碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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『トウルー・グリット』は不思議な西部劇

2011年04月18日 | 映画・ビデオ・映像

『トルー・グリット』を観た。

父親が雇人のチェイニーに撃ち殺された14歳の少女・マティ。

真の勇気(トルー・グリット)を持つといわれる保安官コグバーンにチェイニー追跡を依頼する。

別の容疑でチェイニーを追っていたテキサスレンジャーのラビーフも加わり、犯人追跡の過酷な旅が始まった。


コグバーンのジェフ・ブリッジスが渋い。

ラビーフのマット・デイモンも「え、誰?」てなくらい変身。

マティのヘイリー・スタインフェルドは天才少女かも。

彼女がオーディションで発掘されたおかげで、この作品が成立したんだろうなあ、と思う。

69年の『勇気ある追跡』は、いかにもジョン・ウェインの映画だったが(この作品でアカデミー主演男優賞)、こちらはヘイリー・スタインフェルドの印象が強い。

そうそう、『勇気ある追跡』でマティを演じていたのがキム・ダービーで、彼女は翌年、『いちご白書』に出演した。

あの、ばんばんの、というかユーミンの「いちご白書をもう一度」に歌われた『いちご白書』だ。

『トルー・グリット』は確かに西部劇だし、復讐劇なんだけど、ヘンな暗さや重さがない。

これがコーエン兄弟の監督作品だからだろう。

音楽の使い方も、「え、ここで、このピアノ曲でくるか」と、いい意味での意外性があって。

第83回アカデミー賞では、主要5部門を含む10部門にノミネート。

でも、完全に無冠で終わるあたりも、何だかコーエン兄弟っぽい(笑)。

アカデミー賞には引っかからなくても、「観てよかった」と思える1本でした。