「東京新聞」での連載コラムが始まった。
テレビ・芸能ページにある「言いたい放談」。
日替わりでさまざまな方々の文章が並ぶが、隔週の水曜日、私のものは、やはりテレビのことが中心となるはずだ。
6日の第1回目では、今週スタートしたNHKの朝ドラ「おひさま」を題材に書かせていただいた。
久しぶりで、少女期から老年期までの、女性の一代記になっている。
そして、その舞台が信州・安曇野だ・・・・
「おひさま」に寄せる期待
NHKの連続テレビ小説『おひさま』が始まった。舞台は信州の安曇野、そして松本市だ。
松本の高校を卒業するまで信州で過ごした私にとって、嬉しいような、面映ゆいような、ちょっと不思議な気分だ。
実はもともと、地名としての「安曇野」は存在しなかった。
松本から大町にかけての田園地帯は古来「安曇平(あずみだいら)」と呼ばれていたのだ。
安曇野という言葉が広まったのは、一九六五年に臼井吉見さんの大河小説『安曇野』が出版されてからである。
新宿中村屋を興した相馬愛蔵・黒光夫妻、彫刻家の荻原碌山など、この地を“ふるさと”とする五人の仲間たちを通して、明治から昭和に至る激動の時代が描かれていた。
六九年には相馬黒光をヒロインにした『パンとあこがれ』というドラマも制作されている。
TBSがまだ朝ドラを放送していた時代、ポーラテレビ小説の枠だ。脚本が山田太一、黒光役は新人の宇都宮雅代だった。
これから半年、『おひさま』は私たちにどんな“ふるさと”の姿を、主演の井上真央はどんな女性像を見せてくれるのか、とても楽しみだ。
しかし一方で、被災地の皆さんが今、目にしている風景を思うと胸が痛い。
島崎藤村のいう「血につながるふるさと 心につながるふるさと 言葉につながるふるさと」の、一日も早い復興を願っています。
(東京新聞 2011.04.06)