碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「280円文庫」の創刊

2011年04月25日 | 本・新聞・雑誌・活字

角川春樹事務所から「280円文庫」と名づけられた文庫本が出た。

著者の死後50年で著作権切れになった作品から、名作と呼ばれるものを選んだようだ。

創刊ということで、10冊同時発売。

とりあえず、坂口安吾「堕落論」、太宰治「桜桃」、梶井基次郎「檸檬」などを入手してみた。

それぞれに、「著者略年譜」や「解説文」も付いており、堂々の「文庫オリジナル」だ。

最近は文庫本も高価だし、どこの本屋さんも新刊であふれている。

というか、満杯。

名作といえども、常に棚に並んでいるわけではない。

そういう意味で、「280円で名作」は有難い。

学生たちが気軽に手にとってくれたら、と思う。

個人的には、安吾の「堕落論」「続堕落論」「青春論」「恋愛論」の4作を、“新刊”で読めるなんて、ちょっと嬉しい。

「堕落論」の冒頭。

その一行目の文章は、「半年のうちに世相は変わった」。

まるで現在を指しているかのようだ。

没後56年の安吾、恐るべし。

「280円文庫」、支持します(笑)。