『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。
今回は、黒木瞳主演のドラマSP「黄昏流星群」を取り上げました。
設定に無理があったけど
ピアニスト役の黒木瞳はよかった
ピアニスト役の黒木瞳はよかった
先週、「恋する大人のドラマスペシャル 黄昏流星群~星降るホテル~」(フジテレビ)が放送された。原作は弘兼憲史の人気劇画だ。
今回ドラマ化された物語は至ってシンプル。ベンチャー企業家(高橋克典)が病に倒れ、10年分の記憶を失くす。困り果てた妻(石田ひかり)が頼ったのは、夫のかつての恋人(黒木瞳)だった。
高橋の記憶を取り戻すために、黒木が妻、石田が家政婦を演じる。高橋に対して、複雑な思いの黒木。役割と納得しながらも、黒木に嫉妬する石田。最後はもちろん黒木が“愛の奇跡”を起こす。
ツッコミどころが満載であることは、見る前から分かっていた。この年代の恋愛物といえば黒木というのが安易だし、黒木と高橋の組み合わせは一昨年の連ドラ「同窓会~ラブ・アゲイン症候群」(テレビ朝日)のまんまだ。さらに、妻とかつての恋人が入れ替わる設定も実際にはかなり無理がある。
ところが、このドラマの黒木瞳は悪くない。NHK「ママさんバレーでつかまえて」「下流の宴」など主婦を演じるとウソっぽいのだが、今回の「独身の美人ピアニスト」みたいな現実感の薄い役柄はぴったり。「大人のいい女」になり切って、このファンタジーを支えていた。
そして、もうひとり、黒木を慕う心療内科医役の片岡愛之助にも注目。普通の役者とはどこか違うたたずまいが印象的だ。
(日刊ゲンダイ 2012.07.03)