碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

田中好子さんからのメッセージ

2011年04月26日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨日(25日)、テレビで田中好子さんの告別式の様子を見た。

驚いたのは、生前に録音されていたテープで、本人からのメッセージが流されたことだ。

しかも、その内容が素晴らしかった。

病床で語っているのだろう。

声は痛々しいほど弱い。

だが、メッセージに込められた強い思いは伝わってきた。

覚悟と意志。

そして、慈愛という言葉がふさわしいかもしれない。

ご紹介しておきます。

合掌。


こんにちは、
田中好子です。

きょうは3月29日、
東日本大震災から2週間経ちました。

被災された皆様のことを思うと
心が破裂するような、
破裂するように痛み、
ただただ、亡くなられた方々の
ご冥福をお祈りするばかりです。

私も一生懸命病気と闘ってきましたが、
もしかすると負けてしまうかもしれません。

でもその時は必ず天国で被災された方の
お役に立ちたいと思います。

それが私のつとめと思っています。

今日お集まりいただいたみなさまに
お礼を伝えたくて、
このテープを託します。

キャンディーズでデビューして以来、
本当に長い間お世話になりました。

幸せな、幸せな人生でした。
心の底から感謝しています。

特に蘭さん、美樹さん、ありがとう。
2人が大好きでした。

映画にもっと出たかった。
テレビでもっと演じたかった。
もっともっと女優を続けたかった。

お礼の言葉を
いつまでもいつまでも
みなさまに伝えたいのですが、
息苦しくなってきました。

いつの日か、
いもうと(義妹)・夏目雅子のように、
支えて下さった皆様に、社会に、
少しでも恩返しできるように
復活したいと思っています。

かずさん(注:ご主人の小達一雄さん)、
よろしくね。

その日までさようなら。

日テレ「日曜朝の顔」は変わったけれど

2011年04月26日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。 

今週は、日テレの新番組「シューイチ」についてです。


日テレ「日曜朝の顔」が変わって薄っぺらに
なった


フレコミは「22年ぶりに日本テレビの日曜の朝が変わる」だ。

今月から始まった「シューイチ」である。

延々と続いてきた伝統の“徳光和夫アワー”を改編し、司会は中山秀征になった。

今や “日テレの顔”のごとき中山だが、とりあえずどんな内容でも無難に進行させる技は完成の域だ。

ただし時事ネタはやはり辛い。

昨日の放送でも小学校の英語教育をテーマに中山が都内の小学校を訪問していたが、その是非を問うにはあまりにゆるい取材。

というか、そもそもなぜ今このテーマなのか。

被災地の小学校は英語どころか、授業そのものが困難な状態だというのに。

この番組が最も時間とエネルギーを割いているのが芸能と流行りモノのランキングだ。

しかし、芸能では「GANTZ」「名探偵コナン」「八月の蝉」など日テレがらみの映画紹介が並び、グルメ情報ではひたすら定番のラーメン。

ここにも薄っぺら感がみなぎる。

また、もったいないのはスタジオにいる元NHKワシントン支局長・手嶋龍一と、日テレの“報道の顔” 笛吹雅子キャスターだ。

彼らの出番は冒頭のニュース・コーナーのみ。

裏のTBSやフジにも負けない報道番組が作れそうなペアに、「好きなラーメン」なんぞ聞いてどうする。

いや、本当にもったいない。

結局、日テレの日曜の朝はパッとしないままだ。

(日刊ゲンダイ 2011.04.25)


・・・・とにかく、繰り返し書いたように、手嶋さんと笛吹さんがもったいなくて(笑)。

ニュースに簡単なコメントをつけるだけなら、これほどの2人じゃなくてもいいのだ。

手嶋さん&笛吹さんがキャスティングできるなら、別番組としての報道物を立ち上げればいいのになあ。