではなく野菜。厳しいものです
ね。しかしそれで栄養的には整っていて、
問題はないのでしょう。
こんにゃくをごま油で炒めたレシピも多いで
ですが、そのあたりに肉の替わりとしてなんとか
満足度を得ようと言う工夫がみえますね。
豆腐を手で崩して食べてくれはるんですね。
大将もそれで喜んでくれはるって、うれしいわ。
そのもととなっておられる蘭渓道隆さん
(建長寺の最初の高僧、中国の方です)も喜んで
おられるでしょう。
「800年近くも経って、そうしてくれてる
大阪の母娘がいるとは、私もうれしい」と
おっしゃっているに違いありません。
けんちん汁ってこんにゃくと野菜なんですが、
食べ物の宇宙です。肉を排除したことで、
ますます宇宙が広がる感じがします。
よく考えられ、これで十分という、しっかり
した汁ものです。
>鎌倉時代からある野菜って何やろう?
>・・・ごぼうですか??
私も真っ先に考えたのがごぼうです。
ゴボウはもともとはなかったらしいですが
渡来したのがかなり古くに日本でも古くから
愛されたらしいです。だから鎌倉時代にも
あったはずです。もともとは
薬草みたいですよ。高麗人参みたいなもん
でしょうねえ。
そんなことを頭に置いて、当時の生活習慣
を想像するのが本当の歴史の勉強なんでしょう
。教科書に書いてあることなんてほんの
一部なのですね。
真夏の建長寺がきれいですね。
木々の緑が素敵です。
桜の頃も見事。
けんちん汁はヘルシーでいいですね。
もうおちゃさんの定番料理になりましたね。
ブロッコリーやパプリカを使うところが現代的!
美味しそうです😋
開山忌の建長寺はとにかく暑かったです。
しかし空も三門も嵩山門も美しかったです。
堂々たる開山忌。しかし何度も言いますが
暑過ぎました(笑)
建長寺の三門って、やはり人を圧倒するものが
ありますね。京都のお寺をよく知る人は、
その規模感で「京都にはかなわない」なんて
言いますが、幕府が出来たとはいえ当時の
ど田舎の北鎌倉でこうしたものを作ったのは
やはりすごいですね。再建されたもの
ですが、三門はでかいです。
ニンジンも鎌倉時代には存在せず、
昆布もどこまで鎌倉で普及していたか
かなり怪しい。だとしたら、なんでも
ええじゃないのと、動物性だけを排除して
野菜なんでもありで作ってみました。
味噌なんてのもおきて破りですが、入れて
みました。これさえあればもう十分な
おかずですわ~。