碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

あらためて、3月11日を軸とした「震災特番」のこと

2012年04月03日 | 「北海道新聞」連載の放送時評

北海道新聞で、月に一度、連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、震災から1年となった3月11日を軸に放送された「震災特番」について書いています。


震災1年の特別番組
問題の本質 斬り込めず


多くの震災関連番組が放送された3月。特に11日は朝から晩までの特番ラッシュだった。しかし、その内容に首をかしげたものも多い。

 不要な演出手法

たとえば「朝ズバッ!」(TBS-HBC)で、おなじみの巨大パネルを被災地に持ち込んだのは、みのもんた。パネルには「父は○○○○を叫び続けた」と書かれており、○の部分がシールで隠されていた。まるでバラエティーのような雰囲気だ。しかもこれをベリベリと剥がして出てきたのが「息子の名」の4文字。こんな演出が必要とは思えない。

木村太郎が復旧した三陸鉄道の試運転車に喜々として乗り込む(フジテレビ-UHB)のも結構だし、長渕剛がライブを行う(テレビ朝日-HTB)のも悪くない。しかし、1年が経過しても、なぜこれほど被災地の復旧・復興は進まないのか、という問題に斬り込んだ特番が見られなかったのは残念だ。

そんな中、深い印象を残したのがNHKの通常番組「小さな旅」。国井雅古アナウンサーが福島県相馬市を訪ねた。普段と変わらぬ作りだが、出会うのは津波で妻を亡くした漁師であり、リヤカーの移動販売で仮設住宅を回る被災女性だ。

国井アナは安易な同情や大仰な励ましの言葉を口にしない。いつもと同じ穏やかさで相手の話に耳を傾ける。今も毎朝、海に出て、がれきを引き上げているという漁師は「出来ることから、少しずつだな」と笑ってみせた。どこかお祭り騒ぎのような特番とは異なり、被災地の現在とそこに生きる人たちの思いを、地に足がついた形で伝える1本だった。

 地元紙奮闘描く

3月はまた、震災をテーマにしたドラマも放送された。「3・11 その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞」(日本テレビ-STV)、「明日をあきらめない…がれきの中の新聞社~河北新報のいちばん長い日」(テレビ東京-TVH)などだ。前者は宮城の石巻日日新聞、後者は河北新報と、被災地にある地元紙の奮闘を再現していた。

「明日を-」で評価したいのは、記者たちが悲惨な現実を前に「こんなことをしていていいのか」と自問しながら取材する姿を描いていた点だ。新聞を読者に届ける販売所の人たちにスポットを当てたことにも注目したい。実際に避難所で河北新報が配られた時、被災者たちは「手でさわれる日常」に励まされたという。新聞は貴重な救援物資でもあったのだ。

(北海道新聞 2012.04.02)


◇次回は5月7日(月)掲載予定です。


入学、おめでとう!

2012年04月03日 | 大学

新入生諸君、入学おめでとう!

天気もよくて、ラッキーな入学式でした。








国際フォーラムでの全学一緒の式の後、四谷キャンパスで
「学科集会」。

各種資料などが、教員側から新入生ひとりひとりに手渡された後は、先輩である「ヘルパー」たちの仕切りとなります。








記念写真の撮影、学内を案内するツアー、そして交流会。

今週後半の「オリエンテーション・キャンプ」も彼らの企画・運営です。


















大河ドラマ「平清盛」視聴率11%台について

2012年04月03日 | テレビ・ラジオ・メディア

1日(日)の視聴率が、昨日出たんだけど、「平清盛」が11%台になっていました。


大河ドラマ「平清盛」視聴率11・3%
ワーストまた更新


1日放送のNHK大河ドラマ「平清盛」の視聴率が11・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、作品のワースト記録を更新したことが2日分かった。

同番組の放送初回は17・3%、これまでの最高は第2回の17・8%だったが、最近は徐々に低下。3月25日放送の前回は12・6%で、12%台は「武蔵 MUSASHI」(平成15年)以来、9年ぶりだった。

NHK広報局によると、大河ドラマの歴代最低は「花の乱」(平成6年)の8月放送回で、10・1%。

(産経新聞 2012.04.02)


・・・・うーん、11・3%かあ。

11%台ってのは、しんどいなあ。

裏に特番も並んでたしなあ。

でも、それは毎年のことだしなあ。

たぶん、この「ワーストまた更新」という報道があちこちで行われて、
それを知った人たちが、「そんなコトになってる大河って、どんななんだ?」と関心をもつはずで、来週は逆に視聴率が上がるじゃないで
しょうか(笑)。


<このブログ内での関連記事>

2012年03月30日
週刊新潮で、視聴率12%台「平清盛」についてコメント
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/c863f50508d5877fb9e60da1a550ec65


2012年03月01日
『アサヒ芸能』で、大河ドラマ「平清盛」についてコメント
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/54fd79e03066bb5a487cad71500f2873


2012年02月17日
日刊ゲンダイで大河ドラマ「平清盛」について再びコメント
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/2d7144de9cbad6b6e94f35466deffd55


2012年02月03日
『日刊ゲンダイ』で、大河ドラマ「平清盛」についてコメント
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/1deeba5e7a405a477f977d8f0ab25da7




今週の「読んで(書評を)書いた本」2012.04.03

2012年04月03日 | 書評した本たち

新学期が始まり、また一気に忙しくなりました。

にもかかわらず、突然、安彦良和さんの長編漫画『虹色のトロツキー』が読みたくなり、まとめて入手。

困っています(笑)。


とはいえ、今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。

 
林真理子
『“あの日のそのあと”風雲録~夜ふけのなわとび2011』 
文藝春秋 

沢村 凛 
『デーセント・ワーク・ガーディアン』 双葉社

佐藤あつ子 
『昭~田中角栄と生きた女』 講談社

朝日新聞特別報道部 
『プロメテウスの罠』 学研

椹木野衣 
『太郎と爆発~来たるべき岡本太郎へ』 河出書房新社

青木理・神保哲生・高田昌幸 
『メディアの罠』 産学社


・・・・沢村さんの最新小説のタイトルになっている「デーセント・ワーク・ガーディアン」とは、労働基準監督官のことです。


* 上記の本の書評は、
  発売中の『週刊新潮』(4月5日号)
  に掲載されています。