碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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映画「アーティスト」の“もやもや”

2012年04月14日 | 映画・ビデオ・映像

映画「アーティスト」を観てきた。

アカデミー賞の作品賞ほか5部門受賞。

拍手パチパチの作品だ。

特色は、なんてったってモノクロの“サイレント映画”であること。

確かに、ちょっと新鮮な体験だ。

画面を、かなり真剣に見つめている自分に気づく。

また映画の世界を描いた映画であること。

サイレントからトーキーへという過渡期。

主演のジャン・デュジャルダンは、「よくまあ、こんなぴったりの役者さんがいたもんだなあ」と思う。

ラブストーリーとしては、そんなに起伏はなくて、「こうなるかな」と予想するように展開していく。





全体は、ウエルメイドな、よくできた1本。

安心してオススメできる作品であり、後味も悪くない。

悪くないんだけど、少し物足りなさもあって、“もやもや”したものが残りました。

ミシェル・アザナヴィシウス監督は、とにかく“サイレント映画”を撮りたかったのだと思う(笑)。

それ自体は大成功だ。

でも、“サイレント映画”ではなく、“映画”としては、何をしたかったんだろう。

そして、この映画における「アーティスト」って誰なんだろう(笑)。

そんなこんなを考えながら、映画館を出ました。

まあ、アカデミー賞「作品賞」でなかったら、観逃していたかもしれないわけで(笑)、アカデミー効果さまさまの1本、です。