角川春樹事務所から「280円文庫」と名づけられた文庫本が出た。
著者の死後50年で著作権切れになった作品から、名作と呼ばれるものを選んだようだ。
創刊ということで、10冊同時発売。
とりあえず、坂口安吾「堕落論」、太宰治「桜桃」、梶井基次郎「檸檬」などを入手してみた。
それぞれに、「著者略年譜」や「解説文」も付いており、堂々の「文庫オリジナル」だ。
最近は文庫本も高価だし、どこの本屋さんも新刊であふれている。
というか、満杯。
名作といえども、常に棚に並んでいるわけではない。
そういう意味で、「280円で名作」は有難い。
学生たちが気軽に手にとってくれたら、と思う。
個人的には、安吾の「堕落論」「続堕落論」「青春論」「恋愛論」の4作を、“新刊”で読めるなんて、ちょっと嬉しい。
「堕落論」の冒頭。
その一行目の文章は、「半年のうちに世相は変わった」。
まるで現在を指しているかのようだ。
没後56年の安吾、恐るべし。
「280円文庫」、支持します(笑)。