東京新聞に連載しているコラム「言いたい放談」。
今回は、4月初頭ということもあり、山口瞳さんの名著「新入社員
諸君!」をめぐるアレコレを書いてみました。
新入社員の皆さんへ
毎年この時期に読み返すのが山口瞳さんの『新入社員諸君!』だ。
手元にあるのは社会人になった昭和五十三(1978)年の春に購入
した角川文庫版。かなりよれよれだが今年もページを開いた。
どんなに時代が変っても、変わらない真理みたいなものがここにはあるからだ。
山口師曰く、「まず、会社へはいったら、学校とちがっていろんな人間がいることを知っておいてください」。
そう、キツネもタヌキも、オオカミだって生息するのが会社だ。でも、
だからこそ一人ではできない仕事も可能になる面白さがある。
また師曰く、「誠心誠意ではたらき有能な社員になってください。有能な社員とは、役に立つ社員のことです。役に立つ社員とは、何か自分のものを持っている社員のことです」。
これも至言だ。いま“自分のもの”として何を、どれだけ持っているのか。新人じゃなくても常に再点検すべきなのだ。
さらに山口さんは言う。「新入社員よ、ボヤキなさんなよ。ブウブウいうなよ。キミタチは新人なんだよ。一所懸命やれよ。勉強しなさいよ。
勉強といってもいろんな勉強があるんだよ。それを知るのが勉強なんだ」。
社会に出ると自分がいかに無知であるかがわかってくる。そんな時、
この言葉に励まされた。新入社員の皆さん、しばらくは大変だけど、
まずは一人前を目指そう。
(東京新聞 2012.04.04)
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