大学も授業が始まり、“日常”に戻りつつある。
テレビのほうも、そろそろ“平常編成”にならないかな、と思う。
というか、“特番ウイーク”も、いいかげん飽きてきた(笑)。
新聞のコラムで、この特番ウイークについて書いたことがあります。
いつからこんなことになったのか。四月と十月の番組改編前後、何週間も続く「特番ウイーク」のことである。もともとはドラマの“最終回つぶし”、“初回つぶし”だったはずだ。視聴者の関心が集まるその時に、裏で豪華な特番を放送してお客を散らそうとしたのだ。姑息な手段だが、最初は効果があった。
しかし当然、対抗策が打ち出される。少し早目に最終回を済ませ、同時に新ドラマの開始を一週遅らせたのだ。すると翌年、特番枠も増えていた。その後はイタチごっこだ。結局、連続ドラマの回数は減っていき、現在のように特番だらけの日々が延々と続くようになった。
もちろん見る側にとってまさにスペシャルな内容なら許せる。しかし昨今の状況はどうだろう。海外から買い付けた衝撃映像やら珍映像やらを並べたり、芸人の収入をネタに笑ってみたり。それが三~四時間も続くのだ。しかも連日各局横並びである。
作家の小林信彦さんは昭和三九年の東京オリンピック開催中、喧噪を嫌って東京から関西に避難していたそうだ。同様にとは言わないが、この数週間はテレビから避難したくなった。
そんな馬鹿騒ぎもようやく終わる。テレビが日常に戻るのだ。けれど、特番ウイークが終わっても、避難したまま帰ってこない視聴者もいるのではないか。テレビの自業自得とはいえ寂しい話である。
(東京新聞 2011.10.19)
・・・・この春の特番ウイークも、状況はあまり変わっていないわけですね(笑)。