goo blog サービス終了のお知らせ 

碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

夏目雅子をめぐる対談、「週刊現代」に掲載

2012年07月10日 | メディアでのコメント・論評

篠田正浩監督とさせていただいた、「夏目雅子」をめぐる対談。

発売中の『週刊現代』(7月21・28日号)に掲載されました。

「熱討スタジアム」という4ページの記事です。

篠田監督が語って下さった、「瀬戸内野球少年団」撮影現場でのエピソードを、こうして活字で読んでみて、あらためて夏目雅子という女優さんの魅力を再認識しました。

監督に感謝し、夏目さんに合掌です。


夏目雅子の『瀬戸内少年野球団』を語ろう


「伝説の女優」という表現は、なぜか似合わない。それは人々の記憶に残る彼女の姿が鮮烈すぎて、伝説と呼ぶにはあまりに生き生きしているからなんだろう。

篠田 僕が夏目君を撮ったのは、'84年公開の『瀬戸内少年野球団』だけです。残念ながら、それが彼女の遺作になりました。たった一本しか付き合えなかったけれど、夏目君との仕事は、何本も撮ったような気持ちにさせてくれました。

碓井 亡くなる約1年前、彼女が26歳の時ですね。

篠田 撮影は'83年4月から1年間。四季の移り変わりに合わせ、スタッフとキャストがロケ地である瀬戸内海の真鍋島に通いました。

ある日、我々一行が泊まっていた宿屋で一番風呂に入ると、隣の女風呂に野球団員役の男の子たちがガヤガヤと入っていく。すると「前を隠すんじゃないの」という女性の声がする。夏目君でした。親元を離れていた子供たちと一緒に風呂に入ってあげていたんです。役柄は主人公で小学校教師の駒子先生でしたが、役を離れても子供たちの面倒をよく見てくれました。

碓井 私は'93年にフジテレビで放送されたドキュメンタリードラマ『夏目雅子物語』を作るため、彼女の生涯を取材しました。女優がスクリーン上と現実で違うのは当たり前なんですが、彼女には落差が感じられず、仕事と実生活のどちらも応援したくなるような女性でした。

篠田 きれいな女優はいっぱいいますし、演技のうまい人もいますが、女優の命はもう一つ違うところにあるような気がします。知性でもなければ、教養でもない何か。それを夏目君は持っていた。

碓井 品位みたいなものでしょうか。確かに彼女は特別な何かを持っていました。

篠田 撮影中にはこんなこともありました。ある朝、助監督がやってきて、「監督、夏目さんにお礼をしてください」と言う。「なぜだ?」と尋ねると、島外から呼んだエキストラの泊まる部屋が足りず、スタッフが困っていると、夏目君が「女のエキストラさんは私が全部引き受けるわよ」と声を掛けてくれたというんです。結局、彼女は十数人のエキストラと一晩中酒盛り。最後は全員が夏目君の部屋で雑魚寝です。「この人は相当、公平な心を持っているなぁ」と感心したことをおぼえています。

碓井 彼女について、数多くの人から話を聞きましたが、感じたのは夏目雅子という女優は多分、素のままで愛される女優さんだったということです。


・・・・続きは「週刊現代」で、ぜひ!(笑)。












<このブログで書いた「夏目雅子」関連記事>

篠田正浩監督との対談
2012年07月05日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/bdbcc92d9cfa7f80a24f03ad778823c6

“アップのワダベン”、逝く 
2011年01月20日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/08d0d7a8127c7d8baf4efea8f20ee42c

女優・夏川結衣さんと夏目雅子さん 
2010年11月29日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/bb0dadfd6236e2a6f8efd7c07d1ee2af

『人間ドキュメント・夏目雅子物語』と伊集院静さんのこと 
2010年09月08日 |
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/345606e626c1a94eb9b82d66d5123d89

ドラマ「ビューティフルレイン」と認知症

2012年07月10日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨日、私の知り合いで、このブログも愛読して下さっている方から、
以下のようなメールを頂戴した。

原文のまま(というのは書いたご本人も読んでいるからわかる)転載
させていただきます。

というのは、この方が「認知症の介護経験者」であり、ドラマ「ビューティフルレイン」をどんなふうに感じたのかを、紹介したかったのだ・・・・


件名: ビューティフルレイン、同感です!

碓井先生へ

先週のサイト拝見し、鋭い指摘に共感しました。
朝日新聞で褒めてあったので初回を見たのですが、
認知症の介護経験者として、びっくりしました。

マニュアル化された検査方法はそのままですが、
医師の、それも初診での、あんな指摘はありません。
まして若年性はないと思います。
薬も日々研究開発されております。
すべてにうそっぽく、
で、たしかに見る気が失せました。
いまや社会問題になるほど患者数が多いので、
同じ思いをした視聴者も多いのでは。

我家は70過ぎで診断がくだされたのですが、
それでも薬や認知療法で治るような希望をもたせてくれます。
だから周囲の仲間も葛藤ありで介護をつづけています。
現実的には高齢者の今後に期待するのは間違っているのかも
しれませんが。

またオウム問題のドラマへの指摘も同感でした。
私はあれを見て、情緒的で何を伝えたいのか判りませんでした。
身近にオウムをみてきたひとりとして、
今の知らない世代に見てもらうドラマではないと思いました。

かなり力を入れたはずのドラマ制作が安易に感じます。
とり急ぎお伝えしたく。



・・・・8日放送の「ビューティフルレイン」第2話。

その視聴率が9.5%だった。

初回が12.9%だから、3%以上も下げたことになる。

真裏でTBSの「サマーレスキュー」が始まり、しっかり14.7%をマーク
したので、フジの目減りは当然。

しかし、みんなが見ようと思えば、10%台で踏ん張ったかもしれず、
そういう意味では、昨日このブログに書いた「できれば、この“他人の不幸ドラマ”を楽しむ人が、あまりたくさんは、いないほうがいいなあ、
などと思っています」が実現したとも言える。

別に嬉しくはないけど(笑)。

「ビューティフルレイン」を支持する視聴者も、それなりにいるのは
わかる。

けれど、どうしてもこのドラマに、何らかの“こころざし”を見出せない
のだ。

というわけで、取材も受け終わったので、来週からは、予定通りパス
させていただきます。


<このブログで書いた関連記事>

「難病」と「子役」を駆使した不幸物語「ビューティフルレイン」
2012年07月02日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/43b381a692660822c08712e6bd6ce6a9

予想通り“不幸の地滑り現象”が続く「ビューティフルレイン」
2012年07月09日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/171ec87b44ff8ef740775bd708d5cc50

NHKスペシャル「未解決事件 オウム真理教」をめぐって
2012年05月28日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/bf7064a1edf1d50f2c1308d3e0a3420f